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登録販売者ドタバタ劇場

「〇〇を買ったけど効かないから返金して!」困ったお客さんのエピソード

お客様のほとんどは良識を持った方ですが、稀に些細なことでクレームをつけて来る方もいます。今回の記事では、私がドラッグストアでの実務を通じて体験した困ったお客様のエピソードを3つご紹介いたします。「そんなお客さんがいるんだ!私も今度から気をつけよう」などと今後の教訓としていただければ幸いです。

エピソードその①:購入したサプリメントが効かないからと返金を迫られる

私が以前勤めていたドラッグストアでは、サプリメントの効果が得られないからと無理矢理返金を迫られたケースがあります。

このお客様はクレームの常連で、買った薬やサプリメントに何かしらの文句をつけては交換や返金を要求することが常態化していました。

お店の方針としては、お店側に非がある場合には返金をする取り決めになっていましたが、ただ効かないからと言って、その都度返品や交換に応じていたのではお店の存続問題にも関わります。

このため、このお客様には薬やサプリメントの効き方には個人差があり、必ずしも思ったような効果が得られないことや、交換した商品が今の商品より良く効く保証もないことを丁寧に説明したうえで返品・交換をお断りいたしました。

お客様の要望を満たすようにできる限りの努力をすることは大切なことですが、あまりに理不尽な要求を突き付けてくる方については、時として毅然とした態度で臨むことも必要になる例と言えますね。

エピソードその②:車で来店されたお客様が購入した風邪薬をその場で飲もうとする

風邪薬や鼻炎薬の多くには第一世代の抗ヒスタミン成分が含まれており、眠気を起こす可能性が高いため、服用後の運転は禁止されています。

以前に私が風邪薬を販売したお客様から、その場で薬を飲みたいので箱を開封して欲しいと頼まれたことがありました。

お客様に「本日はお車でご来店されましたか」と尋ねるとそうだと言います。

 

風邪薬服用後は車の運転ができない旨をお伝えしたところ、「そんなことは俺が決めることだ!いちいち口出しするんじゃない!」と怒鳴られました。

お客様としては自己責任で飲むのだから問題ないと考えているのかもしれませんが、薬剤師や登録販売者のような有資格者としてはこうした行為を看過するわけにはいきません。

そのお客様に対しては風邪薬服用後の運転の危険性を丁寧に説明して開封することはお断りしました。

 

万一、風邪薬を服用後に運転して交通事故を起こそうものなら、人命が損なわれる可能性もあります。

また、その時になってお客様の方から「何であの時きちんと止めてくれなかったんだ」と損害賠償を起こされる可能性もあります。

こうしたリスクを避けるためにも、運転前の風邪薬の服用はきっぱりと断るようにしましょう。

エピソードその➂:乱用成分の入った医薬品を大量購入させろと要求される

乱用成分の入った薬品の大量購入もドラッグストアなどで登録販売者さんが遭遇しやすいトラブルの一つです。

コデイン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリン、エフェドリン、プソイドエフェドリンなど、一部の咳止めや鼻炎薬に含まれている成分は「乱用の恐れのある医薬品の成分」に指定されおり、原則としてお客様1人につき1箱しか販売することができません。

しかし、お客様の中にはこうした薬を1度に10箱など大量購入しようとする方もいらっしゃいます。

私が以前に働いていたドラッグストアでも、「アネトンせき止め液」と呼ばれる乱用成分を含む第2類医薬品を大量に購入しようとする方がいらっしゃいました。

「保健所からの指導により1人1箱までしか販売できない」と伝えたところ激しく怒り出し、「この薬を買うためにわざわざ遠いところから来たんだ!夜中にひどい咳が出て止まらないから1箱だけだとすぐに無くなってしまうんだ!」とおっしゃいました。

そのような事情があるのは分かりますが、それほど頻繁に咳止めが必要になるようであれば、市販薬では限界があるので医療機関を受診するべきです。

このお客様には咳止め薬を自己判断で常用し続けると薬物中毒になる可能性を説明したうえで、医療機関を受診するように説得し、その日は1箱のみ販売することで納得してもらいました。

このように、安易にお客様の要望を聞き入れるのではなく、法律を順守しながら時には適切な代替案を提示することも必要になります。

今回ご紹介した事例は登録販売者さんが日常業務で遭遇する可能性の高いものばかりです。起こりそうな事態をあらかじめ想定し、対処法を自分の中でシミュレーションしておくことでそうした事態が起こった時に慌てずに対処することが可能になります。お客様とのトラブルはできることなら避けたいものですが、やむを得ず発生してしまった場合は被害を最小限に抑えられるような適切な対応を心がけたいですね。

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