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現場で役立つ季節の健康ネタ

ネアンデルタール人も利用していたかも?~長い歴史を持つアスピリン~

おもしろいニュースを見かけました。旧人類ネアンデルタール人が、天然の抗生物質や鎮痛成分を含む草木を食べていたことがわかったという研究論文が発表されたそうです。

ネアンデルタール人が食していた食べ物とは?

●ネアンデルタール人、歯痛に「鎮痛薬」使用か 研究(AFP時事)

http://www.afpbb.com/articles/-/3120730 

食べていたのは、抗生物質を産出する真菌や、サリチル酸を含むポプラの木の破片だそうで、また別の研究ではノコギリソウやカモミールなどの薬草を使用していたことも示唆されています。

そうなると、人類の仲間と薬との関係は、約5万年も遡るということになります。長い付き合いですねぇ!

アスピリンの有効成分でもあるサリチル酸

さて、このサリチル酸。現代で有名なところでは解熱鎮痛剤NSAIDsの仲間であるアスピリンの有効成分。歴史ある古いお薬で「薬の王者」とも呼ばれ、ギリシャの医聖・ヒポクラテスも使っていたという記録があるそうです。

洋画をよく見る方にはお馴染みの、アメリカ人がとにかくなにかと言えば水の入ったカップに錠剤を放り込み、シュワーっと発泡したところをぐっと飲む、というシーンがあります。

あれは多くがアスピリンに重曹が含まれたもので、一番メジャーな医薬品の名前としては「アルカ・セルツァー」という商品。
重曹が含まれるので発泡するし、胃酸過多や胸焼けなどへの効果も期待できるということになります。

アメリカ人のアスピリンの消費量はハンパではなく、年間200億錠にも達するといわれています。一説には全世界の消費量の30%程度、300億錠に達するという説もあります。

もちろんNSAIDsの仲間ですので、胃潰瘍などの胃腸関係の副作用があり、年間で10万人弱が副作用の胃痛で入院し、2,000人が死亡していると言われているそうですが、すさまじい数ですね。

病気の予防・治療にも使用されるアスピリン

また、海外では特に疾患がない方でもアスピリンを常用していることが多く、それも消費量拡大に関わっています。

通常の解熱鎮痛に使うもの以外に、低用量アスピリンには抗血小板作用があり、このため虚血性心疾患や、脳梗塞などの動脈が関わる血栓の病気の予防・治療に使われるために、海外では予防として飲んでいる方も多いのですね。

ただし、上記に書いたようにもちろん副作用の心配や飲み合わせのこともあり、用いる用量により作用が異なる性質もありますので、個人判断での常用は薦められません。

●アスピリンと他のNSAIDsの違いや特徴について(ミナカラ)

https://minacolor.com/articles/show/3215

アスピリンは抗血小板作用を持つため、ワーファリンや他のNSAIDsとの併用によりいっそうの慎重さが必要になります。

低用量のアスピリンで抗血小板治療を行っている人などは、特に解熱鎮痛剤や、NSAIDsが含まれている総合感冒薬の選択には注意が必要です。

●アスピリン(おくすり110番)http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1143001.html 

最近では大腸癌予防薬としてのランダム化比較試験まで行われているというアスピリン。いまだ知られないさまざまな効能がありそうです。

日本で有名なお薬としては、「バファリンA」にも含まれていますが、元々バファリンの名前の由来は「胃にやさしいアセチルサリチル酸」という意味で、Buffer(緩和するもの)+Aspirinを組み合わせたものなんですって!

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