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漢方婦人科三大薬の「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」「加味逍遥散」をおさえよう!

婦人薬として用いられる漢方には様々な処方が存在し、漢方で改善がみられやすい領域とも言われます。勉強は大変ですが、まずは漢方婦人科三大薬と呼ばれる「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」「加味逍遥散」から学ぶのもおすすめです。臨床でも広く使用されています。

そもそも月経に伴う症状にどのようなものがあるのか?

まず、個人差がありますが、女性は月経に伴い様々な症状が現れる場合があることを知っておきましょう。また月経中や更年期だけでなく月経前に痛みやいらいらなどの精神神経症状が現れるという人も多くいます。

月経開始の10日〜3日前に現れる、腹部膨満感、頭痛、乳房痛などの身体症状や感情の不安定、興奮、抑鬱などの精神症状は、月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)と呼ばれ、認知度が高い言葉です。

かつては月経前緊張症と呼ばれていました。また最近はPMSのなかでも、とくに精神症状(憂うつやイライラなど)が強いものを、月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder : PMDD)と呼ぶこともあるので、これらの言葉もぜひ頭に入れておいてください。

漢方婦人薬の適応症

漢方婦人薬は、月経及び月経周期に伴って起こる症状を中心として、女性に現れる特有な諸症状(血行不順、自律神経系の働きの乱れ、生理機能障害等の全身的な不快症状)の緩和と、保健を主たる目的とします。

その効能・効果として、血の道症(ちのみちしょう)、更年期障害、月経異常及びそれらに随伴する冷え症、月経痛、腰痛、頭痛、のぼせ、肩こり、めまい、動悸き、息切れ、手足のしびれ、こしけ(おりもの)、血色不良、便秘、むくみ等があります。

血の道症というのは、漢方医学の言葉ですが、月経、妊娠、分娩、産後、更年期などに伴って現れる精神神経症状および身体症状をいい、PMSもこの1つと考えてよいです。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)について

当帰芍薬散は漢方医学的に言うと虚証(虚弱)・寒証(冷え)・湿症(水分停滞)・血虚(「けっきょ」と読みます。血流不足や貧血症状)が適応症で、血液など水分の巡りをよくするものです。

体力が虚弱で、冷え症で貧血の傾向がある人に適するということをまず、キーワードとして覚えておきましょう。婦人科薬として女性に用いるだけではなく、全身の水分の巡りを改善するので、耳鳴りやめまい、立ちくらみへの効果を期待して用いることもあります。
胃腸の弱い人は、不快感等の副作用が現れやすいため不向きとされます。

効能効果として示されているのは、以下のとおりです。

体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り、低血圧

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)について

桂枝茯苓丸は漢方医学的に言うと、適応証は、中間証(体力中程度)・瘀血(「おけつ」と読みます。血流停滞)です。比較的体力があり、のぼせて足冷えがするような人に適するということがキーワードとなります。

体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)は不向きとされ、 まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることが知られています。

効能効果として示されているのは以下の通りです。

比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの、月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、2打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹しん・皮膚炎、にきび

加味逍遥散(かみしょうようさん)について

加味逍遥散は漢方医学的に言うと、虚証(虚弱)・寒証(冷え)・湿証(水分停滞)・瘀血(血流停滞)・気上衝(のぼせ・イライラ・緊張・不安)が適応証で、血液循環をよくして体をあたためる一方、のぼせなど上半身の熱を冷ますとされます。

体力が中程度以下でのぼせ感があり精神不安等の精神神経症状がある人に適するということがキーワードとなります。胃腸の弱い人では悪心(吐きけ)、嘔吐、胃部不快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされ、 まれに重篤な副作用として、肝機能障害、腸間膜静脈硬化症を生じることが知られています。

効能効果として示されているのは以下の通りです。

体力中等度以下でのぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症

漢方薬は長期で用いるものも多く、特に内服で用いられる婦人薬は、比較的作用が穏やかで、ある程度長期間使用することによって効果が得られるとされています。とはいえ、1か月位使用して症状の改善がみられず、日常生活に支障を来すようであれば、医療機関を受診するなどの対応が必要です。一般用医薬品を漫然と使用させることのないように注意しましょう。

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