登録販売者.com

ログイン 無料登録

登録販売者、採用の現場から

医薬品の副作用について―血液障害編―

市販薬の使用上の注意に書かれている「してはいけないこと」の中に、「次の方は服用しないで下さい」という項目があることはご存知でしょうか。もちろん知っています。と多くの登録販売者が答えてくれると思いますが、その項目にある以下のような文章に注目したことがあるでしょうか。『医師から赤血球数が少ない(貧血)、血小板数が少ない(血が止まりにくい、血が出やすい)、白血球数が少ない等の血液異常を指摘されたことがある人』上記のような記載がある医薬品には副作用の項目に「血液障害」という記載があると思います。血液障害とは一体どのような症状を指すのでしょうか。今回は市販薬でも起こりうる「血液障害」について少し噛み砕いてお伝えしていきます。

貧血の概要

まずは赤血球関連の血液障害です。「え、赤血球って何だっけ」という方もいるかと思いますので、まず赤血球について説明します。

赤血球は、細胞成分のうちで圧倒的に多い(約96%を占める)血球成分です。その数は血液1μL中、男子で約500万個、女子で約450万個あり、そこに含まれるヘモグロビンが、からだの各組織に酸素を送り届けるとともに、各組織でできた炭酸ガスを肺に持ち帰る働きをします。貧血は、主にこのヘモグロビンが減少するために起こる病気です。

一般社団法人 日本血液製剤協会 http://www.ketsukyo.or.jp/blood/blo_01.html

市販薬では、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)やH2ブロッカー等で起こる可能性があると言われています。ただし、非常に稀です。

貧血の症状と治療

症状としては、「疲れやすさ」「顔色の悪さ」「だるさ」「動悸」などが早期に出現すると言われています。服用中の薬剤が原因だと考えられる場合は、その薬剤を中止することが大切です。薬剤性の場合は中止してから1~2週間程度で回復する場合が多いです。

しかし、薬が原因の貧血はすぐに発症する場合と数カ月後に発症する場合があり、判断が難しくなっています。不安な場合はすぐに医療機関を受診するようお伝えしましょう。

白血球減少症の概要

まず白血球とは何かをお伝えします。

白血球は、血液1μL中、4,000~9,000個程度あり、体内に侵入してきた細菌、ウイルス、有害物などを取り込んで食べてしまい(貪食作用という)、私たちのからだを病気から守ってくれる重要な働きをしています。

一般社団法人 日本血液製剤協会 http://www.ketsukyo.or.jp/blood/blo_01.html

白血球にも様々な種類(好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球等)がありますが、このうち市販薬で起きる可能性があると言われているのは、好中球減少症です。

原因となる薬剤は多数ありますが、市販薬では非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)やH2ブロッカー等で起こる可能性があると言われています。

薬剤性好中球減少症の症状と治療

実は、好中球減少症には特有の症状がありません。口や肛門の周りにびらんが出来ることがあると言われていますが、多くの場合は感染症に罹患した場合に発見されます。

治療としては、まず原因である可能性が高い薬剤を中止することが大切です。基本的には原因薬剤を中止した後、1~3週後には好中球の数は回復します。しかし、もし感染症にも罹ってしまった場合は抗菌薬の投与が必要です。

お客様には、「白血球が減少してしまうことは稀ですが、心配であれば市販薬を中止して医療機関をご受診ください」等とお伝えすると良いかもしれません。

血小板減少症の概要

こちらも、まず血小板とは何かをお伝えします。

血小板は、血液1μL中およそ15万~40万個あります。血小板の大事な役割は、出血を抑える作用(止血)です。

一般社団法人 日本血液製剤協会 http://www.ketsukyo.or.jp/blood/blo_01.html

血小板減少症は薬を服用してから5~10日後に出現することが多いです。

ドラッグストア等で働いていて起こりうることは、「血小板が少なくなったらどうしたら良いの? どのような症状がでる?」等の質問を頂くことでしょう。このような質問にも答えられるよう、一般的な対処法を見ていきましょう。

薬剤性血小板減少症の症状と治療

症状としては血小板の働きからも分かるように、出血しやすくなってしまうことです。つまり、あざが出来やすくなったりします。また、女性の場合は月経量が多くなることもあります。

治療としては、まず原因である可能性が高い薬剤を中止することが大切です。基本的には原因薬剤を中止した後、1~2日後には血小板数は上昇します。

同様の決まり文句ですが、お客様には「血小板が減少してしまうことは稀ですが、心配であれば市販薬を中止して医療機関をご受診ください」等とお伝えすると良いかもしれません。

今回は市販薬でも起こりうる血液障害についてお話しました。上記のような症状が発症することは非常に稀であり、薬剤が原因でない場合もあります。ただし、市販薬の添付文書(説明書)にも書いてある事項ですので、やはり登録販売者も知っておくべきだと思います。少し難しい話だったと思いますが、重要なのは「市販薬でも上記の症状が起こりうること」、「疑わしい場合はすぐに使用を中止して医療機関を受診すること」です。今一度どの市販薬の説明書に「血液障害」の文言があるかどうか確認しておきましょう。

arrow_drop_up