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薬情に書いてあるセント・ジョーンズ・ワートって何?
セント・ジョーンズ・ワートって何?
セント・ジョーンズ・ワートは、別名『セイヨウオトギリソウ』と呼ばれています。セイヨウオトギリは黄色い花を咲かせる根茎性の多年草で、ヨーロッパに自生していました。
何世紀も前の古代ギリシアの頃から、鎮静や催眠、精神状態を安定させる効果があると言われてきた野生植物で、ヨーロッパでは特に抑うつ症状に対して今でも広く処方されています。
他にも、マラリアの治療、鎮痛剤、創傷や火傷、虫刺され用の軟膏としても用いられてきました。今日では、民間療法または伝統療法として、うつ病、不安神経症、睡眠障害に用いられています。
しかし、西洋医学的に、抑うつ症状に対する確信的な治療効果はなく、根拠もありません。
現在日本では薬事法上、薬効があるという証拠がない限り「食品」扱いとなる規定があるため、ハーブの一種として市販されています。
セント・ジョーンズ・ワート自体に大きな副作用はなく、健康食品として摂るだけであれば大きな問題はありません。
しかし、セント・ジョーンズ・ワートは、多くの薬剤の代謝に影響し、重篤な副作用を引き起こすことが問題となっています。
薬剤提供文書に服用しないでくださいと書いてある理由
セント・ジョーンズ・ワートをある種の抗うつ剤と併用すると、抗うつ剤の標的である脳内化学物質セロトニンが増え、うつ症状が悪化し、生命を脅かす可能性もあります。
更に、ピル、ジゴキシン、一部のHIV薬や抗癌剤などといった、多くの処方薬の効果を弱めてしまうこともあります。効果が出ないことにより、処方薬が増え、副作用が多くなる事や、病状の悪化に繋がる可能性もあります。
まず、セント・ジョーンズ・ワートを含有する食品との併用により、処方薬の効果が弱まると懸念される作用機序は、セント・ジョーンズ・ワートによって、肝臓で薬を代謝する酵素が誘導(多く生成すること)され、薬が早く代謝されて無くなってしまうという流れです。
効果が弱まる処方薬の一例です。
- 経口避妊薬
- シクロスポリン(移植臓器に対する身体の拒絶反応を防ぐ)
- ジゴキシン(心臓病薬)
- インジナビルおよび、その他のHIV感染症治療薬
- イリノテカンおよび、その他の抗がん剤
- 抗てんかん薬(フェニトイン、フェノバルビタールなど)
- ワルファリンおよび類似の抗凝固剤
これらの医薬品を服用する場合は、セント・ジョーンズ・ワートを含有する食品の摂取を控えなければなりません。
逆に、現在セント・ジョーンズ・ワートを含有する食品を摂取している場合は、急に摂取を止めることにより、処方薬の効果が出すぎてしまい、好ましくない症状が現れるおそれがあります。摂取を中止する場合は、医師と相談する必要があります。
お客様の持病を知ってから販売しましょう!
お客様がセント・ジョーンズ・ワート含有のサプリメントを購入しようとしている時、声をかけられるのは登録販売者の皆さんです。
購入しようと手にとっているお客様に、「このサプリメントは、相性の悪いお薬がたくさんあるので、何点か確認させていただいてもよろしいでしょうか。」と声をかけることがとても大切です。
その際、お薬の名前が聞ければ良いのですが、なかなか難しいことが多いと思います。そんな時は持病や治療中の症状を聞きましょう!
HIVではないか、血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、 脳血栓症等)を患っていないか、心不全、心房細動、頻脈がないか、気管支喘息、気管支炎、肺気腫を患っていないか、てんかんがないか、不整脈がないか、適齢期の年齢の女性には避妊薬(ピル)を服用してないか、という点を必ず聞き取りましょう。メモしたものを見せて、当てはまるものがあるかないか聞くのがスムーズかもしれません。
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