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登録販売者、採用の現場から

医薬品副作用被害救済制度について

医薬品は適正に使用したとしても副作用が起こり得ます。医薬品を適正に使用したにも関わらず副作用による一定の健康被害が起きた場合に、医療費等の給付を行い、被害者の迅速な救済を図流ための制度が、医薬品副作用被害救済制度です。登録販売者としてしっかりとこの制度について理解しておきましょう。  

医薬品副作用被害救済制度の概要

サリドマイド事件、スモン事件等を踏まえ、1980年5月に、製薬企業の社会的責任に基づく公的制度として運用が開始されました。

医療従事者として、重大な副作用が出た場合の相談を受けることがあるかもしれませんが、請求ができるのは被害を受けた本人又は家族に限られるので、よく話を聞いた上で適切にご案内することが必要です。

健康被害者はまず医薬品医療機器総合機構(PMDA)に給付請求を行う必要があります。

要指導医薬品又は一般用医薬品の使用による副作用被害への救済給付の請求に当たって必要な書類は、1医師の診断書2要した医療費を証明する書類(領収書等)3その医薬品を販売等した薬局開設者、医薬品の販売業者が作成した販売証明書等です。

給付請求を受けPMDAは厚生労働大臣に対して、その健康被害が医薬品による副作用なのかどうか、適切に使用されていたかどうか等についての判定の申し出を行います。

そして薬事・食品衛生審議会の諮問・答申を経て、厚生労働大臣が判定した結果に基づいて、PMDAより医療費、障害年金、遺族年金等の各種給付が行われるという流れになっています。

救済給付業務に必要な費用のうち、給付費については製造販売業者から年度毎に納付される拠出金が充てられるほか、事務費の2分の1相当額は国庫補助から賄われています。

その他PMDAが行う救済制度等について

2004年4月1日以降から使用した生物由来製品について、適切に使用したにも関わらず、感染等による一定の被害があった場合には、各種給付が行われることとなりました。

この制度は「生物由来製品感染等被害救済制度」と言います。

このほか、PMDAでは、製薬企業又は国からの委託を受けて、スモン患者への健康管理手当や介護費用等の支払い業務や(公財)友愛福祉財団からの委託を受けて血液製剤によるHIV感染者・発症者に対する健康管理費用の支給等を行っています。

給付の種類について

給付の種類 副作用の結果 給付内容 請求の期限
医療費 入院 医薬品の副作用による疾病の治療に要した費用を実費補償するもの(ただし、健康保険等による給付の額を差し引いた自己負担分。) 医療費の支給の対象となる費用の支払いが行われた時から5年以内
医療手当 医薬品の副作用による疾病の治療に伴う医療費以外の費用の負担に着目して給付されるもの(定額) 請求に係る医療が行われた日の属する月の翌月の初日から5年以内
障害年金 障害 医薬品の副作用により一定程度の障害の状態にある18歳以上の人の生活補償等を目的として給付されるもの(定額) 期限なし
障害児養育年金 医薬品の副作用により一定程度の障害の状態にある18歳未満の人を養育する人に対して給付されるもの(定額)
遺族年金 死亡 生計維持者が医薬品の副作用により死亡した場合に、その遺族の生活の立て直し等を目的として給付されるもの(定額)
限度:最高10年間
死亡のときから5年以内(ただし、死亡前に医療費、医療手当、障害年金又は障害児養育年金の支給決定があった場合には、死亡のときから2年以内。)
遺族年金を受けることができる先順位者が死亡した場合には、その死亡のときから2年以内。
遺族一時金 生計維持者以外の人が医薬品の副作用により死亡した場合に、その遺族に対する見舞等を目的として給付されるもの(定額)
葬祭料 医薬品の副作用により死亡した人の葬祭を行うことに伴う出費に着目して給付されるもの(定額)

救済給付の支給対象範囲:適正使用かつ入院程度以上の健康被害

医薬品副作用被害救済制度の救済給付対象となるのは、添付文書や外箱等に記載されている用法・用量、使用上の注意に従って使用されていることが基本となり、医薬品の不適正な使用による健康被害については、救済給付の対象とはなりません。

また、医薬品を適正に使用して生じた健康被害であっても、特に医療機関での治療を要さずに寛解したような軽度のものについては給付対象に含まれません。

救済制度の対象とならない医薬品

要指導医薬品又は一般用医薬品では、殺虫剤・殺鼠剤、殺菌消毒剤(人体に直接使用するものを除く)、一般用検査薬、一部の日局収載医薬品(精製水、ワセリン等)が救済制度の対象外です。

このほか、製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合や、無承認無許可医薬品 (いわゆる健康食品として販売されたもののほか、個人輸入により入手された医薬品を含む。)の使用による健康被害も対象外となっています。

製薬企業に損害賠償責任がある場合の相談先:医薬品PLセンター

平成7年7月のPL法の施行と同時に日本製薬団体連合会において「医薬品PLセンター」が開設されました。

消費者が、医薬品又は医薬部外品に関する苦情(健康被害以外の損害も含まれる)について製造販売元の企業と交渉するに当たって、公平・中立な立場で申立ての相談を受け付け、交渉の仲介や調整・あっせんを行い、裁判によらずに迅速な解決に導くことを目的として設立された紛争処理機関です。

お客様から健康被害の補償について聞かれた際には、まず救済制度があることの説明や、救済事業を運営する医薬品医療機器総合機構の相談窓口等の紹介、相談を促すなどの対応を親身になって行ってください。そしてそのためには、救済給付の範囲や給付の種類等に関する一定の知識が必要となるので、制度については一度よく整理をしておいてください。  

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