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登録販売者試験にもよく出る!婦人科系の症状に使用される漢方薬を解説!

薬局で薬の販売を行っていると、更年期の症状やむくみや冷え性に苦しむ女性に出会うことがあると思います。「どの商品が良いか」とおすすめを聞かれても、思いつく有名なブランドをただ紹介するだけになっていませんか? 実は、更年期の症状やむくみ、冷え性など比較的女性に多いとされている疾患は、漢方薬が非常に活躍します。またこの理由により、登録販売者試験にも出題されることがあります。今回は、婦人科系の症状に有効といわれる漢方薬をご説明します。また漢方薬を選ぶ際には、そのお客様の体質が非常に重要になる為、漢方薬別に「おすすめの人物像(特徴)」をお話します。特定の効能効果に関しては、それぞれの商品紹介を見てご確認ください。

当帰芍薬散

構成生薬:

  • 当帰(トウキ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 沢瀉(タクシャ)
  • 川芎(センキュウ)
  • 白朮(ビャクジュツ)

おすすめの人物像(特徴)

体力が無く/弱めで、冷え症や貧血の傾向があり、疲れやすい方

注意

特にありませんが、すべての医薬品で現れる可能性がある発疹等の皮膚症状、または胃部不快感などは注意しましょう。

加味逍遙散

構成生薬:

  • 柴胡(サイコ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 蒼朮(ソウジュツ)
  • 当 帰(トウキ)
  • 伏苓(ブクリョウ)
  • 山梔子(サンシシ)
  • 牡丹皮(ボタンピ)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 薄荷(ハッカ)

おすすめの人物像(特徴)

体力中等度以下で、のぼせ感(顔のほてりなど)があり、不安やいらだちなどの精神神経症状も伴っている方。また、肩こりや便秘の傾向のある方。

注意点

近年、サンシシによる腸間膜静脈硬化症が注目されている為、覚えておくといいと思います。

特に「長期服用」によって副作用がでることがあり、長期連用には注意が必要です。

特徴としては、原因不明の腹痛(特に右側)や下痢、便秘、腹部膨満等が繰り返しあらわれる場合は医師に相談するようにお伝えしましょう。

桂枝茯苓丸

構成生薬:

  • 桂皮(ケイヒ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 桃仁(トウニン)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 牡丹皮(ボタンピ)

おすすめの人物像(特徴)

比較的体力がある方で、のぼせ(顔のほてり)はあるが、足先は冷えている症状を訴える方。

注意点

牡丹皮(ボタンピ)と桃仁(トウニン)は早産・流産の危険性が上がる可能性があると言われる為、飲む必要がある場合は一度かかりつけの先生に相談するようお話しましょう。

柴胡加竜骨牡蛎湯

構成生薬:

  • 柴胡(サイコ)
  • 半夏(ハンゲ)
  • 桂皮(ケイヒ)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 黄芩(オウゴン)
  • 大棗(タイソウ)
  • 人参(ニンジン)
  • 牡蛎(ボレイ)
  • 竜骨(リュウコツ)
  • 生姜(ショウキョウ)

おすすめの人物像(特徴)

体力中等度以上の方で、精神的に安定しないことが続いていたり、動悸や不眠、便秘などを伴っている方。

注意点

半夏には「間質性肺炎」を引き起こす可能性が示唆されています。

その為、服用中に息苦しさ・空咳が続いたり、発熱等がみられる場合は医療機関を受診してもらうことが重要です。また、黄芩(オウゴン)は間質性肺炎だけでなく、肝機能障害の副作用が起こりえます。

半夏厚朴湯

構成生薬:

  • 半夏(ハンゲ)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 厚朴(コウボク)
  • 蘇葉(ソヨウ)
  • 生姜(ショウキョウ)

 

おすすめの人物像(特徴)

体力中等度程度の方で、喉の違和感と気分のふさぐ感じがあり、ときに動悸や眩暈、嘔気などを伴う方

注意点

半夏の「間質性肺炎」は頭に入れておきましょう。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯

構成生薬:

  • 当帰(トウキ)
  • 桂皮(ケイヒ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 木通(モクツウ)
  • 細辛(サイシン)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 大棗(タイソウ)
  • 呉茱萸(ゴシュユ)
  • 生姜(ショウキョウ)

 

おすすめの人物像(特徴)

体力中等度以下の方で、手足の冷えが強く、下肢や下腹部が痛くなりやすい方

注意点

甘草(カンゾウ)が含まれていますので、手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばり、脱力感、徐々に強くなる筋肉痛等(偽アルドステロン症、ミオパチー)の副作用に注意です。

この重大副作用は、生薬関連で出題される登録販売者試験の問題でも、特におさえておきたいポイントです。また、販売時の情報提供でも必須の知識です。覚えておきましょう。

妊娠中に避けるべき生薬とは?

女性に医薬品を販売する際に、妊娠に関する情報提供は非常に重要になってきます。生薬は比較的安全だと扱われがちですが、なかには避けるべき生薬もあります。

以下の生薬は覚えておきましょう。この情報を知っているだけで、頼れる登録販売者になれること間違いなしです。

以下が、早産・流産の危険性が上がる可能性があると言われる生薬になります。服用が必要な場合は、かかりつけの医師に相談してもらうようにしましょう。

大黄(ダイオウ)、亡硝(ボウショウ)、桃仁(トウニン)、牡丹皮(ボタンピ)、紅花(コウカ)、牛膝(ゴシツ)

今回は婦人科系の症状に関連した漢方薬と、その構成生薬やおすすめの人物像(特徴)、注意点をまとめました。もちろん、テストの為だけではなく、しっかりとそのお客様の症状や体質に合った薬を選べるように知識を蓄えましょう。

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