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医薬品に対して行われるリスク評価について
医薬品の効果とリスクの関係
容量—反応関係とは
容量—反応関係というのは、薬物の容量に従ってどのような反応が現れるのかを示したものです。
薬物容量を増加させるに伴い、「無作用量」(効果の発現が検出されない量)から、「最小有効量」(治療効果が現れ始める量)を経て、「治療量」(治療効果が期待できる量)に至ります。
治療際上限を超えると、「中毒量」(効果よりも有害反応が強く発現する量)となり、「最小致死量」を経て、「致死量」に至ります。
医薬品の効果とリスク=薬物曝露時間×曝露量
医薬品の効果とリスクは薬物曝露時間と曝露量の積で表現される容量—反応関係に基づいて評価されます。薬物曝露時間というのは薬物が体内に入ってから代謝等を経て消失するまでの時間というように考えられます。
つまり薬物が少量であっても体内にとどまる時間が長ければリスクも上がるし、時間が短くても薬物が大量ならリスクが高まるということです。
治療量を超えた量を単回投与した後に毒性が発現するおそれが高いことは当然ですが、少量の投与でも長期投与されれば慢性的な毒性が発現する場合もあります。
少量の医薬品の投与であっても発がん作用、胎児毒性や組織・臓器の機能不全を生じる場合もあるということです。
LD50とは
LD50(Lethal Dose、50%)とは、薬物の毒性の指標として用いられ、動物実験で50%が死に至る量です。半数致死量とも言います。登録販売者試験でも時々問われる用語です。
リスク評価のための各種試験基準について
新規に開発される医薬品のリスク評価は、医薬品開発の国際的な標準化(ハーモナイゼーション)制定の流れのなかで、各種鬼神が設けられています。
GLP (Good Laboratory Practice)とは
GLP (Good Laboratory Practice)とは、医薬品の安全性に関する非臨床試験の基準です。非臨床試験は動物を用いて行われます。
サリドマイド薬害で非臨床試験のデータに捏造があったこと等が契機となり、アメリカで制定され、日本では1992年から医薬品のGLPが制定されました。
薬効-薬理試験や一般薬理作用試験の他に、医薬品毒性試験法ガイドラインに沿って、単回投与毒性試験、反復投与毒性試験、生殖・発生毒性試験、遺伝毒性試験、がん原性試験、依存性試験、抗原性試験、局所刺激性試験、皮膚感作性試験、皮膚光感作性試験などの毒性試験が厳格に実施されています。
GCP(Good Clinical Practice)とは
動物試験で医薬品の安全性が確認されると、ヒトを対象とした臨床試験が行われます。GCP(Good Clinical Practice)とは医薬品の臨床試験に関する基準です。
治験はこれに基づいて行われ、様々なルールが規定されています。
例えば製薬企業は「治験実施計画書」を厚生労働省に届け出る、治験審査委員会を制定し、治験の内容をあらかじめ審査する、重大な副作用は国に報告する等です。
治験は一般的には第Ⅰ相試験〜第Ⅲ相試験の3段階を経て行われています。
GVP(Good Vigilance Practice)とは
治験等を経て、医薬品が承認され製造販売され、実際に使用がされるようになってからも、医薬品のモニターは続けられます。
GVP(Good Vigilance Practice)とは医薬品の製造販売後安全管理基準のことです。 GVPの体制を整えておくことは製造販売業者の許可の要件にもなっています。
製造販売業者は製品が市場へ出荷された後も製品の品質、有効性及び安全性に関する安全管理情報を収集する義務があり、その情報の評価を適切に行い、必要な対策を講じることが求められています。
安全管理情報は医療関係者からだけではなく、学会・文献報告、当局からの情報、外国法人等からの情報、他の製造販売業者からの情報等、多角的に収集し、評価することが求められています。
GPSP(Good Post-marketing Study Practice)とは
GPSP(Good Post-marketing Study Practice)とは製造販売後の調査及び試験の実施の基準のことです。
治験だけではわからなかったことを明らかにするために、この基準に基づき、使用成績調査や製造販売後臨床試験等が行われます。
これらの試験結果を元に医薬品の再審査が行われ、医薬品の効果とリスクについて再評価されます。
一度、承認された医薬品でも、年月の経過とともに、現在の評価基準では有用性が認められなくなるということもあり得ます。
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