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登録販売者、採用の現場から

抗アレルギー薬に配合されている生薬成分や漢方薬とは?

ドラッグストアなどで働いていると、数え切れないほどの商品が存在し、いくつかの商品は漢方処方や生薬成分が含まれていることに気付くと思います。例えば二つの商品があり、その二つの薬の違いが生薬成分や漢方処方が含まれているか否かという違いしかない場合、あなたは薬効の違いを説明できるでしょうか。また、アレルギーに効く漢方を紹介する際に漢方処方の違いを説明できるでしょうか。今回は内服の抗アレルギー薬に着目し、登録販売者試験にも出題される可能性がある生薬成分や漢方処方を説明していきます。最後には接客例も記載しますので是非最後までお読みください。

過去問(福井県)

今回は過去問を解いて解説をするスタイルで進めていきましょう。この問題分かりますか?漢方は苦手な方が多いのでしっかりと勉強してまわりと差をつけましょう。

問45 平成30年度登録販売者試験問題(福井県)より一部改変して抜粋

内服アレルギー用薬に配合される生薬成分及び漢方処方製剤に関する記述 の正誤について答えなさい。

  • ケイガイ(荊芥)は、発汗、解熱、鎮痛等の作用を有するとされ、鼻閉への効果を期待して用いられる。
  • 茵蔯蒿湯は、体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症に適すとされる。
  • 当帰飲子は、体力中等度で冷え症で、皮膚が乾燥するものの湿疹・皮膚炎(分泌物の少ないもの)、痒みに適すとされる。
  • 消風散は、体力中等度以上の人の皮膚疾患で、痒みが強くて分泌物が多く、ときに局所の熱感があるものの湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、水虫、あせもに適すとされる。

https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/iei/tourokuhanbaisyasikenmondai_r2_d/fil/035.pdf

荊芥(ケイガイ)

シソ科の花穂であるケイガイは、漢方処方では荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)、川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)、当帰飲子(トウキインシ)、防風通聖散(ボウフウツウショウサン)に配合されています。

効能としては、発汗、解熱、消炎排膿、止血、消腫作用があり、ニキビなどの皮膚病や慢性的な鼻づまりに使われる薬方に配合される生薬です。

茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)

使用者のタイプ:比較的体力があり(実証)、口渇があり、便秘がちの人。すなわち、体の弱っている人や胃腸の弱い人(虚証)、下痢をしていたり冷えの強い人には向きません。

構成生薬:茵ちん蒿(インチンコウ)、山梔子(サンシシ)、大黄(ダイオウ)

効能としては、肝臓の病気や肝臓機能の低下にともなう黄疸に効果があると言われています。また、蕁麻疹や湿疹、皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎にも効果を発揮します。

当帰飲子(トウキインシ)

使用者のタイプ:冷えが強い人(寒証)、顔色の悪い人(血虚)、乾燥がちな人(燥証)で、体力のあまりない人(虚証)に向く処方です。高齢の方にもよく使用されます。

構成生薬:当帰(トウキ)、川きゅう(センキュウ)、地黄(ジオウ)、芍薬(シャクヤク)、荊芥(ケイガイ)、防風(ボウフウ)、黄耆(オウギ)、何首鳥(カシュウ)、しつ梨子(シツリシ)、甘草(カンゾウ)

効能としては、分泌物の少ない湿疹や、乾燥による肌のかゆみに効果があります。すなわち、患部がジュクジュクと湿潤している症状には適しません。

消風散(ショウフウサン)

消風散の「風」は、体の表側(皮膚)から体を侵す原因(病因)を意味しています。つまり、消風と書いて「風を消し去ること」で皮膚の病気を治すという意味があります。

使用者のタイプ:体力中程度以上(実~中間証)で、患部の熱感や痒みが強く(熱証)、浸出液などでジュクジュクしている人(湿証)

構成生薬:荊芥(ケイガイ)、防風(ボウフウ)、蒼朮(ソウジュツ)、木通(モクツウ)、石膏(セッコウ)、知母(チモ)、苦參(クジン)、地黄(ジオウ)、当帰(トウキ)、牛蒡子(ゴボウシ)、胡麻(ゴマ)、蝉退(ゼンタイ)、甘草(カンゾウ)

効能としては、湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、水虫、あせもに効果があり、患部の湿潤や炎症をとり、血行促進と排膿促進で治りを早くします。

接客例

お客様:「すみません、皮膚の症状で聞きたいことがあって。塗る薬より飲み薬が良いんですが、良い薬ありますか?」

登録販売者:「いらっしゃいませ。そうですね、色々な種類があるのですが、アレルギー薬で眠気が出やすい、眠くなりたくないなどのご希望はありますか?」

お客様:「日中仕事をしているので、眠気は出ないほうが良いです。」

登録販売者:「では、漢方薬はいかがでしょうか。差し支えなければ、どのような皮膚の症状かお伺いしてもよろしいでしょうか。」

お客様:「乾燥肌で痒みがあるんです。冷え症だから長風呂するのも悪いんでしょうけど。保湿剤は塗ってるんですけどねぇ。あ、ジュクジュクはしてませんよ。」

登録販売者:「詳しくお話し頂き、ありがとうございます。その症状だと当帰飲子が良いでしょう。長風呂も良いですが、熱すぎるお湯は肌の乾燥を悪化させてしまうので、気をつけてください。保湿剤もそのままお続けくださいね。」

お客様:「丁寧にありがとうございます。では、当帰飲子を使ってみますね!」

いかがでしたでしょうか。一つの問題の中に多くの情報が含まれているのがよくわかるかと思います。過去問を解く際には、実務ではどのように活かせるのかも考えながら勉強するのも良いと思います。今回は抗アレルギー薬に配合されている生薬成分や漢方処方を紹介しましたが、漢方薬はまだまだ沢山ありますので、少しずつ勉強していきましょう。

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