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妊娠中に飲んでも良いのか、判断が難しい。という登録販売者の疑問を解決!
妊娠を三期に分類
妊娠初期
妊娠初期の薬の服用や使用で、最も大きな問題は形態異常(奇形)です。
この期間に胎児の器官を作る過程に影響のある薬を服用、使用してしまうと、器官形成にトラブルが発生し、形態異常が起こることがあります。
薬が胎児に最も影響を与えやすいのは妊娠4ヶ月までで、特に2〜3ヶ月までに胎児の重要な各器官は形成されます。
卵子と精子が出会い、受精してから子宮に着床する辺りの期周(排卵後2週間)の受精卵(※1胎芽)は比較的抵抗する力があり、薬の影響はあまり受けないと言われています。
ただし、この時期に何らかの影響や障害を受けた受精卵(胎芽)は、その影響や障害が大きいと死んでしまい、流産すると言われています。
※1胎芽とは妊娠20日までの妊卵の状態をいいます。
受精後器官形成期の胎芽が薬の影響を受けた場合は、その時期に応じて形態異常(奇形)を起こす部位が異なってきます。
最終月経から数えて14週間(排卵から12週間)が最も注意を要する期間になります。
神経系は妊娠2~4週、心臓は妊娠3~6週、四肢は妊娠4~7週に作られるので、この期間の薬の使用には最も注意が必要です。
特に受精してから7週までは比較的大きな形態異常が起こりやすく、8~16週頃は器官の成長が続き、生理作用や機能作用の成長段階にあるため、器官の機能障害や比較的小さな異常が起ると言われています。
妊娠14週を過ぎた後は、形態異常(奇形)については、あまり心配することはないと言われています。
胎児発育期
次に、期間形成期を過ぎた胎児では、薬は母体から胎盤を通過して影響を及ぼします。
薬は胎児自身の肝臓や腎臓で解毒、排泄ができない場合は、再び胎盤を通って母体に戻ります。そのため、直接の障害作用は少ないと考えられています。
しかし、現在のところすべての薬(成分)で明確になっている訳ではありません。
胎盤は、胎児を守るため関所の役目をしています。胎児に必要な栄養を通すという役割と、胎児に届いてほしくないものを排除する役割とがありますが、自由に行き来できてしまうような成分が多くあり、それらは胎盤でも排除することは難しくなっています。
そのため、妊婦が服用、使用した多くの薬が胎盤を通過して胎児に届いてしまうと頭に入れておいて下さい。
その中でも、よく通過するものは、抗生物質、睡眠剤サルファ剤、性ホルモン剤、ビタミンAです。
周産期
周産期では、妊娠末期に用いた薬が、胎児体内に移行した頃に出産した場合には、生まれた新生児の体内で薬が悪影響を及ぼす可能性があります。
新生児では解毒機能や排泄機能が十分には働きません。薬の種類にもよりますが、少量でも問題になることがあるので覚えておいて下さい。
お客様との対話の仕方
ここまでの内容を頭に入れておいて下さい。
その上で、お客様から聞かれた時、とっさの判断に困らないようにするためには、以下のことに注意しましょう。
まずは今妊娠何週目なのか聞いてください。
そして、まず市販薬の外箱に『服用しないこと』という項目の中に「妊娠中、授乳中の方は服用しないでください」もしくは、「妊娠中、授乳中の方は医師又は薬剤師に相談してください」と書いてあるかないかを確認します。
書いていないものは安全です。どの数週においても安心という判断で問題ありません。お客様に安全に使用できる事をお伝えし、お渡しして下さい。
次に、書いてあった場合、妊娠初期は基本的に市販薬の販売はやめましょう。何かあった場合、訴訟問題になりかねません。その時は、病院を受診すると妊娠中・授乳中でも服用できるお薬があることをお伝えしましょう。
妊娠中期、後期になると、市販薬でも大きな問題は基本的に少ないと考えられます。
ただし、中期に関してはグレーゾーン(小さな奇形等)もあるため、初期の患者さんと同様の対応をしましょう。
後期になるとほとんど問題はないのですが、ロキソプロフェン(ロキソニン)の成分は、内服薬でも湿布薬でも血管収縮作用を持つため、使用不可となります。
このロキソプロフェンは、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)という分類に入ります。ロキソプロフェン以外にもNSAIDsに分類されるものはあるので、自分の職場にある市販薬のうち、どれがNSAIDsであるのかを把握してメモしておきましょう。
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