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知っておきたい疾患知識 ~気管支喘息~

空気の通り道である「気道」に炎症が起こり、様々なものが刺激になって気道が狭くなる「気管支喘息」。ゼーゼー、ヒューヒューと、傍からも空気が通りにくそうな音を伴う喘息症状(呼吸困難)が特徴的です。子供に多い疾患と思われることが多いのですが、実際には日本では子供の8~14%、大人の9~10%が気管支喘息を持っており、特別子供だけに多い疾患ではありません。今回はこの気管支喘息について解説していきます。  

気管支喘息とは

気管支喘息は、空気の通り道である「気道」に慢性的な炎症があり、様々なものが刺激になって気道が狭くなる(気道閉塞が起こる)ことで、呼吸困難、咳、喘鳴などの喘息発作を引き起こします。

そもそも、慢性的な炎症を起こしている喘息患者の気道は、炎症粘膜部分が赤く腫れていたり、痰が多く、発作が起きていない時でも正常な人に比べて少し気道が狭くなってるのです。

痛みこそありませんが常に気道粘膜が赤くなって腫れている状態であり、そこに更なる刺激(アレルゲン、ストレス等)が加わると、炎症がひどくなって気管粘膜の腫れもひどくなり、また気管支周囲の平滑筋が収縮することで空気の通り道が狭く(気流制限)なります。そのため、ゼイゼイ・ヒューヒューといった呼吸音が聞こえるようになるのです。

この気流制限は可逆的であり、発作が治まると息苦しさはなくなります。(それでも常に気道は慢性的な炎症を起こしている状態です。)

アトピー型と非アトピー型

気管支喘息には大きく2つの分類(アトピー型と非アトピー型)があります。

アトピー型

  • 発症年齢:小児期
  • 増悪時期:春、秋
  • 発生因子:アレルゲンに対するⅠ型アレルギーが
  • 遺伝的素因:あり
  • 発症頻度:多くは軽症であり、成人までに寛解することも多い

非アトピー型

  • 発症年齢:成人以降
  • 増悪時期:
  • 発生因子:喫煙、肥満が関与(特にウイルス性の気道感染に引き続いて発症することもある)
  • 遺伝的素因:なし
  • 発症頻度:比較的重症化しやすい

アトピー型、つまりアレルギータイプの原因は、各種環境の特異的なアレルギーが悪化です。ハウスダストや

ダニのアレルギーを認めることが多いですが、他に犬や猫、ウサギなど動物アレルギーで悪化することもあります。気管支喘息の一般的なイメージとしては、このアトピー型の方かもしれませんね。

一方、非アトピー型は成人してから発症することが多く、子供の喘息(アトピー型)とは異なります。非アトピー型の危険因子として明らかなのは女性であること、極端な肥満、喫煙などがあります。

その他の喘息

アトピー型、非アトピー型には分類されない喘息もいくつかあります。

アスピリン喘息

アスピリンをはじめとする解熱鎮痛薬(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬)を服用したときに喘息発作が生じます。名前はアスピリン喘息ですが、アスピリンだけではなく、NSAIDs全般に対して発症します。

一方、NSAIDsではない解熱鎮痛薬(カロナール、セレコックスなど)は安全に使用することができます。

非アトピー型の成人喘息患者の約5~10%にみられ、女性が多く、鼻の中のポリープ(鼻茸)を合併していることもよくあります。

運動誘発性喘息

激しい運動や長時間の運動を行ったときに喘息発作が生じます。運動誘発性喘息は子供の喘息患者の約半数にみられるとも言われています。

運動開始から終了後にかけて、喘息発作が出現することが多い(即時型反応)ですが、運動終了後6~12時間経ってから喘息症状が増悪することもあります(遅延型反応)。遅延型反応の場合、運動誘発性喘息であると気がつかないことも多いため、注意が必要です。

気管支喘息の治療

喘息では薬物療法が主流です。喘息の大もとを抑えるため継続して使用する「長期管理薬(コントローラー)」 と、発作が起きたときに短期的に使用する「発作治療薬(リリーバー)」の2つがあります。薬をきちんと服用して、発作をコントロールできるようになることが目標です。

また、生活習慣においても気を付けておくべきポイントがあります。例えば風邪やインフルエンザの予防。風邪やインフルエンザにかかってしまうと、喘息の悪化にもつながりかねないので、日頃から無理や不摂生をしすぎず、体力を低下させないようにしたり、きちんと睡眠時間をとるようにしたりするとよいでしょう。自身の発作の前兆を知ることも重要です。

例えば、気温や気圧の変化があると、発作が起こりやすくなります。発作の前兆を知っておけば、症状が悪化する前に予防策をとることもできますので、日頃から体調の変化に気を配ることもオススメです。

気管支喘息は発作時のゼイゼイ・ヒューヒューといった呼吸音(喘鳴)が特徴的ですが、症状が出ていない時も実は気道の炎症は続いています。そもそも喘息の原因は多様に存在し、患者さんそれぞれが経験する症状の程度も様々です。わずかな刺激で喘息発作が起きることもあるため、その人の喘息の状態をきちんと把握することが重要なのです。登録販売者も医療従事者の一人として、身近な疾患の理解を深めていきましょう。

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