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【登録販売者試験対策】鎮暈薬(乗物酔い防止薬)に関するまとめ
乗り物酔いが起こるメカニズム
多くの人が一度は体験したことがある乗り物酔い。医学的には「動揺病」とも呼ばれます。そもそも乗り物酔いはなぜ起こるのかというと、車などの乗物に乗ることによって生じる「揺れ」が耳の奥にある内耳(の前庭)という器官に影響し、体の平衡を感知して、保持する機能(平衡機能)に異常が生じることが原因です。
日頃のストレスや睡眠不足、疲労度なども影響すると言われており、同じように車に乗っていてもいつも乗り物酔いが起こるとも限りませんし、大画面での映像を見ているだけで乗り物酔いと同じような症状を起こす人もおり、乗り物酔いの起こしやすさは個人差が大きいとされています。
乗り物酔いによって起こる症状は、めまいや吐きけ、頭痛、倦怠感などがあり、いわゆる自律神経系の障害です。
乗り物酔い防止薬の代表的な成分
乗り物酔いは内耳の感受性に影響を受けることから、乗り物酔い防止薬は内耳の感受性を低下させ、かつ連動する嘔吐中枢の興奮を抑える作用を持つものがあります。
これらが「鎮暈薬(ちんうんやく)」と呼ばれるものであり、動揺病に適応を持つ薬です。いくつか代表的な含有成分について、確認していきましょう。
抗めまい成分:ジフェニドール
内耳にある前庭と脳を結ぶ神経(前庭神経)を調節したり、内耳への血流を改善する作用があります。
抗ヒスタミン成分と似たような作用を示しますが、あくまでも抗めまい成分、乗り物酔い防止薬の主成分として用いられています。(抗めまい成分はジフェニドールのみであり、登録販売者試験でも頻出されているため、しっかりと覚えておきましょう。)
抗ヒスタミン成分や抗コリン成分と同様に頭痛、排尿困難、眠気、散瞳による異常なまぶしさ、口渇のほか、浮動感や不安定感などの副作用が現れることがあります。
排尿困難、緑内障の既往がある人は、服用によって悪化の恐れもあるため注意が必要です。また、眠気の副作用があるため乗り物や機械の運転をするときは使用を避ける必要があることも試験でよく問われます。
抗ヒスタミン成分:ジメンヒドリナート、メクリジン、クロルフェニラミンなど
延髄にある嘔吐中枢への刺激や内耳の前庭における自律神経反射を抑える作用があります。
特にメクリジンには「作用発現は他の抗ヒスタミン成分より遅いが作用持続時間は長い」といった特徴があり、試験に問われることがありますので覚えておきましょう。
抗コリン成分:スコポラミンなど
中枢に作用して自律神経系の混乱を軽減させるとともに、末梢では消化管の緊張を低下させる作用を示します。
スコポラミンは肝臓で速やかに代謝され、作用持続時間は抗ヒスタミン成分よりも短いです。(意外とこれも試験に出ているので要チェックです。)
鎮静成分:ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素など
先に述べた通り、乗り物酔いの発現には日頃のストレスや睡眠不足、疲労度なども影響します。心理的な要因を和らげることを目的として、乗り物酔い防止薬に配合される場合があります。
中枢神経を興奮させる成分:カフェイン、ジプロフィリンなど(キサンチン系)
脳に軽い興奮を起こさせて平衡感覚の混乱によるめまいを軽減させることを目的として、乗り物酔い防止薬に配合される場合があります。
カフェイン類が配合されていても、抗めまい成分や抗ヒスタミン成分、抗コリン成分による眠気が解消されるわけではありません。こちらも必ず押さえておいてください。
局所麻酔成分:アミノ安息香酸エチルなど
胃粘膜への麻酔作用によって嘔吐刺激を和らげ、乗物酔いに伴う吐き気を抑えることを目的にとして、乗り物酔い防止薬に配合される場合があります。
アミノ安息香酸エチルは、メトヘモグロビン血症を起こす恐れがあるため、6歳未満の小児は使用できません。
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