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リーキーガットとは? 注目の言葉から腸の重要な働きを知ろう

リーキーガットという言葉は「腸もれ」等とも言われ、腸のバリア機能が低下している状態のことを言います。医学的に正式な病態として認められているものではありませんが、近年よく耳にするようになった言葉です。リーキーガットに関しては研究が進められている分野ながら、注目度が高いことを念頭に置き、腸の果たす重要な役割を再確認してみてください。

リーキーガットとは

リーキーガットは腸のバリア機能が低下した状態

リーキーガット(leaky gut)とは、腸(gut)が漏れている(leaky)という意味です。

腸は食物からの栄養を吸収する役割を担う一方で、体内に侵入させたくない物質(未消化の食物成分・病原菌等)からバリアする機能を持ちます。

このバリア機能が何らかの理由で低下してしまっている状態がリーキーガットで、それによって起こるとされている様々な状態がリーキーガット症候群です。

リーキーガット症候群は日本語では腸管壁浸漏症候群と呼ばれます。

腸の3つのバリア機能とは

腸には大きく分けて3つのバリア機能があると言われています。

  • 細胞間の密着結合(タイトコンジャンクション)による物理因子的バリア
    腸壁を構成する腸管上皮細胞同士の間には密着結合(タイトコンジャンクション)と呼ばれるつなぎ目があり、これにより様々な物質が細胞間から透過するのを防いでいます。
  • 免疫機能による生物因子的バリア
    腸管に存在する免疫細胞や免疫グロブリン数は全身の60%以上です。特に小腸にリンパ球等の免疫細胞が多く集まり、胃酸を通過したウイルス・細菌などの異物と戦っています。
  • 腸内細菌による環境因子的バリア
    約1000種類100兆個の細菌が存在するといわれる腸管(主に大腸内)。いわゆる善玉菌・悪玉菌・日和菌(どちらでもない菌)がバランスをとって生息し、免疫機能に影響を与えています。

リーキーガットは様々な病気に関わっているという主張もある

リーキーガットが起こると、本来腸でブロックすべき有害物質が体内へと漏れ出し、血流によって全身に運ばれることにより様々な炎症を引き起こしている(=リーキーガット症候群)という主張があります。

腸管内では存在出来ていた腸内細菌も血中では異物扱いされ、免疫機能により攻撃され炎症が起きるというわけです。

例えば自己免疫疾患、慢性疲労症候群、アレルギー、喘息、偏頭痛等がリーキーガットとの関係が疑われています。

全身の様々な不調・原因のわからない不調の原因の一端はリーキーガットによるものと考える人もいます。

ただし、このように主張する医師もあれば、関連性はないとして否定的な意見を持つ医師もいるということに注意してください。

リーキーガットの原因と考えられていること

リーキーガットの原因として考えられているのは、偏った食事、食物アレルギー、抗生物質・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の乱用、ストレス等です。

原因は1つではなく様々な要因が絡み合っていると考えられています。

腸の役割は消化・吸収・免疫

小腸の主な役割は栄養の消化・吸収と免疫

腸は小腸と大腸からなります。小腸は全長6~7mの管状の臓器で、消化と吸収が主な役割です。

消化とは取り入れた食物や栄養分を吸収しやすいような大きさに変化させることで、小腸でアミノ酸、ブドウ糖、グリセリド、脂肪酸など最終形態まで消化されます。

これら栄養分を吸収するために、内壁の表面積を大きくする構造を持っており、腸管を広げると、テニスコート1~1.5面分にもなると言われています。

十二指腸の上部を除く小腸の内壁には輪状のひだがあり、その粘膜表面をビロード状に覆っているのが絨毛(柔突起ともいう)です。

絨毛を構成する細胞の表面には、さらに微絨毛が密生して吸収効率が高められています。大腸にはこの絨毛はありません。

小腸が果たす免疫については上記「腸の3つのバリア機能とは」の通りです。

腸管は内臓器官でありながら、両端に位置する口腔と肛門を介して外界と接しています。常に様々な異物に暴露しており、人体最大の免疫器官となっています。

大腸の主な役割は水分の吸収:腸内細菌の役割も重要

小腸を通過してきた腸の内容物は、大腸に入ってきたときは粥状です。

これが大腸の運動によって腸管内を通過するに従って水分とナトリウム、カリウム、リン酸等の電解質の吸収が行われ、最終的には固形状の糞便となります。大腸では消化はほとんど行われません。

腸内細菌の多くは大腸内に存在し、大腸の正常な働きに重要な役目を果たしています。

大腸の粘膜上皮細胞の活動源は腸内細菌が食物繊維を分解して生じた栄養分です。

また、大腸の腸内細菌は、血液凝固や骨へのカルシウム定着に必要なビタミンK等の物質も産生しています。

リーキーガットについては、まだ議論がなされている分野だという点からも職能上からも登録販売者として踏み込んだアドバイスをするのは難しく、慢性症状があるなら医師へ相談するようお伝えすることにはなります。ただ、バランスのとれた食事・十分な睡眠・適度な運動等によって生活を整えることは腸の健康にとても良いことです。ごくごくありふれた一般的なアドバイスが、生活を見直すきっかけになるかもしれないので、お客様に寄り添うことをいつも心がけてください。  

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