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「胃の不快感」は食前か食後かを聞いて商品を選択する

働く世代にも多い「胃部の不快感」。ガスター10など第1類医薬品をはじめとして、たくさんの商品が発売されていますね。お客さまに相談されることも多い胃薬ですが、どのように選択すればよいのでしょうか。今回は症状の現れるタイミングに着目して考えてみましょう。

胃の不快感を引き起こす原因は、攻撃因子と防御因子のバランス?

胃は主に、食べ物を溶かすことでその後栄養を吸収しやすくさせる働きを持っています。
この働きに欠かせないのが胃酸。胃酸は非常に強い酸ですので、何も保護がなければ自分の胃も溶かしてしまいます。そのため胃は自分を溶かさないために粘液を分泌しています。健康な状態では、胃酸などの攻撃因子と、粘液などの防御因子をちょうど良いバランスで分泌するよう調節しているのです。

しかしストレスや加齢、生活習慣などによりバランスが崩れてしまうと胃が荒れ、痛みや不快感を引き起こす原因に。また、胃を含めた消化管の運動が鈍くなったり活発になったりしすぎても症状が現れます。

発症タイミングでわかる原因の見分け方

胃薬を選択するためには不快感の原因が、攻撃因子や防御因子の増減なのか、消化管運動の量なのかを見分けることが非常に重要です。これを見分けるためには、症状が現れるタイミングをたずねる方法がオススメ。食前、つまり胃に物が入っていないときに症状がある場合は、胃酸が出すぎている可能性があります。

このように攻撃因子が増えすぎる症状は、比較的若いお客さまに多く見られます。反対に、食後の不快感が強い場合、うまく消化が出来ていないことが原因になっている可能性が高いです。胃酸の分泌量の減少や消化管の運動が鈍くなることでおこりやすいため、中高年のお客さまに比較的多くみられるのがこちらのタイプ。原因は商品選択に大きく関わるので、上手に聴き取りしたいですね。

それぞれの症状にあった商品は?

原因を見分けたらいよいよ商品選択です。まず、胃酸の出過ぎで食前に痛みのあるお客さまには、制酸剤(炭酸水素ナトリウムや酸化マグネシウムなど)や胃粘膜保護剤(スクラルファートなど)が適しています。また、H2ブロッカー(ファモチジンやニザチジンなど)は就寝前に飲むことで夜間の胃酸分泌を抑えられるため、オススメできます。お客さまがガスター10などの第1類医薬品を希望された場合は薬剤師へ引継ぎましょう。

次に、食後にもたれたりゲップが増えるなどの不快感が強い場合。そのようなお客さまには、健胃剤(センブリなどの生薬)や消化剤(ジアスターゼなどの消化酵素)がおすすめです。原因を見極めて選択できるのが理想的ですが、わかりにくい場合やいろいろな症状をあわせ持ったお客さまには総合胃腸薬をオススメすると良いでしょう。

胃が痛い、ムカつく、と訴えるお客さまは年齢や性別を問わずいらっしゃいます。飲み会の多い時期になると特に相談が増えますね。しかし、よく聴き取りをしてみると実は原因は胃ではなく腸だった、ということも。ぜひ、いつ起こるどんな症状なのか商品を提案する前に聴くクセを付けてくださいね。

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