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知っておきたい疾患知識 ~統合失調症~
統合失調症とは
統合失調症は、妄想や幻覚などの精神症状が特徴的な疾患です。
日常生活を送る中で、自分の考えや気持ちをまとめられなくなる状態が続き、自身の感覚・思考・行動が病気のために歪んでいることが理解しにくいといったこともよく見受けられます。
思春期から40歳ぐらいまで幅広い年代で発病しやすく、男女比で見ると男:女=1.4:1で、男性に多い疾患です。
発症の原因は、残念ながらまだはっきりわかっていません。脳内で神経伝達物質の一つであるドパミンの分泌バランスが崩れることが強く影響していると言われています。
また、遺伝的要因もあるようです(一卵性双生児のうち一人が統合失調症を発症すると、もう一人も統合失調症を発症する確率は約50%と言われています)。
つまり、もともと遺伝的にも統合失調症を発症しやすい素因を持っていること、さらに日常生活でのストレスなどをきっかけにして発症するのではないかと考えられています。
統合失調症の症状
統合失調症の症状は「陽性症状」と「陰性症状」の大きく2つに大別されることが多いです。具体的には以下のようなものです。
陽性症状
- 他人から危害を加えられているように感じる
- 監視、盗聴されていると感じる
- 実際には聞こえない声が聞こえる(特に悪口を言われているように聞こえることが多い)
- 身なりを整えなくなり、衛生に気を使わなくなる
- 異常に興奮する
陰性症状
- 表情が乏しくなる
- 口数が少なくなる
- これまで夢中になっていたことに興味がなくなる
- 周囲への興味、関心を持たなくなる
- 自宅に引きこもりがちになる
統合失調症はその症状の経過を前駆期、急性期、休息期、回復期と大きく4つの病期で考えます。
不眠や食欲不振、不安感、集中力の低下といった症状が現れる前駆期は、まだ統合失調症と診断できないことも多い段階です。
早期発見できないまま経過すると、急性期に移ります。
急性期には妄想や幻覚などの陽性症状が主に現れ、その後の休息期では陽性症状が落ち着く代わりに、陰性症状が目立つようになります。
休息期は状態が不安定であるため、ちょっとしたことで陽性反応を引き起こし、急性期に戻ってしまうこともあります。
陽性症状と陰性症状以外にも、気分の落ち込みや不眠、注意力の低下、記憶力の低下などの症状も継続して見られます。
統合失調症のタイプ
先に述べた症状の現れ方や、発症の時期、予後などによって、統合失調症は3つのタイプに分けることができます。
妄想型
30歳前後での発病が多く、その症状は妄想や幻覚が中心です。
陰性症状はあまり現れません。統合失調症としては、症状が最も軽いタイプと言われています。
対人コミュニケーションも比較的良好に保たれていることが多く、予後も良いとされています。
破瓜型(はか型)
最も多いタイプで、10~20歳代の思春期から青年期にかけて発病します。
ゆっくり進行して、症状が長引く傾向があり、最初に意欲減退などの陰性書状が現れ、その後徐々に陽性症状出てくるとされています。
症状は慢性化することも多く、予後はあまりよくないとされています。
緊張型
20歳前後に急に発病することが多いタイプです。
大声で叫んだり、奇妙な行動を起こす強い症状が特徴的ですが、その症状は数ヶ月で消失することもあります。
再発することも少なくなく、再発するたびに破瓜型に近い状態に変化することもあります。
破瓜型よりは予後は良いとされています。
統合失調症の治療
統合失調症の治療は、薬物療法と心理療法が行われます。
薬物療法は、「抗精神病薬」と呼ばれる薬を主に用います。
精神に作用する薬の一種であり、妄想や幻覚などの陽性症状の改善だけでなく、不眠や不安などを軽減させる作用があります。
症状が治まってきたら、服薬量を段階的に減らしていきますが、服薬を続けることで再発予防も期待できます。
心理療法では、日常生活の中で感じる不安に対して、患者本人がどのように向き合うべきかを医師やカウンセラーと一緒に考えていきます。
また、治療や再発に関する不安も解消するべく、疾患に関する教育を行うこともあります。
様々な視点から、患者の不安を低減させることにより気持ちの安定化を図ることが目標です。
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