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【登録販売者試験対策】医薬品副作用被害救済制度ってなに?

「医薬品副作用被害救済制度」という言葉を知っていますか? そんなの聞いたこともない、という方がほとんどかもしれませんが、登録販売者試験では第5章 医薬品の適正使用・安全対策で出題される内容です。比較的、試験でも出題されやすい内容ですし、登録販売者でなく、本来は「薬を利用する人」全員が知っておきたい制度です。医薬品副作用被害救済制度の内容について、一緒に確認していきましょう。

「医薬品副作用被害救済制度」ってなに?

医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による被害者の迅速な救済を図るため、製薬企業の社会的責任に基づく公的制度です。

もう少し砕いて説明すると、医薬品を適正に使用した上で副作用などの健康被害が発現した場合に、国や製薬会社がその健康被害の医療費等を給付して、被害を受けた方の迅速な救済を図る、ことを目的に作られた制度です。

請求から給付の流れ

  • 健康被害を受けた本人またはその家族から、健康被害に関する医師の診断書などを共に医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ給付請求を行います。
  • その健康被害が本当に医薬品によるものなのか、そもそも医薬品は適正に使用されていたかなどの視点から、薬事・食品衛生審議会にて答申されます。
  • を受けて、厚生労働大臣が給付判定を行います。
  • PMDAを経由して判定結果が本人(または家族)に通知され、最終的に給付金が支給されます。

給付請求ができる人が「健康被害を受けた本人またはその家族」に限られること、給付判定は「厚生労働大臣」が行うことは必ず覚えておきましょう。

登録販売者試験問題作成に関する手引きには、請求から給付の流れが図示されています。文字を追うだけではわかりにくい!という方は、そちらも必ず確認しておいてください。

給付金は誰が出しているの?

ここで気になるのは、その給付金がどこから出てきたお金なのか。

給付金の元になるお金は、毎年製薬企業から納付される拠出金です。一般拠出金として、製薬企業は自社で出荷する医薬品数量に応じて納付します。

また、救済給付を必要とする健康被害を生じさせた医薬品を製造販売する製薬企業は、一般拠出金に追加して付加拠出金の納付も必要です。

また、救済制度に係わるPMDAの事務的な費用の半分は、国からの補助金により賄われています。

救済制度の対象外となるもの

救済制度の対象外となるものは大きく2つです。(頻出ポイント!)

  • 医薬品の不適正な使用による健康被害
  • 医療機関での治療の必要がない軽度の健康被害(医薬品が適正に使用されていても対象外)

また、要指導医薬品、一般用医薬品においては、以下製品使用における健康被害も救済制度の対象外となりますので、覚えておきましょう。

  • 殺虫剤、殺鼠剤
  • 殺菌消毒剤(人体に直接使用するものを除く)
  • 一般用検査薬
  • 精製水、ワセリン
  • 製品不良のもの
  • 無承認無許可医薬品(個人輸入で入手した医薬品など)

給付の種類

給付金には7つの種類があり、それぞれ請求期限があります。登録販売者試験でも細かく出題されることがありますので、確認しておきましょう。

医療費

医薬品の副作用による疾病の治療に要した費用を実費補償するもの
請求期限:医療費の支給の対象となる費用の支払いが行われたときから5年以内

医療手当

医薬品の副作用による疾病の治療に伴う医療費以外の費用の負担に着目して給付されるもの(定額)
請求期限:請求に係る医療が行われた日の属する月の翌月の初日から5年以内

障害年金

医薬品の副作用により一定程度の障害の状態にある18歳以上の人の生活補償等を目的として給付されるもの(定額)
請求期限:なし

障害児養育年金

医薬品の副作用により一定程度の障害の状態にある18歳未満の人を養育する人に対して給付されるもの(定額)
請求期限:なし

遺族年金

生計維持者が医薬品の副作用により死亡した場合に、その遺族の生活の立て直し等を目的として給付されるもの(定額) ※ただし、最高10年間が限度
請求期限:死亡のときから5年以内、遺族年金を受けることができる先順位者が死亡した場合には、その死亡のときから2年以内

遺族一時金

生計維持者以外の人が医薬品の副作用により死亡した場合に、その遺族に対する見舞等を目的として給付されるもの(定額)
請求期限:遺族年金と同じ

葬祭料

医薬品の副作用により死亡した人の葬祭を行うことに伴う出費に着目して給付されるもの(定額)
請求期限:遺族年金と同じ

現状、医薬品副作用被害救済制度は一般の方の認知度も低く、医療関係者であっても制度は知っているものの、実際に給付金の請求事例に係わったことがある人は約9%程度しかいないようです。(厚生労働省発行:医薬品・医療機器等安全性情報No.347参照)登録販売者として現場に出た際にも、実際の請求事例に遭遇することは多くないかもしれませんが、必要な時に患者さんへ情報提供ができるよう、しっかりと知識として身につけておくようにしましょう。

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