登録販売者.com

ログイン 無料登録

登録販売者、採用の現場から

これから登録販売者を目指す方への期待

2009年の薬事法(現・薬機法)改正から生まれた一部の医薬品が販売できる専門職、「登録販売者」。いまやドラッグストアや調剤薬局だけでなく、ホームセンターや家電量販店にも活躍の場は広がっています。そんな幅広い範囲で活躍している登録販売者にかけられる期待について、僭越ながら薬剤師の立場から書かせて頂ければと思います。

登録販売者の現状

今年で登録販売者資格が生まれてから11年が経ちました。

登録販売者は薬剤師でなくても一般用医薬品のほとんどを扱うことができ、薬剤師と比較して人件費を抑えられるため、優先的に採用している企業も少なくありません。

2014年からは一部の医薬品を除く一般用医薬品に関しては一定の条件のもと、インターネットで販売することも可能となり、登録販売者の需要はさらに伸びています。

ではそんな登録販売者の中で、さらに優秀な人材だと認められるためには、個人の努力でどのように差別化を図ることが出来るのか。

公的な資格の所有者であるため、無資格者と比較すると仕事の幅もかなり広がりをみせている有望な職種であることは間違いありませんが、更に責任あるポジションを任せてもらうためにはどのようにすればよいか、薬剤師としての経験から記述させて頂けたらと思います。

「資格満足販売者」になっていませんか?

ではひとまず、目指すべき登録販売者のビジョンを考える前に、逆にこうなって欲しくない登録販売者の話をさせてください。

まずこれをお読みになっている方はご存知だと思いますが、2015年度の登録販売者制度改正によって、受験資格は緩和されましたが、実際に正規の登録販売者として単独で売り場に立つのは資格試験を合格したものでも、直近5年間に24ヶ月以上、かつ、1920時間以上の実務経験が必要になりました。

この条件を満たせないほどの長いブランクがある、または資格を取得したばかりで実務経験が足りない場合は、実務経験の要件を満たしていないため、正規の登録販売者でなく見習い登録販売者として、薬剤師や管理者資格のある登録販売者の管理及び指示の下でなければ、医薬品を販売してはいけません。

これは受験資格よりも実務経験が重要視されるようになってきたと判断ができます。
なぜ実務経験がこれほどまでに重要になったのでしょうか。それは資格取得で満足してしまっている資格者が少なくないからです。

登録販売者とは資格取得後もつねに自己研鑽が求められる新しい医療人であり、その自覚と努力が必要不可欠なのです。

一般業務についての意識、自立して動こう

では勉強に対して前向きに研鑽する姿勢であることを基盤に、どのような動きを周りが期待しているのかについて書いていこうと思います。

ここまで医療人としての心意気についてフォーカスを当てて書いてきましたが、ドラッグストアなど実際の現場では、医薬品のみを扱うわけではありません。

レジ打ちに商品の補充、長く勤務すれば新人の指導や、フロアを仕切る立場などを任せられるかもしれません。

まず初めて新人としてお店に入ったら、とにかく早く運営業務全般は覚えましょう。登録販売者なので医薬品販売だけやるという姿勢は現実的ではありません。

搬入、品出しの日常業務から、売り上げの提案まで、仕事を待つのではなく自分がお店を回すつもりで、どんどん積極的に質問し動くことがとても大事です。

可能であればひと月以内にすべてマスターするつもりで行動しましょう。不安な部分は後回しにするほど、質問もしにくくなります。積極的な姿勢は信頼につながります。

こんな接客をしよう

3項での一般業務を日々遂行したうえで、登録販売者はお客さまとの高いコミュニケーション能力を求められます。新しい医薬品は開発され続けています。

お客さまの言葉から症状を理解し、適切なお薬を選定してさしあげることは出来ますか? 難しい言葉を使わず、分かりやすい簡単な言葉でお客さまを安心させてさしあげることは出来ますか?

難しい専門用語で説明してもお客さまには伝わりにくいでしょう。自己満足になってはいけないのです。

学習意欲を常に保ち続け、学んだことを自分の言葉に変えて、親身になって人の話を聞くことができ、相談しやすい雰囲気を作れる登録販売者がいま求められています。

1項でも記述した通りこれからも登録販売者の需要は増えていくことが予想されます。資格がスタートして11年が経ち登録販売者の数も増えてきました。現場では小売店の一スタッフとして業務にあたる日々が多いかもしれませんが、登録販売者とは新しい医療従事者であることを忘れてはいけません。その自覚を常に持ち続け、今後ともお客さまに寄り添って満足を提供していくこと、それを心の基盤にしてお店での一般業務を積極的にこなすこと、これが登録販売者にとって今一番必要なことであると思います。

arrow_drop_up