登録販売者.com

ログイン 無料登録

登録販売者、採用の現場から

アルミニウム脳症及びアルミニウム骨症とは? 長期連用に注意を要する医薬品に気を付けよう。

薬局やドラッグストアで働いていて、アルミニウム脳症やアルミニウム骨症という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「一般用医薬品は安全だから市販で買えるわけであって、それがたとえ薬の副作用だとしても医療用医薬品の副作用でしょ?」と思っているあなたは、是非この記事を最後までお読みください。この記事を読んだあと、今現在登録販売者として働いている方は、店の商品をすぐにチェックしたくなると思います。まだ登録販売者として働いていない方も、この内容は試験にでる可能性がありますので、この記事の内容を覚えていて損はありません。今回はアルミニウムを含む一般用医薬品に含まれる成分を紹介するだけでなく、アルミニウムを含む食べ物・飲み物まで紹介していきます。きっとお客様応対で役立つことでしょう。では早速みていきましょう。

アルミニウム脳症及びアルミニウム骨症とは?

アルミニウム脳症

アルミニウム脳症とは、透析脳症とも呼ばれることがあります。透析とは、腎臓の機能が極端に悪く血液の濾過機能が働かない場合に、人工的に腎臓の役割をする機械(フィルター)に血液を通して老廃物や余分な水分を除くことです。

そして、昔はこの透析液に水道水が使われた時代がありました。水道水はアルミニウムを含むので、アルミニウムが血液中に入ってしまい、血液中のアルミニウムの濃度が上昇してしまいました。

アルミニウムを一生摂り続けても健康への悪影響がない1週間当たりの摂取量は体重1kg当たり2mgとなっていますが、健常人はこれ以上の量のアルミニウムを摂取したとしても、尿として腎臓から排泄されます。

しかし、腎機能が低下している方ではアルミニウムが上手く排出できず、蓄積が起きてしまいます。結果、水道水を用いた透析は、多くの方の脳に高濃度のアルミニウムを蓄積させてしまいました。このことから、アルミニウム脳症は透析脳症とも呼ばれます。

アルミニウムが脳に蓄積した場合の症状としては、言語障害や異常行動、運動障害、認識及び精神障害、発作が起こると言われています。

アルミニウム骨症

体内に高濃度のアルミニウムが蓄積することで起きるのは、アルミニウム脳症だけではありません。もし、アルミニウムが骨に蓄積した場合は、骨の痛みを伴う骨軟化症になったり、骨折しやすくなくなることがあります。そして、アルミニウムの蓄積が原因で骨が弱くなった場合をアルミニウム骨症といいます。

登録販売者として知っておくべきことは、アルミニウムは通常腎臓から排出されるけれども、腎機能が低下しているお客様や透析を行っているお客様には、アルミニウムを含む医薬品の販売に注意を払わないといけないということです。では、次にアルミニウムを含む一般用医薬品、スクラルファートをみていきましょう。

スクラルファートとは

スクラルファートと聞いて、すぐに何の薬か、どの商品に含有されていたか、お店のどこに陳列されているかを思い浮かべることができたでしょうか?

もし出来なかった方も、これからスクラルファートの特徴や作用機序を説明します。その後、どこに陳列されていたか考えてみてください。

スクラルファートの特徴

ショ糖硫酸エステルアルミニウム塩とも呼ばれ、化学式ではC12H54Al16O75S8で表せるなど、その構造中にアルミニウムを含有している成分です。また、スクラルファートは胃酸に対する「防御因子増強薬」であり、胃の粘膜を胃酸等から保護してくれます。

スクラルファートの作用機序

弱った胃の粘膜に付着して、胃酸に対する防御機能を高めます。そのほか、傷ついた組織の修復を助ける作用や、胃液のペプシンをおさえる作用があります。

http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se23/se2329008.htmlより抜粋

スクラルファートを含む市販薬を、さっそく探してみましょう。

最後に、プラスアルファの知識として、アルミニウムを含む食事を紹介します。もし、腎機能が低下しているお客様を応対する際に使えるかもしれません。

アルミニウムを含む食事(100gあたり)

食べ物

  • 海藻類(8.5g)
  • 貝類(3.8g)
  • 大豆・ごま(2.475g)
  • 葉菜類(1200ug=1.2g)
  • 小麦(770ug)
  • きのこ(610ug)
  • 根菜類・穀物(250~260ug)
  • 肉・魚類(180~200ug)
  • 白米(120ug)
  • 卵(100ug)

飲み物

  • ウーロン茶(343ug)
  • 緑茶(133ug)
  • 炭酸飲料(22ug)
  • 牛乳(11ug)
  • 水道水(1.7ug)
  • https://www.toseki.tokyo/blog/aluminum/より一部改変して抜粋

    いかがでしたでしょうか。今回は、アルミニウム脳症やアルミニウム骨症の症状と、なぜアルミニウムが蓄積してしまうのかをお話しました。また、アルミニウムを含む医薬品(スクラルファート)と、アルミニウムを多く含む食べ物・飲み物をご紹介しました。薬局・ドラッグストアには、様々なバックグラウンドを持ったお客様がご入店されます。なるべくお客様一人一人とコミュニケーションをとりながら販売することで医薬品によるアルミニウムの蓄積は防げるでしょう。胃薬コーナーの前で悩んでいるご老人には、特に注意してコミュニケーションをとってみてください。

    arrow_drop_up