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最近よく聞く「ロコモ」ってなんだろう? 医療人なら知っておきたい高齢化社会の課題

「ロコモ」という言葉を聞いたことはありますか? ロコモとは「ロコモティブシンドローム」の略で、加齢に伴って「立つ」「歩く」ことができなくなった状態のことを指します。高齢化社会が進む日本においてロコモティブシンドロームに悩む患者数は増加しており、医療人としては知っておきたい言葉の一つです。そんなロコモティブシンドロームについて、詳しく説明していきます。  

ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドロームは、2007年に日本整形外科学会によって新しく提唱された概念であり、「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態 」のことを指します。

簡単に言うと、これまでと同じように立つ、歩くといった運動ができなくなった状態ということです。略して「ロコモ」と呼ばれたり、和名では「運動器症候群」と言われます。

なぜロコモティブシンドロームは高齢化社会の課題と言われるのか?

高齢化社会が進む日本では、近い将来である2025年にも国民の4人に1人が75歳以上の後期高齢者になると言われています。

これは戦後すぐの第一次ベビーブーム(1947~1949年)の時に生まれた子どもが一気に後期高齢者の仲間入りすることによるもので、急激に医療や介護のニーズが増加することが予想されています。(医療業界では、これを「2025年問題」と呼んでいます。)

加齢とともに様々な体の機能が衰えるのは当たり前のことではありますが、その衰えが日常生活における自立度の低下を招くことになります。

それが続くと、最終的には介護が必要な状態(寝たきり状態も含む)になりやすく、このロコモティブシンドロームも医療や介護のニーズ増加に大きく関与していると言えるのです。

ロコモティブシンドロームの原因

ロコモティブシンドロームが定義している、これまでと同じように立つ、歩くといった運動ができなくなった状態というのは加齢に伴うものだけではありません。

「立つ」「歩く」ことは、骨、筋肉、関節、靭帯、神経などの運動器が複雑に絡み合って働いています。この運動器の障害の原因には、大きく「運動器自体の疾患」と「加齢による運動器の機能低下」があります。

運動器自体の疾患としては、変形性膝関節症や骨粗しょう症、関節リウマチなどが挙げられ、これらの疾患の中には、加齢に伴って発症リスクが上昇するものもあります。

加齢による運動器の機能低下は、四肢・体幹の筋力低下や体力の低下、関節や筋の痛みなどが挙げられます。どちらも、全身の筋力低下やバランス能力の低下により、「立つ」「歩く」ことができなくなってしまうのです。

ロコモティブシンドロームは早期発見が重要

ロコモティブシンドロームは早い段階で自らの運動機能の低下に気づき、その進行を予防することが重要です。日本臨床整形外科学会から、以下のようなロコモチェックが提唱されています。

  • 片脚立ちで靴下がはけない
  • 家の中でつまずいたり滑ったりする
  • 階段を上るのに手すりが必要である
  • 横断歩道を青信号で渡りきれない
  • 15分くらい継続して歩くことができない
  • 2kg程度の買い物(1L牛乳パック2個程度)をして持ち帰るのが困難である
  • 家の中のやや重い仕事(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)が困難である

これら7個のチェック項目のうち、一つでも当てはまればロコモティブシンドロームが疑われます。ロコモティブシンドロームが疑われる場合は、早めに整形外科専門医の診察を受けてみることをオススメします。

ロコモティブシンドロームの予防

いつまでも足腰を元気に保つためには、やはり予防が大切です。ロコモティブシンドロームは日頃の運動習慣や食生活で予防することができます。

特に筋力低下により転倒し、骨折してしまうと、高齢者は寝たきり状態になる恐れがあります。股関節の柔軟性を向上させるスクワット、全身のストレッチなどを続けることが推奨されています。

ロコモティブシンドロームの予防は、足腰が弱くなったなという自覚がなくても重要です。

そもそも私たちが生きる現代社会は便利な移動手段が多く、特に「歩く」ことが少ない場合では、ロコモティブシンドロームが進行していても気づいていないこともあります。日常生活に支障をきたしてからでは遅いのです。

ロコモティブシンドロームは現代社会における課題でもあります。日本は平均寿命も長く、諸外国に比べて医療水準も高いものであると知られていますが、大事なのは健康で日常生活を送れるかどうかです。実は、健康で日常生活を送れる期間=健康寿命と平均寿命の間には約10年の差があると言われています。この健康寿命と平均寿命の間である10年間は、健康上の問題で介護などのサポートが必要になる可能性が高いのです。医療人である登録販売者としてもこれらの課題をきちんと理解し、お客様に対して更なる健康増進を進めていきましょう。

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