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登録販売者ドタバタ劇場

服用後、乗り物又は機械類の運転操作をしないこと

医薬品の副作用「眠気」には、多くのお客様が注意を払っています。しかし、気をつけなければならないのは眠くなったと感じる、いわゆる「眠気」だけではありません。この注意事項はどのような理由で、どのような薬に記載されるのか考えてみましょう。

記載される理由

この注意事項が記載される理由は大きく分けて2つあります。

1つはその医薬品を使用することで眠気が引き起こされるため。もう1つは目のかすみや異常なまぶしさを感じることがあるためです。

眠気が引き起こされる

前者の眠気が引き起こされるものは睡眠改善薬のほか、アレルギー用薬やかぜ薬などの抗ヒスタミン剤が含まれているものなどイメージがつきやすいかもしれません。

これらの薬は脳の意識レベルに関わる部分にも作用して眠気を引き起こしますが、より大きな危険が伴う「インペアードパフォーマンス」という状態も起こる可能性があります。

インペアードパフォーマンスとは本人が気付かないうちに意識レベルが低下する(眠くなる)状態のことです。本人はいつも通り乗り物や機械の運転や操作を行えているつもりでも集中力や判断力が低下しているため、より重大な事故を起こしてしまう危険があるのです。

また睡眠改善薬など元々眠気を引き起こさせるように作られている医薬品では特に、体質や体調によって翌日まで眠気が持ち越される場合があります。使用した翌日も眠気や倦怠感を感じる場合、危険を伴う作業は控えるべきでしょう。

目のかすみ・異常なまぶしさ

後者の目のかすみや異常なまぶしさは主に抗コリン作用のある医薬品の使用で起こります。

ヒトなどの動物は無意識のうちに瞳孔の大きさを変えることで、目に取り込む光の量を調節していますよね。通常時であれば、コリン(アセチルコリン)は瞳孔を小さくして取り込む光を少なくする働きを担っています。

しかし、抗コリン作用のある薬を使用するとこの働きが阻害されて瞳孔が大きく開いたままになるため、目がかすんだり異状にまぶしく感じたりするのです。

当然、かすんだりまぶしく見えたりしている状態での乗り物や機械の運転や操作は危険を伴いますので、してはいけないことになっています。

記載される場所

この注意事項は医薬品の使用後、乗り物又は機械類の運転操作をしないことですので、添付文書中の「してはいけないこと」に記載されます。また、重要な注意事項ですので多くの商品では外箱にも記載があります。

記載される含有成分と薬効群

ブロモワレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素を含む解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンなど)を含むかぜ薬やアレルギー用薬、睡眠改善薬全般、抗ヒスタミン剤を含む鎮咳去痰薬、抗コリン薬(スコポラミンやベラドンナエキスなど)を含む鎮痛鎮痙薬、乗り物酔い薬(鎮暈薬)、抗ヒスタミン剤を含む内用痔疾用薬など。

近年、自動車の運転中に居眠りをして重大な事故を起こしてしまうなどの問題も多数起きています。原因としては日々の寝不足ももちろんありますが、医薬品の副作用というケースも少なからずあるようです。また登録販売者としては眠気だけでなく、比較的知名度の低い「目のかすみやまぶしさ」にも注意を払いたいですね。

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