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登録販売者、採用の現場から

市販薬にも依存症がある!? 販売に気をつける理由とポイント

ドラッグストアや調剤薬局など医薬品を販売しているところで働いていると、時々適正使用についての注意喚起がありませんか? 一番有名なのは「鎮咳薬の大量購入について」かと思います。医療用医薬品と比べて一般用医薬品は安全性が高いと思われている方も多いのですが、市販薬にも濫用の恐れがある成分が沢山あります。実際に毎日同じ商品を購入されるお客様もいらっしゃるかと思います。何気なく販売してしまったことが原因でそのお客様が依存症になってしまった場合、取り返しのつかないことになってしまいます。一般用医薬品の過量摂取による依存症はとても身近にある問題です。登録販売者は最後の砦となるため、成分名だけでなく商品名も把握し、危険性についてお客様へご説明できるようにしておく必要性があります。この記事を読んで忘れてしまっていた方や、すぐに成分名が思い出せない方は今一度勉強し直して、ご自身のお店に置いてある商品の把握をしてみて下さい。

濫用の恐れがある成分とは

一般用医薬品のうち、リスク区分とは別に指定され、販売制限や確認事項が定められている成分のことを言います。現在は以下の6種類です。

  • コデイン(鎮咳去痰薬に限る。)
  • ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る。)
  • エフェドリン
  • ブロモワレリル尿素
  • プソイドエフェドリン
  • メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち、内容液剤に限る。)

販売時の注意点

これらの成分は販売時に確認するべき事項がいくつかあり、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 (濫用等のおそれのある医薬品の販売等) 第15条の2」によって定められています。

法律に関しては検索をするとインターネット上で原文も読めるので、ぜひ一度は原文を読んで理解してみて下さい。

上記の規則に記載されている確認事項を要約すると、

  • 見た目が若かった場合、氏名と年齢
  • ほかの店での医薬品の購入状況
  • 購入数量が適正でない場合、その理由(例えば原則一人一つまでの商品購入時)
  • その他、適正な使用を目的とした購入であることを確認するための必要事項

以上4点を注意する必要があります。お店で働いている時は、忙しかったり、やることが多かったりと確認が難しいと感じる時も多いかと思います。

しかし、1回の気のゆるみがとんでもないことに繋がってしまうこともあります。

実際に平成30年度医薬品販売制度実態把握調査結果において「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入したときの対応が不適切であった」事例が年々悪化しているようです(令和元年9月24日付け日薬業発第199号)。

一般用医薬品は購入者が直接手に取ることが出来る場所に陳列ができるため、それぞれの店舗での対策が要になってきます。

ドラッグストアなどの店舗で店長として働いている方にとっては悩ましい点かと思います。今後このまま対応が不適切である事例が増えてしまうとさらに厳しい制限がでてくるかもしれません。

次の項目で店舗で出来る対策をいくつかご紹介しますので、一例として参考にしてみて下さい。

店舗での対策

まずは声掛け

ダメだとわかっていて様々な手を使って購入する方もいますが、何も知らずに購入してしまう場合もあります。

身分証提示を求めたり、何個も購入される方に対してお声がけを行うだけでも違います。もちろん嫌な顔をされるお客様もいらっしゃるかとは思いますが、「正しいことをしている!」と思いお声がけを実行しましょう。

レジに対象商品である旨を表示するようにする

お声がけを行うにも今自分が販売している商品が対象医薬品かどうかがわからないことには、何もできません。

もちろん覚えてしまうことが一番ですが、二重チェックとしても注意喚起がレジで出るように設定しておくとよりお声がけがしやすくなります。箱に注意喚起のシールやPOPなどを付けておいても良いかもしれません。

陳列方法を工夫してみる

濫用の恐れがある医薬品においては大量購入ができないように、売り場に一人一つまでのPOPを貼ったり、空箱対応やカードで対応することでも対策ができます。

こまめに売り場の確認が出来るなら、対象商品を売り場に1つしか陳列しないというのも一つの手です。

販売履歴を記録しておく

これは行っているお店も多いかとは思いますが、販売をしたときに聞き取りした内容を記録として残しておくことで何回も購入されている方がいた場合の把握が出来ます。

また、他の店舗からの問い合わせがあった場合に対応ができるため便利です。

いかがでしたか。今回は濫用医薬品について売り場でできる対策と共にまとめてみました。しかし、ここに記載されている商品以外にも風邪薬など濫用される可能性のある医薬品や医薬部外品はまだ存在しています。店舗として出来る限りの対策は行い、対象商品の購入に関しては常に疑う姿勢を持つようにすると良いと思います。

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