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知っておきたい疾患知識 ~甲状腺疾患(バセドウ病・橋本病)~
甲状腺の働きと甲状腺ホルモン
甲状腺は、首の真ん中あたり(喉仏のすぐ下あたり)にある臓器です。蝶のような形をしており、重さは15~20g、大きさは4~5cm程です。
食事から摂取するヨウ素(主に海藻に含まれています)を材料にして、体全体の新陳代謝を調節する甲状腺ホルモンを作り、体内に分泌しています(甲状腺はホルモンを分泌する内分泌器官の一つです)。
甲状腺ホルモンにはサイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)の2種類があります。この違いは含まれるヨウ素の数です。
簡単に言うと、1つのT4には4つのヨウ素が含まれており、1つのT3には3つのヨウ素が含まれています。甲状腺では、主にT4が合成され、肝臓などでT4がT3に変換されたりしています。
体内では血液中の甲状腺ホルモンが一定に保たれるようになっています。脳の下垂体で甲状腺刺激ホルモン(TSH)が分泌されると甲状腺が刺激され、甲状腺ホルモンを分泌するようになります。
なんらかの原因で甲状腺ホルモンが増加しすぎると、脳内でのTSH分泌が減少するため、甲状腺ホルモンの分泌も抑えられるのです。
甲状腺疾患では、このように一定に保たれているはずの甲状腺ホルモンが多すぎたり(甲状腺機能亢進)、少なすぎたり(甲状腺機能低下)することで、全身の不調が現れます。
甲状腺機能亢進を示す代表的な疾患が「バセドウ病」、甲状腺機能低下を示す代表的な疾患が「橋本病」です。
バセドウ病
バセドウ病は、自己免疫異常により作られた自己抗体が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンを過剰に分泌させる疾患です。
そのため、甲状腺機能亢進症状を示します。バセドウ病は30~40代ぐらいの女性に多い疾患であり、その症状からは更年期障害や糖尿病、心臓病などにも勘違いされることも多いです。
甲状腺機能亢進症状
具体的な甲状腺機能亢進症状は以下のようなものがあります。
バセドウ病の治療
バセドウ病の治療は大きく3つあり、薬物療法、アイソトープ(放射性ヨウ素)治療、甲状腺摘出手術です。バセドウ病は甲状腺ホルモン分泌過多の状態であるため、甲状腺ホルモンの合成を抑える抗甲状腺薬を用います。
アイソトープ(放射性ヨウ素)治療とは、放射性ヨウ素の持つ放射線の力で甲状腺細胞を減らし、甲状腺ホルモンの産生量を減少させる治療です。
そもそもヨウ素は食事中にも含まれている元素(ちなみにヨウ素が多く含まれる食品は昆布で、その他海藻にもヨウ素は多く含まれています)で、体内では甲状腺に蓄積されて甲状腺ホルモンの原材料となります。放射性ヨウ素も同様に甲状腺に蓄積するといった性質を持っており、その性質を上手く活用した治療法です。
橋本病
橋本病も自己免疫疾患の一つです。自己免疫異常により、慢性的に甲状腺の炎症が起こります。甲状腺組織が破壊されるため甲状腺ホルモンの合成ができなくなり、甲状腺ホルモン分泌が不足した状態が続き、甲状腺機能低下症状を示します。
橋本病は甲状腺疾患の中でも特に女性(40~50代)の発症が多いのが特徴であり、発生頻度は男性の20倍以上とも言われています。橋本病は全身的にエネルギー不足のような状態を示すため、うつ病や認知症などとも間違われることもあります。
甲状腺機能低下症状
具体的な甲状腺機能低下症状は以下のようなものがあります。
橋本病の治療
橋本病の治療は薬物療法が中心です。不足している甲状腺ホルモンを薬で補います。継続的な服用が必須とされ、定期的に血液検査を行い、甲状腺ホルモン値を確認しながら服薬量の調整を行います。
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