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登録販売者、採用の現場から

アドレナリン作動薬や抗コリン薬とは? 自律神経の働きから理解しよう

登録販売者試験で頻出のアドレナリン作動薬と抗コリン薬は、交感神経と副交感神経からなる自律神経に作用し効果を発揮します。配合されている医薬品の種類は多く、丸暗記しようとすると大変です。まずは交感神経と副交感神経の働きをしっかりとおさえましょう。そうすると医薬品の働きが理解しやすくなります。

自律神経とは

自律神経=交感神経+副交感神経

自律神経は、呼吸、血液循環、消化や発汗等のように自分の意志とは無関係に行われていて、生命や身体機能の維持のために働く機能を担う神経系です。

脳や脊髄から体の各部へと伸びている末梢神経系の1つで、自律神経は交感神経と副交感神経からなります。

体のほとんどの器官は交感神経と副交感神経2つの神経線維が支配しており、これを自律神経の二重支配といいます。

また、通常は交感神経系と副交感神経系は互いに拮抗するように働いており、一方が活発になっているときは他方は活動を制御し、各器官の働きを調整しています。

交感神経は体が緊張状態へ、副交感神経は安息状態となるように働く

交感神経が高まると血圧や心拍が上がり、汗をかくといったようなことが起こります。交感神経は「闘争」「興奮」「緊張」等をキーワードとして押さえておきましょう。

一方で、副交感神経が高まると血圧や心拍は下がり、消化が行われるといったようなことが起こります。副交感神経は「リラックス」「休憩」「食事」等をキーワードとして押さえておくとよいです。

主な効果器と自律神経の働きは表の通りですが、副交感神経が優位になると分泌腺に作用し、汗以外の体液が出やすくなるということも重要です。

ただし、汗腺については交感神経の支配しか受けないため、汗は交感神経が優位になるとかきやすくなります。

効果器 交感神経系 副交感神経系
瞳孔散大 瞳孔収縮
唾液腺 少量の粘性の高い唾液を分泌 唾液分泌亢進
心臓 心拍数増加 心拍数減少
末梢血管 収縮(→血圧上昇) 拡張(→血圧降下)
気管・気管支 拡張 収縮
血管の収縮 胃液分泌亢進
運動低下 運動亢進
肝臓 グリコーゲンの分解(ブドウ糖の放出、血糖値上昇) グリコーゲンの合成
皮膚 立毛筋収縮
汗腺 発汗亢進
膀胱 排尿筋の弛緩(→排尿抑制) 排尿筋の収縮(→排尿促進)

交感神経はノルアドレナリン、副交感神経はアセチルコリンを放出

交感神経と副交感神経は、それぞれの神経線維の末端から神経伝達物質を放出することで効果器を作動させています。

  • 交感神経の節後線維の末端から放出される神経伝達物質:ノルアドレナリン
  • 副交感神経の節後線維の末端から放出される神経伝達物質:アセチルコリン
  • 例外:汗腺は交感神経支配のみですが、全身に広く分布するエクリン腺を支配する交感神経線維の末端では、アセチルコリンが伝達物質として放出されます。(腋窩等の局所に分布するアポクリン腺を支配する交感神経線維の末端ではノルアドレナリンが放出。)

アドレナリン作動薬と抗コリン薬の用途・作用・名称

アドレナリン作動薬の用途・作用・名称

効果器に対してアドレナリン様の作用を有する成分をアドレナリン作動成分といい、これを含むものがアドレナリン作動薬です。

用途 作用 配合されるアドレナリン作動薬
かぜ薬 鼻の血管収縮→充血を和らげる
気管支を拡張→呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮める
メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩、プソイドフェドリン塩酸塩等
生薬成分:マオウ
鎮咳去痰薬 気管支を拡張→呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮める メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩、トリメトキノール塩酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩等
生薬成分:マオウ
外用痔疾用薬 肛門周りの血管収縮→止血作用 テトラヒドロゾリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、エフェドリン塩酸塩、ナファゾリン塩酸塩等
鼻炎用内服薬 鼻粘膜の血管収縮→充血や腫れを和らげる プソイドエフェドリン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩等
スプレー式鼻炎用点鼻薬 鼻粘膜の血管収縮→充血や腫れを和らげる ナファゾリン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、テトラヒドロゾリン塩酸塩等
眼科用薬 結膜の血管収縮→充血除去 ナファゾリン塩酸塩、ナファゾリン硝酸塩、エフェドリン塩酸塩、テトラヒドロゾリン塩酸塩
外皮用薬 創傷面に浸透して、その部位を通っている血管を収縮→止血効果 ナファゾリン塩酸塩等

抗コリン薬の用途・作用・名称

効果器に対してアセチルコリンの働きを抑える作用を有する成分を抗コリン成分といい、これを含むものが抗コリン薬です。

用途 作用 名称
鎮暈薬(乗物酔い防止薬) 中枢に作用して自律神経系の混乱を軽減・末梢では消化管の緊張を低下 スコポラミン臭化水素酸塩水和物
かぜ薬 鼻腔内の粘液分泌腺からの粘液の分泌抑制、鼻腔内の刺激を伝達する副交感神経系を抑える→鼻汁分泌やくしゃみを抑える ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド等
鼻炎用内服薬
総合胃腸薬 胃液分泌抑制 ピレンゼピン塩酸塩
生薬成分:ロートエキス
胃腸鎮痛鎮痙薬 胃腸の過剰な動き(痙攣)を抑制、胃液分泌抑制 メチルベナクチジウム臭化物、ブチルスコポラミン臭化物、メチルオクタトロピン臭化物、ジサイクロミン塩酸塩、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、チキジウム臭化物等
生薬成分:ロートエキス
今回は一般用医薬品に広く使用され、登録販売者試験頻出のアドレナリン作動薬と抗コリン薬を中心に取り上げましたが、これらと反対の働きをする抗アドレナリン薬やコリン作動薬というものも流通しています。それぞれの医薬品の働きや副作用がよくわからなくなってしまった時には、交感神経と副交感神経の機能から思い出してみてください。  

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