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知っておきたい疾患知識 ~脳血管障害(脳卒中)~
脳卒中とは
脳卒中とは、脳の血管が破れたり詰まったりすることで脳に血液が届かなくなり、結果的に脳の神経細胞に障害が起きてしまうものです。医学用語では脳血管障害と呼ぶこともあります。
脳には多くの血管が行き渡っており、流れる血液によって必要な栄養や酸素が届けられています。脳卒中により脳組織に栄養や酸素が十分に届かなくなると、手足の運動麻痺や感覚麻痺、頭痛、ろれつが回らなくなる、意識低下といった症状が出てきます。
どんな症状が現れるのか、その症状の程度などは破れたり詰まったりする脳の血管の場所や程度により様々です。
脳卒中は突然の発作のように現れることもありますが、気がつかないぐらいゆっくり進行していくものもあります。脳卒中は発症のメカニズムによって分類できます。
脳卒中の分類
脳卒中には脳の血管が破れて起こるものと、詰まって血流が悪くなるものがあります。それぞれ以下のように分類されます。
血管が破れるタイプ
- 脳の内部で出血を起こしているもの:脳出血
- 脳を包むくも膜と軟膜の間で出血を起こしているもの:くも膜下出血
血管が詰まるタイプ:脳梗塞
- 心臓の中でできた血栓が脳まで流れてきて血管を詰まらせたもの:心原性脳塞栓症
- 脳内の比較的太い動脈が詰まってしまったもの:アテローム血栓性梗塞
- 脳内の比較的細い動脈が詰まってしまったもの:ラクナ梗塞
脳卒中のうち発症の多くを占めるのは脳梗塞です。
脳の血管が詰まるタイプを総称して脳梗塞と言いますが、心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞はそれぞれ脳の血管が詰まるメカニズムが異なります。
脳卒中の症状
先に述べたように、脳卒中で起こる症状は破れたり詰まったりする脳の血管の場所や程度により様々です。日本脳卒中協会は、脳卒中を疑う典型的な5つの症状として、以下を挙げています。
- 片方の手足・顔半分の麻痺・しびれが起こる。(手足のみ、顔のみの場合もあり)
- ろれつが回らない、言葉がでない、他人の言うことが理解できない。
- 力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする。
- 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける。片方の目にカーテンがかかったように、突然一時的に見えなくなる。
- 経験したことのない激しい頭痛がする。
このような症状が1つだけ現れることもありますし、複数の症状が現れることもあります。もちろん脳卒中以外の病気でもこのような症状が突然現れる場合がありますが、いずれの場合も緊急時として医師の診察を受けることが無難です。
可能な限り早く医師の診察を受け、脳卒中と診断された場合はすぐに治療を開始することが重要となります。
また、脳卒中の症状が急に現れて数秒や数十分(24時間以内)で消失するものがあります。
これは一過性脳虚血発作(TIA)といい、脳の一部の血液の流れが一時的に悪くなること
いわゆる「脳梗塞の前触れ」のようなものです。すぐに症状が消えてしまうため、残念ながらあまり重大に捉えずに放置してしまうと、脳卒中の発症につながります。
一過性脳虚血発作を起こしてから3ヶ月以内に15~20%の方が脳梗塞を発症し、そのうち半数は一過性脳虚血発作を起こしてから数日以内(特に48時間以内)に脳梗塞になると言われています。
そのため、一過性脳虚血発作もできる限り早く病院を受診し、治療を開始しなければいけません。
脳卒中の予防
脳卒中にはその発症に関わる危険因子があります。
5大危険因子と言われているのが、
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 不整脈(心房細動)
- 喫煙
です。そのほか、男性、高齢者、肥満、過度の飲酒、運動不足なども脳卒中の発症に影響を与えると言われています。
脳卒中の治療と併せて、これらの危険因子に対しても改善を行わないと、脳卒中再発の危険が続きます。
脳卒中の再発率は年間5~10%程度とかなり高いことがわかっており、脳卒中そのものの治療だけでなく、生活習慣の改善やすでに合併している生活習慣病の治療も重要です。
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