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登録販売者、採用の現場から

重曹の性質を知って活用しよう:掃除だけじゃない重曹の用途いろいろ

重曹というと最近はナチュラルクリーニングのイメージが定着していますが、医薬品やふくらし粉・入浴剤など用途は様々。重曹のもつ、弱アルカリ性・研磨作用・発泡性といった性質と安全性の高さが家庭で様々な用途に用いられる理由です。販売されているグレードも医薬品・食品添加物・工業用と分かれていますので用途にあわせたものをおすすめできるようにしておきましょう。

重曹とは

重曹の化学名は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)です。重炭酸ソーダ・ベーキングソーダと呼ぶこともあります。

常温で白色の粉末状で、匂いはなく、特異的な塩味がします。常温の水には少ししか溶けませんが、40度くらいだと溶けやすくなります。

主に以下の3つの特徴があり、人体にも環境にも負荷が少ないことが様々な用途に用いられる理由です。

  • 酸中和作用:水溶液は弱アルカリ性を示すので、酸を中和させる作用があります。
  • 研磨作用:粒子が細かいため研磨作用があります。
  • 発泡・膨張作用:熱や酸により分解し、二酸化炭素(炭酸ガス)を発生します。

重曹の用途

医薬品としての重曹(炭酸水素ナトリウム)

市販薬としては主として胃の薬に配合されています。中和作用によって胃酸を弱めることが目的です。炭酸水素ナトリウムは局方品として、単剤でも販売されています。

その他に坐剤に配合されることもあります。直腸内で徐々に分解して炭酸ガスの微細な気泡を発生することで直腸を刺激する作用を期待して用いられています。

医療用としては、人工透析剤やアシドーシス(体液が正常よりも酸性に傾いた状態)などへの使用が代表的な用途です。

食品添加物としての重曹

代表的な用途は膨張剤(ふくらし粉、ベーキングパウダー)で、焼き菓子等をふっくらと膨張させるための成分です。

重曹単独で用いられることもありますし、酸剤などと配合されたベーキングパウダーが用いられることもあります。食品中の酸と反応し炭酸ガスを発生することを利用しています。

かんすい(中華麺特有の食感や色を持たせるためのもの)にも配合されることがあり、パスタを重曹と一緒に茹でると中華麺のような食感になるので裏技的に試してみるのもおすすめです。

そのほか山菜のアク抜きや肉を柔らかくする下ごしらえ等に使用することができます。

入浴剤としての重曹

重曹(炭酸水素ナトリウム)は酸と合わせて、入浴剤として使われます。お風呂に入れるとシュワシュワと泡が出てくる入浴剤がありますが、これは炭酸ガスが発生しているためです。

炭酸ガスの血管拡張作用を期待して使用されています。市販品では重曹(炭酸水素ナトリウム)とフマル酸、リンゴ酸、コハク酸等の酸と組み合わせて販売されているので、ぜひ表示をチェックしてみてください。

市販品を使わない時は、重曹(炭酸水素ナトリウム)とクエン酸を入れると簡単に炭酸風呂を楽しむことができます。

天然塩やエッセンシャルオイル、アスコルビン酸等と組み合わせて手作りバスボムを楽しむのもおすすめです。

酸と組み合わせず、重曹単体をお風呂に入れるという使用方法もあります。

この場合炭酸風呂というよりも、重曹水の弱アルカリ性により、酸性の皮脂汚れや体臭を和らげることが期待できます。

お風呂に重曹のみを入れる場合は、皮脂を必要以上に落としてしまうことがあるので、肌の弱い人は特に注意して様子を見ながら使用してください。

消臭剤としての重曹

重曹は消臭剤としても使用できます。これも重曹の酸中和作用によるもので、酸性物質の臭いをアルカリで中和して消すことができるためです。

汗の臭い、足の臭い、排水溝の臭いなどが酸性物質の臭いなので、これらには効果が期待できます。

重曹は水には少ししか溶けないので、お湯に溶かしてスプレーにして使用するのがおすすめの使い方です。作ったスプレーは日持ちしないので余ったら掃除やお風呂などに使うと良いでしょう。

研磨剤としての重曹

重曹の粒子はとても細かく、陶器や金属に傷をつけずに汚れを磨き落とすことができます。

ついたばかりの汚れなら粉末をかけて柔らかめのタオルやスポンジでこするとすぐに落とすことができます。時間が経過してしまったものについては、重曹水につけ置くなどして汚れを浮かせてから、粉末をかけてこするとよいです。

ただし、アルミは重曹と反応して黒ずんでしまうことがあるので使用は避けてください。

洗浄剤としての重曹

洗浄剤としての重曹も酸中和作用を利用したもので、酸性の汚れに使用できます。

油汚れなど、家庭内の汚れは酸性のものが多いですが、水垢汚れやトイレの黄ばみなどはアルカリ性の汚れです。重曹は全ての汚れに対して万能というわけではありません。

ただし、研磨作用によってこれらをある程度こすり落とすということはできます。

また、重曹水のpHは8.2ですが、洗浄に適したpHは9.0~10.5なので、洗浄力としては強くありません。

重曹水を沸騰させるとアルカリ性が高くなるので、頑固な汚れには沸騰して冷ましたものを使うか、セスキ炭酸ソーダなどよりアルカリ度の高いものを使用した方がよいです。

重曹の用途はとても広いですが、万能というわけではありません。重曹の性質を知っておくと、用途にあわせたアドバイスができます。医薬品として使用する場合はもちろん、医薬品の重曹でなければなりませんが、口に入れたりすることはないのであれば、掃除用として売られているグレードの重曹で十分です。迷われているお客様がいらしたら用途を確認してください。

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