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消毒用エタノールの濃度表記の違いを理解していますか??
消毒用エタノールの濃度単位
殺菌(除菌・消毒)を目的に使用されるエタノール(アルコール)には、最も殺菌効果が期待できる濃度が決まっています。
細菌やウイルスに対する至適濃度範囲(有効濃度範囲)は、日本薬局方において76.9~81.4%とされています。
アルコール濃度が高ければ高いほど良いのではありません。消毒用エタノールを購入する際に濃度を確認してみたことがある人もいらっしゃるかもしれませんね。
消毒用エタノールには一般的に以下の3つの単位で表示されることがあります。
- 容量パーセント(v/v%またはvol%)
- 質量パーセント(w/w%またはwt%)
- 質量体積パーセント(w/v%)
日本薬局方の至適濃度範囲を示す「%」は、容量パーセントのことです。エタノールを有効成分とする消毒液などの濃度は、一般的に容量パーセントで示されます。
一方、宅配便や郵送、航空便などで製品を送付する際の危険物としての判定には、質量パーセントが使用され、用途によって同じ液体でも異なる濃度単位を使用することがあります。
「%」だけで表示すると何の単位かわからなくなるため、v/vやw/wとも表記されていることがあります。単位で使用されているwはweight、つまり質量のことであり、vはvolume、つまり容量のことです。
500ml(容量)の中身には500g(質量)の物質が含まれているならば、容量、質量のどちらで考えても同じなのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、500ml=500gとなるのは水だけなのです。
水以外の物質は、その密度から容量と質量はイコールにはなりません。エタノールは水に比べて軽く、エタノール10ml=約7.89gとなっています。
水に対して約2割軽いというエタノールの性質から、同じ濃さの液体であっても、濃度単位によってその数値が異なってくるのです。それでは、それぞれの単位の考え方を説明していきます。
容量パーセント(体積百分率:v/v%、vol%)
液体100ml(容量)中に、エタノールが何ml含まれているかを表します。
この容量パーセントは、基本的に液体どうしを混ぜる場合や、気体どうしを混ぜる場合に使用します。エタノール70mlに水を足して合計100mlにすると、70v/v%となります。
この考え方はよくある濃度計算と同じであるため、特に違和感なく理解できるのではないでしょうか。容量パーセントと同じ意味で、「体積パーセント」と呼ぶこともあります。
厳密に言うと、ものによって混ぜた後の体積は変化することがあり、水20mlにエタノール80mlを混ぜると、混ぜた後の体積は100mlより小さくなります。
そのため、容量パーセントを考える際は、混ぜる前の体積(同温・同圧での測定値)で計算します。
質量パーセント(質量百分率:w/w%、wt%)
物質100g(質量)中に、エタノールが何g含まれているかを表します。
一般的に使う%は、質量パーセント濃度を示します。液体(溶媒:溶かすもの)に物質(溶質:溶かされるもの)を混ぜてできる溶液に対して使うことが多いです。
最も考えやすい食塩水では水(溶媒)90gに食塩(溶質)10gを溶かすと、その水溶液は100gとなります。100gの水溶液中に10gの食塩が含まれているため、これは10w/w%です。
質量パーセントと同じ意味で、「重量パーセント」と呼ぶこともあります。
質量体積パーセント(w/v%)
液体100ml(容量)中に、エタノールが何g(質量)含まれているかを表します。
一般的な表示方法として使われることはあまりありません。
そもそも、容量と質量それぞれの単位が異なるため厳密には「%」とは言えませんが、含まれる溶質の量(g)を溶液の容量(ml)を測定することで特定できるという便利な点から、化学系の実験等ではよく使用されます。
濃度換算をしてみよう
例えば、55.5w/v%のエタノール溶液があったとします。これは、水+エタノールの溶液100ml中に55.5gのエタノールが含まれていることになります。
この55.5gのエタノールは、体積に換算すると約70mlです。(エタノール10ml=約7.89gから比較計算をしてみてください。)
そのことから、水+エタノールの溶液100ml中には、約70mlのエタノーが含まれていることになり、容量パーセントで表現すると約70v/v%といえます。
つまり、55.5w/v%=約70v/v%となります。
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