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知っておきたい疾患知識 ~骨粗しょう症~
骨粗しょう症について
そもそも、骨粗しょう症とは骨密度が低下して骨がスカスカになり、骨折を起こしやすい状態であることを言います。
骨粗しょう症により骨がもろくなると、転びそうになって手をついたり、くしゃみをしただけのようなほんのわずかな衝撃で骨折してしまいます。
たかが骨折、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、高齢者で骨折を契機に寝たきり状態になり、介護が必要な状態になってしまうことも少なくありません。
骨代謝
骨粗しょう症を理解するにあたり、骨代謝の仕組みを知っておきましょう。
骨は一度出来上がるとその後は変化しないように思われがちですが、体の中で骨は破壊・再生が続けられています。
古い骨は劣化してしまうため、新しい骨に作り替えられているのです。(これを「骨のリモデリング」とも言います。)
古くなった骨は破骨細胞の働きによって破壊され(骨吸収)、その破壊された部分には骨芽細胞の働きで新しい骨が再生されます。(骨形成)
健康な人は、この骨吸収と骨形成のバランスが上手く釣り合っているのですが、骨粗しょう症の方はそのバランスが崩れてしまっていて、骨吸収がどんどん進んで骨形成を上回ることで、骨がスカスカになってしまうのです。
骨粗しょう症の原因
それでは、なぜ骨吸収と骨形成のバランスが崩れてしまうのでしょうか。
骨粗しょう症は特に高齢女性の有病率が高く、加齢と女性ホルモンが骨粗しょう症に影響していることがわかっています。
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、骨吸収を抑制する働きがあります。女性が加齢に伴って閉経を迎えると、エストロゲンの分泌が急激に減少するため、骨吸収が進みやすくなってしまうのです。
また、高齢女性でなくても骨形成に関与するビタミンDやカルシウムが不足することも骨粗しょう症の原因の一つと言えます。
ビタミンDは腸管でカルシウムの吸収を促進させる働きがあるのですが、これも加齢に伴って働きが弱くなることが知られています。
骨とカルシウムの関係性
カルシウムは骨を強くする!といったイメージは正しく、実は体内に存在するカルシウムの約99%が骨・歯に貯蔵されています。骨には体を支える以外に、カルシウムの貯蔵といった役割があるのです。
骨に貯蔵されていない残りのごくわずかなカルシウムは血中や体液中に溶け込んだ形で存在し、筋肉の収縮や神経伝達などの重要な働きに関与しています。
血中のカルシウム濃度は一定に保たれているため、食事等から摂取するカルシウム量が足りなくなると、骨からカルシウムを溶かして不足分を補おうとします。
そのため、カルシウムの摂取不足も骨粗しょう症発現リスクを増加させているのです。
骨粗しょう症の症状
背中や腰が痛くなる、背中や腰が丸くなる、身長が縮む…どれも加齢に伴うものとして放置してしまいがちですが、これらが骨粗しょう症における代表的な症状です。
ほとんどの場合は自覚症状がないまま骨粗しょう症が進行し、骨折して初めて骨粗しょう症であることが判明します。
骨粗しょう症における骨折頻発部位は、背骨(椎骨)、脚の付け根の骨(大腿骨近位部)、腕の付け根の骨(上腕骨近位部)、手首の骨(橈骨遠位端)が挙げられ、骨粗しょう症が原因となり僅かな外力によって起こる骨折は「脆弱性骨折」と言われます。
骨粗しょう症においては、この脆弱性骨折を防ぐことが一番大切なのです。
粗しょう症の治療
骨粗しょう症の治療は、骨密度の低下を抑制して骨折を防ぐことが目的です。治療は薬物治療が中心となります。
骨粗しょう症の治療薬は以下の3つに分類することができ、患者の状態に合わせて薬を組み合わせて服用していくことになります。
- 骨吸収を抑制する薬
- 骨形成を促進する薬
- 骨を作る材料を補充する薬
骨粗しょう症における薬物治療は、1~2年と数年単位で薬を飲み続けることになります。骨密度の数値だけを気にするのではなく、骨全体を強くしていくことが必要ですので、薬を自己中断することなく、医師の処方どおり飲み続けることが重要です。
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