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知っておきたい疾患知識 ~関節リウマチ~
関節リウマチとは?
関節リウマチは、全身の関節に慢性的な炎症が起こる疾患です。30~50歳での発症が多く、女性は男性の2~3倍多く発症しています。
昔からある病気の一つで、これまでは「一生痛みと付き合っていく必要がある病気」と考えられていましたが、昨今の治療の進歩によって新しい薬も開発されており、寛解状態を維持することができるようになってきています。(寛解:完全に治った状態ではなく、先々また治療が必要になることも多いが、現在は治療が必要でない状態)
関節リウマチの原因は不明で、自己免疫疾患の一つと考えられています。
本来、体の免疫システムは、外部から侵入してきた細菌やウイルスなどの異物を非自己として認識して攻撃するものですが、自己免疫疾患では自身の細胞や組織を誤って攻撃してしまうのです。
関節リウマチでは、関節の内部を覆っている滑膜を誤って攻撃してしまい、それにより関節の炎症が起こり、腫れや痛みとなって現れます。
その状態が続くと、炎症が悪化して骨や軟骨そのものを破壊していくことになるのです。
症状
関節リウマチの初期症状は、関節の炎症に伴う痛みや腫れ、こわばりなどです。
「朝のこわばり」と呼ばれるように、起床してから30分程度は最も関節が動かしにくい(特に手の関節)とされています。これは寝ている間に滑膜組織に水分が溜まったことによるもので、関節リウマチでは最も重要な症状です。
さらに進行すると、関節の軟骨や骨そのものが破壊され、関節が変形し、日常生活に支障をきたすようになります。関節リウマチの進行度は、関節破壊の程度と日常生活での障害の程度から判定されます。
関節破壊の進行度は以下4段階のステージに分類されます。
- ステージⅠ(初期):X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態
- ステージⅡ(中等期):軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態
- ステージⅢ(高度進行期):骨・軟骨に破壊が生じた状態
- ステージⅣ(末期):関節が破壊され、動かなくなってしまった状態
特に指、手関節、肘、膝、足関節などで痛みと腫れが生じます。関節リウマチでの関節症状は左右対称性に現れるとされており、右半身の関節に症状がでると、左半身でも同じ箇所の関節に症状が認められます。
関節破壊に伴う日常生活での障害の度合いも以下4段階のクラスに分類されます。
- クラスⅠ(ほぼ正常):健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態
- クラスⅡ(軽度障害):多少の障害はあるが普通の生活ができる状態
- クラスⅢ(制限):身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態
- クラスⅣ(不能):ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態
また、関節リウマチの症状は全身にも現れます。微熱や倦怠感が続いたり、貧血症状が現れて関節リウマチのさらなる悪化につながります。
診断
関節リウマチは、早期に診断して治療を開始することが重要です。
関節リウマチの診断には、少なくとも1つ以上の関節で腫れを伴う炎症(滑膜炎)があること、その滑膜炎の原因として関節リウマチ以外の病気が認められないことが前提となります。
その上で、リウマトイド因子または抗CCP抗体という関節リウマチ特有の血液検査異常の有無、関節炎の持続期間、炎症反応の有無によって、関節リウマチの確定診断が行われます。(関節リウマチ患者の約80%でリウマトイド因子陽性反応があると言われています。)
関節リウマチかどうかを診断することは決して簡単ではありません。関節リウマチに似通った症状を認める他の疾患もありますので、関節の腫れが続く場合は、専門医を受診することがお勧めです。
治療
関節リウマチの治療は、進行を抑制させて患者のQOLを高めることが重要です。
治療の中心は薬物療法で、関節リウマチの発症早期からDMARDsと呼ばれる抗リウマチ薬が使用されます。DMARDsは患者の免疫に働きかけて関節リウマチの活動性を低下させ、関節破壊の進行を抑制する効果があります。
薬物療法の他にも変形した関節の動きを改善させるための手術療法(滑膜切除、関節形成など)やリハビリテーション(理学療法、作業療法)なども行われます。
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