登録販売者、採用の現場から
- ホーム
- 登録販売者、採用の現場から
- 登録販売者も知っておこう、医薬品PLセンターってなに?
登録販売者も知っておこう、医薬品PLセンターってなに?
医薬品PLセンターとは何か?
まずこのホームページに行くと最初に書かれている言葉は「医薬品について苦情を申し立てるときのご相談を受付けています。公平・中立の立場でご相談に応じます。」です。なんとも頼もしいですね。薬局やドラッグストアの現場で、「いや、それを私に言われても…」と思うようなクレームはできれば避けたいですよね。
PLというのは、製造物責任法(PL法)のPLから来ています。平成7年に製造物責任法(PL法)が施行された際、日本製薬団体連合会が医薬品業界での苦情処理体制を充実させるため、医薬品PLセンターが開設されました。
ここで注目したいのは、医薬品についての消費者保護施策としては、「医薬品副作用被害救済制度」が既に昭和54年から施行されていることです(この医薬品副作用被害救済制度はなんとなく聞いたことがあるのではないでしょうか)。
では、医薬品PLセンターがカバーするのは、一体どこからなのでしょうか。答えは、医薬品副作用被害救済制度の対象とならないケースです。単純ですね。そして対象にならないケースというのは、製品不良や製薬企業に損害賠償責任がある場合(主に、医薬品副作用被害救済制度は損害賠償責任が誰にあるか不明な場合が対象)です。
しかし、消費者が製造販売元の企業と交渉するのは非常に骨の折れる作業です。その為、消費者が医薬品PLセンターへ相談することで、医薬品PLセンターが公平・中立な立場で 申立ての相談を受け付け、交渉の仲介や調整・あっせんを行い、裁判によらずに迅速な解決に導いてくれます。
ちなみに、対象となる製品は製薬企業(原則として日本製薬団体連合会加盟団体会員)が製造または販売するヒト用医薬品(医薬部外品を含む)です。化粧品は対象になりませんので注意しましょう(登録販売者試験にもここは狙われます)。
登録販売者がこの医薬品PLセンターをどう役立てるか?
登録販売者が「医薬品PLセンターについて知っておくべきだった!!」と思うタイミングは、以下のどちらでしょうか。
- 「医薬品を購入したお客様がその製品を正しく使ったのにも関わらず、副作用が出現して苦しんでいる場合で、その損害賠償責任先が不明な(または確定できない)時」
- 「医薬品を購入したお客様がその製品を正しく使ったのにも関わらず、製品不良等により、副作用が発現して苦しんでいる時」
- 「医薬品を購入したお客様が、ある製品に対する苦情を申し立てている時」
正解は、②と③です。
①の場合は、医薬品副作用被害救済制度の対象になる可能性がありますので、お客様ご自身でPMDAへ連絡して頂きましょう。あなたが店の責任者であるならば、その際の手順をマニュアルとして作っておいても良いかもしれません。
②と③の場合は、医薬品PLセンターを紹介できます。では、センターでどのように苦情が対応されるのかを確認しておきましょう。
医薬品PLセンターでの苦情応対手順
- 医薬品苦情の相談受付け(TEL: 0120-876-532)
- 医薬品苦情に関わるメーカーへの照会、対応の依頼
- 消費者とメーカーとの相対交渉の仲介
- PL審査会による調整・斡旋
→相談内容に応じて、メーカーにPLセンターが苦情を伝え、その対応を依頼します。
→消費者とメーカーとの話し合いが円滑に進むように仲介し、PLセンターが円滑な解決を図ります。
→もし、話し合いが不調に終わった際は、PL審査会による調整・斡旋によって解決を図ることもあります。PL審査会には法律専門家や医師・薬剤師、消費者代表者、その他学識経験者で構成されています。この調整・斡旋を希望の場合は、別途書類による申請が必要です。
接客例
ここからは、例としてどのように医薬品PLセンターをご紹介するのかを見ていきましょう。
お客様:すみません。おたくでね、〇〇っていう商品を買ったんだけどね! 軟膏チューブから薬を出したら、なんか黒い点みたいのがあったんだよ。その時は別に気にしてなくていいやと思ったから、いや、その時はとにかく症状を緩和したかったから塗ったの。
そしたらその後に症状が悪化したような気がしてね。これはあの黒い点のようなものが原因なんじゃないかって!! 前にも使ったけどこんなこと初めてだよ! これは、おたくに言ってもしょうがないとは思うけどね! どうしたらいいのこれは?? 少なくとも返品できるの?
登録販売者:(返品はその店の判断に任せますので端折ります)ご相談ありがとうございます。この度は、大変ご迷惑をおかけしました。お伺いしましたところ、製品不良が原因ということも考えられます。
大変申し訳ないのですが、医薬品PLセンターにご連絡頂いてもよろしいでしょうか。こちらがお客様の製品に対する悩みやご相談内容を直接メーカーと掛け合って迅速丁寧に解決してくださいます。電話番号は……
関連記事
-
登録販売者、採用の現場から
登録販売者も知っておこう、副作用等の報告義務とは?
登録販売者試験の過去問(平成30年 京都府 午後) 問106医薬品医療機器等法第68条の10第2項の規定により、医薬品の副作用等の報告義務がある者について、誤っているものはどれか。すべて選べ。(答えは1つの可能性もあり) […]
-
登録販売者、採用の現場から
登録販売者も知っておこう、緊急安全性情報とは?
登録販売者試験の過去問(平成30年 京都府 午後) 問105緊急安全性情報に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。 医薬品、医療機器又は再生医療等製品について、緊急かつ重大な注意喚起や使用制限に係る対策が必 […]
-
登録販売者、採用の現場から
効率良く医学的知識向上を目指すなら、薬学検定がオススメ
薬学検定とはどういうもの? そもそも薬学検定とは、日本セルフケア支援薬剤師センターが実施している民間検定の一つ。セルフケア・セルフメディケーション推進活動として、正しい薬の知識習得を目的としています。 1~4級に分かれて […]
-
登録販売者になりたい人へ
登録販売者試験頻出!添付文書の基本について知ろう
添付文書の記載事項の構成 以下の項目からなります。実際の添付文書を見ると理解が深まります。 手元にない場合は独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページ(https://www.pmda.go.jp/Pm […]
-
登録販売者、採用の現場から
水虫かも!? 足のかゆみ、皮剥けってどうご案内すればいい?
水虫ってなに?? 水虫とは皮膚上に白癬菌というカビが増殖してしまう感染症のことです。よく足の裏や足の指の間に出来るイメージですが、爪や手や体にも感染します。 足の場合は靴で蒸れてしまうために白癬菌が繁殖したり、プールや温 […]
-
登録販売者、採用の現場から
重曹の性質を知って活用しよう:掃除だけじゃない重曹の用途いろいろ
重曹とは 重曹の化学名は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)です。重炭酸ソーダ・ベーキングソーダと呼ぶこともあります。 常温で白色の粉末状で、匂いはなく、特異的な塩味がします。常温の水には少ししか溶けませんが、40度くらい […]