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ノロウイルスの感染を防げ! 消毒薬の種類と使い分け方

消毒薬というとアルコール(エタノール)やヨードチンキ・ポビドンヨード(イソジン)などが思い浮かぶ人も多いと思いますが、実は消毒薬にもいろいろな種類があります。例えばノロウイルスの消毒を行おうとして、ノロウイルスに効果の無い消毒薬を選んでしまうと感染のリスクが大きく上がってしまうので注意が必要です。今回は消毒薬の種類とその使い方についてみていきたいと思います。

消毒するという意味

消毒とは人にとって有害な微生物等を殺滅することを指します。

消毒による衛生環境の向上で微生物による感染症などのリスクを抑制することができるのです。

ただ先ほども述べた通り、消毒薬の効き目は対象となる微生物の種類によって違ってくるため状況に合わせて消毒薬を選択する必要性が出てきます。

具体的に消毒薬に最も強い抵抗性を示すのは芽胞と呼ばれるもので、芽胞とはある種の細菌が増殖に適さない厳しい環境を生き延びるために細菌内に作る耐久性の構造を持ったものを指します。

次いでエンベロープをもたない持たないウイルス(ノロウイルスなど)が消毒薬にある程度の抵抗性を持ちます。

エンベロープとはウイルスを覆う脂質性の膜のことで、エンベロープがあるウイルスや一般細菌ではアルコールなどの消毒薬が効きやすくなります。

また消毒薬は強さで分けられると共に、人体に使うものと環境に使うものにも分けられるので把握しておく必要があります。

消毒薬の種類と特徴

消毒薬はその強さによって高水準、中水準、低水準消毒薬に分類されます。

 

高水準消毒薬

高水準消毒薬は芽胞を含めあらゆる微生物を消毒することが可能ですが、人体への毒性も高いため主に病院などで医療機器の消毒に用いられます。

 

中水準消毒薬

次に中水準消毒薬ですが、芽胞には効果が得られませんがそれ以外のほとんどの微生物に対して有効なものがあります。

乳児の哺乳瓶の消毒などに用いられる次亜塩素酸ナトリウム(ミルトンなど)も中水準消毒薬のひとつで、0.1%以上の濃度ではノロウイルスにも有効であり傷口や金属には使用できませんがノロウイルスの汚染部位など環境の消毒には非常に有効です。

またアルコール(エタノール)も中水準消毒薬に分類されますが、ノロウイルスなどのエンベロープを持たないウイルスにはあまり効果が期待できないため注意が必要です。

ただエタノールは一部のウイルスや細菌に消毒効果を発揮し、手指や身の回りの消毒などさまざまな活用法があるため優れた消毒薬のひとつと言えます。

 

低水準消毒薬

最後に低水準消毒薬ですが、クロルヘキシジン・ベザルコニウム・ベンゼトニウムなどが挙げられます。

これらの消毒薬の成分は、ウェットティッシュやうがい薬の成分として配合されていることも多く、消毒薬の中では最も身近なものと言えるかもしれません。

低水準消毒薬は細菌のみに有効で消毒対象は限られてしまいますが、人体に対する傷害が少なく安心して使用できる消毒薬です。

またエタノールに対してアレルギーを持っている人では、低水準消毒薬を代わりに使用できることも多いので提案してあげましょう。

このように一言で消毒薬といっても、消毒する微生物の種類や使用する部位・場所によって消毒薬を選択する必要があるのです。もし間違った消毒薬をお客様に勧めてしまっては、不要に感染症を拡大させることになりかねません。公衆衛生という言葉がありますが、これは社会の人々の健康を守るための組織的な衛生活動のことを指しています。薬局やドラッグストアで感染症予防のために消毒薬を販売するということは、こうした公衆衛生の一端を担っていることを認識しながら、お客様に正しい消毒薬を勧められるようにしましょう。

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