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登録販売者、採用の現場から

薬物乱用と乱用されやすい成分について知っておこう

登録販売者は市販薬の約9割を占めている第二類や三類医薬品を売ることが出来ます。つまり、登録販売者は市販薬のエキスパートと言っても良いでしょう。しかし、そのエキスパートが薬のリスクを知らなかった場合はどうなるでしょうか。「商品のマイナス面を知らずに、それを売っている」とイメージしてみると、良い印象は無いと思います。登録販売者が市販薬のエキスパートである以上、しっかりと薬全般のリスクも知っておきましょう。今回は、薬物乱用とその可能性がある成分をご紹介します。通常は購入できない成分がメインですが、もちろん市販薬の中にも乱用されやすい成分がありますので、確認しておきましょう。登録販売者試験にも出題されるかもしれません。

薬物乱用とは

厚生労働省によると

「薬物乱用とは、ルールや法律から外れた 目的や方法で使用することをいいます。 覚醒剤や麻薬などは1回使用しただけ でも乱用にあたります。」

とされています。

ルールから外れた飲み方・使い方を考えてみると、「記載されている用法・用量を守らずに飲んだ場合」と考えることができると思います。

依存性(自分の意思ではやめられなくなる)や耐性(ルールから外れて薬の使用を繰り返したことで、効果が弱まり使用量が増加していく)がある薬は特に乱用の危険性があると覚えておくと良いと思います。

また、精神的な依存(薬がないことによる不安感)も乱用の危険性が高まる事項です。

乱用によって、身体に様々な害が起きる可能性があるという点にも注意が必要です。詳しい作用まではおそらく登録販売者試験には出ないと思いますが、実際に「医薬品の乱用の繰り返しによって慢性的な臓器障害等を生じるおそれがある 〇か×か」という問題も出題されています。

麻薬や危険ドラッグ等を想像すると「急性的な臓器障害等」かな?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、慢性的な臓器障害等も起こりますので気をつけましょう。

薬物乱用防止デー

「毎年6月20日~7月19日までの1ヶ月間は、「6・26国際麻薬乱用撲滅デー」を広く普及し、薬物乱用防止を一層推進するため、国、自治体、関係団体等により、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動が実施されている。」

という問題が、沖縄県で平成29年度に出題されています。このような問題が登録販売者試験に出題されているように、都道府県としては登録販売者にも「薬物乱用を止める医療人の一人」だと認識してほしいのかもしれません。

乱用されやすい成分とは

厚生労働省の見解として、乱用される主な薬物としては「覚せい剤、大麻(マリファナ)、あへん系麻薬(ヘロインなど)、コカイン、MDMA、危険ドラッグ、向精神薬、有機溶媒(シンナーなど)」が挙げられています。

市販薬で購入できる成分

以下の成分が市販で購入できる、乱用の恐れがある成分だとされている。

  • コデイン(鎮咳去痰薬)
  • ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬)
  • メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬)
  • ブロムワレリル尿素
  • エフェドリン
  • プソイドエフェドリン

平成 26年2月 10 日に公布された厚生労働省令をふまえると、乱用防止の方法として販売は原則1包装単位が原則だとしており、必要以上に購入しようとする場合には、購入理由の確認が必要です。

また、エフェドリンやプソイドエフェドリンは覚せい剤原料となるため、大量(60 日分以上)・頻回購入の場合は「購入理由の確認」が必要であり不審な場合は警察への情報提供が必要だとしています。

この他にも、薬局によって上記の成分の対応(空箱に1人1つまでと記載するなど)は様々だと思います。ぜひこの機会にご自分のドラッグストアの対応を確認してみると良いでしょう。

【例え】乱用者だと気付いていながら販売してしまった場合

上記の成分が含有された液剤を買いに来るお客様がいらっしゃいました。最初は症状がよく出るからと購入していかれる様子でしたが、徐々にその頻度は上がっていきました。

「症状が繰り返しているのかな? 病院に行ったほうが良いのに」と考えつつも、いつも急いでいる様子であり、身なりも整っていることから「忙しい方なんだろう」と思っていました。

ある日、その方が液剤を購入した次の日に再度いらっしゃいました。「どうしたんですか?」と伺ったものの、「もう無いから、はやくして」と手が震え、イライラした様子です。

あなたは「はい。」と言って薬を売ってしまいましたが、その方は店舗の前で1瓶を飲み干したと同時に、倒れこんでしまいました。

【例え】のようなことが起こらないように、法律にて薬剤師と登録販売者は医薬品の販売又は授与において適正な使用のために必要と認められる数量に限り、販売又は授与させることとされています。不安な場合はしっかりと上長等に確認し、判断を仰ぎましょう。

登録販売者も、国から薬物乱用を抑える一つの砦として考えられています。すなわち、登録販売者試験にも出題されますので、しっかりと勉強しておきましょう。

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