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夏バテに効果がある漢方薬とは

なんとなくだるい、気力が出ない、食欲がない……。 こんな症状を訴える患者さんが、あとを絶ちません。とくに、暑い夏から秋にかけては、いわゆる「夏バテ」で悩む患者さんが多くなるのが特徴です。 もちろん、検査で異常が認められ、病気と診断できる場合もありますが、検査でまったく異常が認められないケースも案外多いのです。

夏バテ、慢性疲労に効く漢方薬がある?

夏バテや、慢性疲労の場合、東洋医学的な診断と漢方薬治療が役に立ちます。東洋医学的には「症状はあるが、検査に異常が認められない状態」を「未病」と言います。

「未病」とはその字のごとく、「未だ病にあらず」という意味です。この状態を「検査に異常は認められません。しばらく様子を見ましょう」と放置すれば、やがて明らかな病気になる可能性もあります。

そもそも、そのまま何もしなければ、長い間体調不良のまま生活しなければならず、患者さんのQOL(生活の質)が落ちてしまいます。

まず、患者さんの食事内容や睡眠時間、そして運動量などに問題があれば正し、必要であれば漢方薬を用いて治療します。

夏バテや慢性疲労で、食欲も落ちているような人には「補中益気湯」が適しています。この処方は「人参」「甘草」「柴胡」「生姜」の生薬で構成されますが、体力のない方(虚証)の体力増強に大いに役立つ薬です。

また、夏バテが多いのは、汗がだらだら流れ、胃腸機能が低下し、下痢ぎみになるような状態です。このような人には「清暑益気湯」が効果的です。

そして、胃腸症状のうち、とくに胃にくるタイプには「六君子湯」が適しています。食べるとすぐに胃もたれを感じ、食べたくても食べられずに夏バテしてしまう、という人に向いている漢方薬です。

足のけいれんに効く漢方薬がある?

夏に激しいスポーツをしたあとや、就寝中に突然襲ってくる「足のつり(こむら返り)」。
ふくらはぎの筋肉が硬直するケースが多いですが、足先、土踏まず、太ももなどがつる方もいます。読者のなかにも、こむら返りをよく起こす方がいらっしゃると思います。

その原因は、「筋肉疲労、血行不良、ミネラルや水分不足」が一般的ですが、糖尿病やある種の筋肉や神経の病気、甲状腺の病気、変形性腰椎症などによる神経症状として起こることも少なくありません。

ただ、ほとんどの「つり」は病気と無関係に起こるものなので、特別な治療法はありません。小林製薬が行ったアンケート調査(50~60代の男女2124人対象)でも「37%が月に1回以上つりを経験」し、「33%が痛みや違和感を翌日まで持ち越す」ものの、「十分な対処法はないので、マッサージやストレッチで対処している人が大半を占めている」とされています。

ところが、こむら返りには、即効性の期待できる大変効果的な漢方薬があります。
それは「芍薬甘草湯」。服用後10~30分で筋肉のけいれんや、こむら返りの痛みを改善します。「急激に起こる骨格筋や平滑筋のけいれん性疼痛、腹部の疝痛などに頓服として用いる」とされ、証に関係なく服用できるすぐれた薬です。

配合成分は、芍薬と甘草だけとシンプルですが、腎臓系疾患、ぎっくり腰、月経困難症、気管支ぜんそくにも適応する、西洋薬では考えられないような多くの薬効を示します。「こむら返り」は、本当につらいものです。頻繁に起こる方は、芍薬甘草湯を常備しておくことをおすすめします。

これらの処方は、漢方を代表する体力の低下を補う薬で、「補剤」と呼ばれています。もし、体力にあまり自信がなく、毎年のようにひどい夏バテを経験する方は、春のうちから服用を始め、夏までに体力を補強しておくのもいいでしょう。

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