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登録販売者試験で問われるコレステロールの産生から機能、代謝について

食の欧米化によって、最近は生活習慣病のひとつである脂質異常症が増えてきています。そのなかで、コレステロール値を気にする方も非常に多くなっているのではないでしょうか。登録販売者試験の対策をしている方にとっては、コレステロールを下げる作用がある薬や、コレステロールの体内での動きについて既に勉強している人もいるかもしれません。今回は、実際の登録販売者試験の過去問を紹介しますので、まず一度解いてみて下さい。その後、問題の解説を行いますので、コレステロールの産生から機能、代謝についておさらいしていきましょう。是非最後までお読みください。

コレステロールの産生から機能、代謝に関する過去問(平成30年 京都府 午後)

問40
コレステロール及び高コレステロール改善薬に関する記述について、正しい ものの組み合わせはどれか。
  • コレステロールの産生及び代謝は、主として膵臓で行われる。
  • ビタミンEは、コレステロールからの過酸化脂質の生成を抑えるほか、末梢血管における血行を促進する作用があるとされる。
  • 大豆油不鹸化物(ソイステロール)には、腸管におけるコレステロールの吸収を抑える働きがあるとされる。
  • 血液中のHDLが多く、LDLが少ないと、コレステロールの運搬が末梢組織側に偏ってその蓄積を招き、心臓病や肥満、動脈硬化症等の生活習慣病につながる危険性が高くなる。
  • (a、b)
  • (a、d)
  • (b、c)
  • (c、d)

http://www.pref.kyoto.jp/yakumu/documents/h30mondaigozen.pdf より一部改変して抜粋

解説

a コレステロールの産生及び代謝は、主として膵臓で行われる。

→コレステロールの産生及び代謝は、「肝臓」で行われます。コレステロールを1個つくるには、体内で多くのエネルギーを消費します。

そのためこのためコレステロールの産生は夜寝ている時などの休息時に盛んです。また食事からエネルギー源を沢山に摂り入れた時も、産生は盛んになります。

膵臓の機能は主に血糖値に関連していることもこの際覚えておきましょう。血糖値を下げるホルモン(糖の身体組織への吸収を促進するホルモン)であるインスリンと血糖値を上げるホルモン(グリコーゲンを分解や糖新生の促進をして血中に糖を増やすホルモン)であるグルカゴンの分泌を担っています。

b ビタミンEは、コレステロールからの過酸化脂質の生成を抑えるほか、末梢血管における血行を促進する作用があるとされる。

→記述の通りです。抗酸化作用があるとされていますので、過酸化脂質の生成を抑えます。

また末梢血管における血行を促進する作用があることから、痔の改善薬にはビタミンEが入っていたり、医療用にはなりますが霜焼け等にしようされる医薬品もあります。

c 大豆油不鹸化物(ソイステロール)には、腸管におけるコレステロールの吸収を抑える働きがあるとされる。

→記述のとおりです。コレステロールの吸収を抑えたいというお客様はいた場合は、「病院に言ってください」という前にソイステロールが含有された市販薬をおススメすることも選択肢になります。

もちろん、病院に行くべきだと判断される場合には、受診勧奨を行ってください。

d 血液中のHDLが多く、LDLが少ないと、コレステロールの運搬が末梢組織側に偏ってその蓄積を招き、心臓病や肥満、動脈硬化症等の生活習慣病につながる危険性が高くなる。

→即答できなかった方は、必ずコレステロールの動きをおさらいしておきましょう。

LDLにはコレステロールが40%ほど含まれており、肝臓から体の様々な細胞(組織)にコレステロールを運搬する働きをしています。その為、LDLが高いということは「コレステロールの運搬が末梢組織側に偏ってその蓄積を招き、心臓病や肥満、動脈硬化症等の生活習慣病につながる危険性が高くなる 」と問題文の表記どおりになります。

一方で、HDLはコレステロールを10%程度含んでおり、様々な細胞(組織)から余分なコレステロールを受け取り、肝臓に運んでいます。よって、HDLが高いということは望ましい結果だと言えます。

お客様との接客で検査値を見せて頂ける機会もあるかもしれませんので、コレステロールに関する検査値も少し勉強しておきましょう。

気に入ったらコピーして持ち歩いていても良いかもしれません。また、ポケットサイズの検査値の本を持っていても良いでしょう。

中性脂肪値の目安

要注意 基準範囲 要注意 異常
29以下 30-149 150-499 500以上

HDLの目安

異常 要注意 基準範囲
34以下 35-39 40以上

LDLの目安

要注意 基準範囲 要注意 異常
59以下 60-119 120-179 180以上

参照 https://www.sumahoshin.or.jp/lab/hyperlipidemia/cholesterol/

今回は、実際の登録販売者試験の過去問を紹介し、一度解いて頂きました。迷わずに解答できたでしょうか? コレステロールの動きは複雑だと考えていた方も、少しスッキリ覚えられたかなと思います。近年では食の欧米化によってコレステロール値が上がっている方が多いので、今後も試験問題にはなりやすいかなと思います。この機会にしっかりと勉強しておきましょう。

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