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登録販売者試験対策「人体の機能 ~消化器編~」

え、こんなことまで覚えるの?と思う方もいるかもしれませんが、人体の機能についても登録販売者試験に出題されることがあります。そこまで難しい問題の出し方はしてこないとは思いますので、今回の記事に目を通して概要だけでも掴んでおきましょう。一度ベースとなる知識があるとその後の応用も頭に入りやすくなります。 今回は、口から胆嚢までの消化器機能に注目して解説していきますので食べ物を食べた時のことをイメージしながら、その食べ物がどう身体の中で処理されているのかを考えていきましょう。表現を柔らかくしながら、機能の説明と同時に消化酵素の覚え方や他の知識に繋がるような説明もしていきますので、ぜひ最後までお読みください。

食事をする際に一番最初に食べ物が通過する場所です。ここでは歯で物をかみ砕いて小さくしています。では、口では消化は行われているのでしょうか?

答えはYES です。唾液の99%は水と言われていますが、唾液に含まれる酵素(アミラーゼ)が、でんぷんを分解して胃で消化されやすいように準備をしています。

唾液がでる場所は耳下腺、舌下腺および顎下腺の全部で3つあります。

この働き以外にも唾液には様々な働きがあります。唾液に含まれるカルシウムやリンは歯の再石灰化を促したり(虫歯になりにくくなる)、リゾチームは抗菌作用をもつことから細菌の増殖を防ぐ働きがあります。

このように加齢や水分不足、その他の原因で唾液が減ることは虫歯や口臭など様々な原因に直結しています。

胃の主な構造を説明すると、噴門、胃底部、胃体部、幽門部と言えるでしょう。噴門は食道への食べ物の逆流を防ぎ、幽門は十二指腸への食べ物の通過を調節しています。

胃底部と胃体部からは主に胃酸(塩酸)とペプシノーゲンが分泌されています。ペプシノーゲンは胃酸の影響でペプシンに変わります。ちなみに「ノーゲン」というのは、ギリシャ語で「源」という意味だそうです。つまりペプシノーゲンは「ペプシンの源」だと覚えると混乱しないかもしれません。

さて、このペプシンですが「タンパク質」を分解することができます。そして胃酸は強い酸であることから、様々な病原菌を胃酸によって殺すことができます。

つまり、胃では食べ物の消化だけでなく、身体を細菌から守るという点でも非常に大きな役割を果たしています。

ここで疑問に思うのは、「強い酸やタンパク質を溶かすペプシンがなぜ胃を溶かさないか」だと思います。胃の細胞(主に上皮細胞)は粘液を分泌しており、この粘液が胃酸やペプシンから胃を守っています。

ただし、この粘液量はストレスや鎮痛剤(NSAIDs)、アルコール等で減少してしまいます。その結果、胃酸やペプシンが胃の細胞を傷つけ、胃の痛みの一つの原因となるわけです。

最後に、胃のG細胞からはガストリンという成分(胃酸分泌を促進)が分泌されますので、余裕があったら覚えておきましょう。

十二指腸

小腸の一部ですが、胃から送り込まれた食べ物と胆嚢から分泌された胆汁、膵臓から分泌された膵液が混合される場所です。

十二指腸という名前は、指12本を横に並べた長さだったということに由来するようですが、実際は約30㎝ほどの部位を十二指腸と呼んでいます。

胃から運ばれてくる物はもちろん酸性状態である為、このままの状態で流れていくと小腸が溶けてしまいます。しかし、胆汁や膵液はアルカリ性である為、素早く中和が行われます。

胆嚢

胆嚢は胆汁を蓄えて濃縮している器官であり、この胆汁は胆管を通って十二指腸に流れます。胆汁には胆汁酸(コール酸、ケノデオキシコール酸)が含まれていますが、この胆汁に消化機能はあるのでしょうか?

この答えはNOです。胆汁は脂肪の消化を助ける働きをしていますが、消化する機能はありません。脂肪分が消化される為には、脂肪分を水に溶かす必要がありますが、脂肪分は水には溶けません。

つまり、胆汁は脂肪分を水に溶かせるようにすることで消化を助けているわけです。これを「乳化」と言います。

また、胆汁酸の乳化作用には脂肪分の消化を助けるだけでなく、脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きもあります。

最近は一般用医薬品に胆汁酸の成分(ウルソデオキシコール酸)を有効成分としている商品もあることから、胆汁の働きが試験に出る可能性はあるかもしれません。

今回は文字数の都合上、口から胆嚢の構造、消化機能や消化酵素成分までをご説明しました。次回の記事で膵臓から大腸までを記載したいと思います。消化器の機能や酵素名を覚えるのは難しく、混乱してしまうこともあると思います。しかし、身体の機能は非常に合理的にできている為、混乱した時は食べ物が消化されていく行程をイメージしながら順番に考えていくと良いと思います。今回の説明が少しでも頭に残ったならば、あとは問題集を沢山解いて登録販売者試験に備えていきましょう。

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