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「尿が出にくい」の原因としては、かぜ薬も疑って
排尿困難と前立腺肥大
男女問わず加齢に伴って尿の出が悪くなったり、反対にしたいと思っていないのに尿が漏れてしまう機会が増えるのは決して珍しいことではありません。
特に50代を過ぎた男性では30%以上、80代になると実に90%の方に前立腺肥大がみられますので、主な自覚症状である排尿困難はほとんどの方に起こり得ると考えられます。
とはいえ、前立腺肥大が起きているからといって生活に大きな支障がなければ、必ずしも病院で治療しなければならないわけではありません。
だからこそ、お客様に身近な登録販売者が適切なアドバイスをして通院しなくても済むようにしてあげたいですよね。それでは、どのようなアドバイスが考えられるのでしょうか?
かぜ薬でも前立腺肥大を悪化させる可能性はある
相談は「最近おしっこが溜まっているはずなのに出にくい」や「夜、何度もトイレに起きる」という内容がほとんどでしょう。
この症状を市販薬で解決するためには、漢方薬を中心とした商品ですよね。(商品名からは漢方薬ではないように感じるものも多く発売されていますが、ほとんどは生薬成分でできています。)ですが、「それではこの薬を」とおすすめするのは少し待ってください。そのお客様は他に薬を飲んでいませんか?
前立腺肥大は副交感神経などの動きによって影響を受けるため、市販のかぜ薬を使用するだけでも症状が悪化する場合があります。特に抗コリン作用のある成分は前立腺肥大症に禁忌とされ、添付文書にも記載されていますが、お客様がこれまで前立腺肥大症の診断を受けていなければ気付かずに使用していることも十分考えられますよね。
このケースでは、悪化の原因となっている薬の使用をやめることで症状がなくなることも。
したがって、商品をおすすめする前に必ず「今他にかぜ薬やアレルギー用薬など、薬は飲んでいませんか?」と聞き取りをしましょう。商品をおすすめするばかりが接客ではありません。排尿困難のための薬を無駄に増やすのではなく、症状を悪化させている原因を見つけるほうが難易度は高いのですが、その分信頼が得られ次に繋がりますよ。
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