登録販売者、採用の現場から
- ホーム
- 登録販売者、採用の現場から
- 【登録販売者試験対策】漢方処方を理解して覚えよう! 大黄(だいおう)の覚えておくべきポイント
【登録販売者試験対策】漢方処方を理解して覚えよう! 大黄(だいおう)の覚えておくべきポイント
大黄とは?
大黄(だいおう)は、タデ科のダイオウ属植物の根および根茎を乾燥したものです。高さが2~3mにも達する比較的大型の植物で、中国、日本などに自生しています。
大黄そのものは名前のとおり黄色っぽい色をしており、煎じ液も暗黄色となります。
大黄の主成分はセンノシド。瀉下(しゃげ)作用を示します。漢方の世界でいう「瀉下」とは、「体の中に溜まった過剰なものを捨てる」という意味。
そのため、大黄は下剤として多く用いられていますが、それだけでなく「気の鬱屈」や「血液の鬱滞(瘀血)」、「体内の熱のこもり」などを軽減する目的で使用されることもあります。
大黄は「体の中に溜まった過剰なものを捨てる」イメージを持つことが大変重要です。
大黄が配合される主な漢方処方
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)、桃核承気湯(とうがくじょうきとう)、麻子仁丸(ましにんがん)など
これらの中で最も有名なのは大黄甘草湯でしょう。大黄甘草湯は、便秘に用いられる代表的な漢方薬のひとつです。体力に関わらず広く使用され、便秘にともなう腹部膨満感や皮膚炎、吹き出物にも用いられます。
ちなみに、先に挙げた大黄が配合される漢方処方を、大黄の瀉下作用の目的ごとに分類すると以下のようになります。
主に便秘に用いるもの:大黄甘草湯、麻子仁丸
主に婦人科系の瘀血に用いるもの:大黄牡丹皮湯、桃核承気湯
主に体の熱気(神経の高ぶり等)に用いるもの:三黄瀉心湯
一見、統一性のないように見えても、このように作用を分類してみていくと、比較的覚えやすくなるのではないでしょうか。気になる漢方処方があれば、他の構成生薬等の詳細を確認してみましょう。
大黄の出題ポイント1:センノシドの薬効機序
大黄の主成分、センノシドは漢方処方だけでなく、「センノシド錠」として通常の医薬品としても用いられている成分です。
下剤で有名な医療用医薬品の製品名「プルゼニド」と聞けば、なじみのある方もいらっしゃるかもしれません。
このプルゼニドも成分名はセンノシド。大黄と同じ作用機序で瀉下作用を示し、大腸刺激性下剤という分類に当てはまります。
センノシドはそのままの形では瀉下作用を示しません。腸内細菌により、レインアンスロンという活性代謝物に変化して初めて瀉下作用を示します。
レインアンスロンは腸内運動を促進させて便の排出を促すため、大腸刺激性下剤と言われているのです。
ちなみに、便秘に用いられる下剤は大きく分けて2つのタイプがあります。腸内運動を促進するタイプと便そのものを柔らかくするタイプです。
便秘に用いる漢方処方に配合されている生薬のうち、腸内運動を促進するタイプの代表的な生薬が大黄で、便を柔らかくするタイプの代表的な生薬には芒硝(ぼうしょう)があります。
麻黄の出題ポイント2:起こりうる副作用
厚生労働省から提示されている登録販売者試験問題作成に関する手引きにおいて、大黄は以下の記載があります。(一部抜粋)
「ダイオウは各種の漢方処方の構成生薬としても重要であるが、瀉下を目的としない場合には瀉下作用は副作用となる。構成生薬にダイオウを含む漢方処方製剤では、瀉下作用の増強を生じて、腹痛、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすくなるため、瀉下薬の併用に注意する必要がある。」
大黄の主成分、センノシドが大腸刺激性下剤と呼ばれることからも、腹痛を起こしやすいことは理解しておきましょう。
特に、主に便秘以外で用いられる漢方処方で大黄が配合されているものでは、腹痛、下痢などの副作用発現には注意が必要です。
麻黄の出題ポイント3:大黄の服用に注意が必要な人
登録販売者試験問題作成に関する手引きには、以下の記載もあります。(一部抜粋)
「激性瀉下成分が配合された瀉下薬は一般に、腸の急激な動きに刺激されて流産・ 早産を誘発するおそれがある。特に、センナ及びセンノシドが配合された瀉下薬については、妊婦又は妊娠していると思われる女性では、使用を避けるべきである。」
「センナ、センノシド、ダイオウ、カサントラノールについては、吸収された成分の一部が乳汁中に移行することが知られている。乳児に下痢を生じるおそれがあり、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要がある。」
この記載のとおり、妊娠中の方は大黄の服用はできません。また、授乳中の方にも適さないことは必ず覚えておきましょう。
関連記事
-
登録販売者になりたい人へ
【登録販売者試験対策】漢方処方を理解して覚えよう! 麻黄(まおう)の覚えておくべきポイント
麻黄とは? 麻黄(まおう)は、マオウ科のマオウなどの地上茎を乾燥させたものです。 中国、モンゴル、日本にも自生しており、そのまま口にすると舌の先を麻痺させ、黄緑色にさせることから麻黄と名付けられたと言われています。 麻黄 […]
-
登録販売者、採用の現場から
【登録販売者試験対策】漢方処方を理解して覚えよう!甘草(かんぞう)の覚えておくべきポイント
甘草とは? 甘草(かんぞう)は、マメ科のウラルカンゾウやスペインカンゾウの根及びストロンを乾燥したものです。中国東北部から、中央アジアおよび南ヨーロッパの乾燥地に分布しています。 甘草の主成分は「グリチルリチン」(成分名 […]
-
登録販売者になりたい人へ
【登録販売者試験対策】婦人薬に関するまとめ
婦人薬が用いられる体質、状態等 女性の月経は、子宮の内壁を覆っている膜(子宮内膜)が剥がれ落ち、血液(経血)と共に排出される生理現象です。 毎月、周期的に起こるものですが、その周期や月経期間の長さは個人差が大きく、生理痛 […]
-
登録販売者になりたい人へ
【登録販売者試験対策】滋養強壮保健薬 ~水溶性ビタミンの働き~
ビタミンB1 ビタミンB1は炭水化物からのエネルギー産生に不可欠な栄養素で、神経の正常な働きを維持する作用や腸管運動を促進する作用があります。 科学的にはチアミンとも呼ばれることがあり、ビタミンB1主薬製剤はチアミン塩化 […]
-
登録販売者になりたい人へ
登録販売者試験対策「人体の機能 ~消化器編~」
口 食事をする際に一番最初に食べ物が通過する場所です。ここでは歯で物をかみ砕いて小さくしています。では、口では消化は行われているのでしょうか? 答えはYES です。唾液の99%は水と言われていますが、唾液に含まれる酵素( […]
-
登録販売者になりたい人へ
【登録販売者試験対策】主にのどの痛みなどに用いる漢方処方
主にのどの痛みに用いる漢方処方:桔梗湯(キキョウトウ) 配合生薬:甘草(カンゾウ)、桔梗(キキョウ) 桔梗湯は大変シンプルな漢方処方で、配合生薬は2つしかありません。体力に関わらず広く用いることができ、喉が腫れて痛み、と […]