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【登録販売者試験対策】漢方処方を理解して覚えよう! 麻黄(まおう)の覚えておくべきポイント
麻黄とは?
麻黄(まおう)は、マオウ科のマオウなどの地上茎を乾燥させたものです。
中国、モンゴル、日本にも自生しており、そのまま口にすると舌の先を麻痺させ、黄緑色にさせることから麻黄と名付けられたと言われています。
麻黄の主成分はエフェドリン。エフェドリンはアドレナリン作動性成分に該当し、持続的な気管支拡張作用と血圧上昇、中枢興奮作用などを示します。
市販医薬品で主に咳止め薬等に含有されるメチルエフェドリンも同じアドレナリン作動性成分ですので、注意すべき点は似ています。
なお、メチルエフェドリンは、麻黄の主成分のエフェドリンよりもさらに気管支拡張作用に特化した作用を示します。
麻黄が配合される主な漢方処方
麻黄湯(まおうとう)、葛根湯(かっこんとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、五積散(ごしゃくさん)、薏苡仁湯(よくいにんとう)など
麻黄は、ざっくり分類すると発熱悪寒、頭痛、身体疼痛、骨節痛、喘咳、黄疸などを改善する薬方に配合されています。
例えば「風邪のひきはじめに飲む」漢方処方である麻黄湯や葛根湯は、構成生薬のうち麻黄、桂枝の組み合わせで発汗作用を増強するようになっていますし、特に麻黄湯はインフルエンザと診断された際に医師より処方されることもあります。
もちろん麻黄湯そのものもがインフルエンザウイルスに効くわけではありませんが、麻黄湯の発汗作用により体の自然治癒力を高め、出来るだけ早く体の回復を図ることを目的としています。
麻黄が配合される漢方処方すべてを覚える必要はありませんが、なんとなくでも「どのような症状」の時に使用される漢方処方に多く配合されているのか、そういうイメージを捉えることが大切です。
麻黄の出題ポイント1:エフェドリンの効能
先に述べたように、麻黄の主成分エフェドリンはアドレナリン作動性の作用を示します。
エフェドリンの化学構造は、覚醒剤の一つであるメタンフェタミンとよく似ています。そのためアドレナリン作動性の作用を示すのです。
試験でよく問われ、必ず覚えておかなければならないエフェドリンの作用は「気管支拡張作用」ですが、併せて眠気を覚まし、体をシャッキっとさせるような効果もあるとイメージしておきましょう。
また、覚醒剤の成分と似た化学構造を持つことから、エフェドリンには弱い「依存性」があります。これは薬の適正使用の観点からも頻出ポイントになっています。
麻黄の出題ポイント2:スポーツ選手とエフェドリン
試験に頻出される、とまでは言えませんが、登録販売者として知っておくべきポイントがあります。
漢方薬や風邪薬でスポーツ選手がドーピング反応で陽性になるという話を聞いたことはありませんか? 実は麻黄の主成分、エフェドリンはドーピング規制対象成分に含まれています。(エフェドリンだけでなく、同様の作用を示すメチルエフェドリンも規制対象成分です。)
エフェドリン、メチルエフェドリンの服用は一般用医薬品による「うっかりドーピング」の事例として最も多いと言われています。
「漢方薬だから大丈夫」と安易に考えてはいけないということは、知っておいた方が良いでしょう。
麻黄の出題ポイント3:麻黄の服用に注意が必要な人
厚生労働省から提示されている登録販売者試験問題作成に関する手引きにも麻黄については以下の記載があります。(一部抜粋)
「アドレナリン作動成分及びマオウ(構成生薬にマオウを含む漢方処方製剤も同様。)については、気管支に対する作用のほか、交感神経系への刺激作用によって、心臓血管系や、肝臓でのエネルギー代謝等にも影響が生じることが考えられる。」
「心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人では、症状を悪化させるおそれがあり、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきである。」
「高齢者では、心臓病や高血圧、糖尿病の基礎疾患がある場合が多く、また、一般的に 心悸亢進や血圧上昇、血糖値上昇を招きやすいので、使用する前にその適否を十分考慮し、使用する場合にはそれらの初期症状等に常に留意する等、慎重な使用がなされることが重要である。」
これらもエフェドリンのアドレナリン作動性作用によるものです。これらの文言はそのまま出題されることもあるため、覚えておくとよいでしょう。
ちなみに麻黄湯の添付文書にも「相談すること」として、高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害の診断を受けた人は服用前に医師や薬剤師、登録販売者に相談すること、と明記されています。
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