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登録販売者、採用の現場から

鎮咳薬の作用機序とは? なぜコデイン類含有製剤は小児に禁忌なのか?

ドラッグストア等で勤務している方は知っている事実だと思いますが、最近コデイン類が含有された咳止めは小児に使用できなくなりました。しかし、なぜコデイン類が小児に使えなくなったのでしょうか? 先輩や同僚から「使えなくなったみたいだよ」と言われたことは覚えているけれど、なぜかは知らないという方も多いのではないでしょうか。今回は登録販売者試験の過去問を解説しながら、去痰・鎮咳薬の作用機序をお伝えし、コデイン類がなぜ小児に使えないかをお話ししていきます。是非最後までお読みください。

登録販売者試験の過去問(平成30年 京都府 午前)

早速、問題を見ていきましょう。

問30 鎮咳・去痰薬とその有効成分に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。

  • 鎮咳 ・去痰薬は、反射的に出る咳を鎮めることやその原因となる痰の切れをよくすることを目的とする医薬品の総称であり、喘息症状を和らげることを目的とする医薬品は含まない。
  • ジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品は、原則、12歳未満の小児に使用しないよう注意喚起を行う必要がある。
  • コデインリン酸塩は麻薬性鎮咳成分とも呼ばれる。
  • ジヒドロコデインリン酸塩は、胃腸の運動を低下させる作用も示す。

解説

問題の答えはすぐ分かりましたか? ここからは、問題の解説をしていきましょう。

1問目

「a 鎮咳・去痰薬は、反射的に出る咳を鎮めることやその原因となる痰の切れをよくすることを目的とする医薬品の総称であり、喘息症状を和らげることを目的とする医薬品は含まない。 」

この解答はです。

ポイントは「喘息症状を和らげることを目的とする医薬品は含まない」ですね。OTC医薬品は様々な種類があり含まれている成分の商品によって様々ですので、そこまで把握していないという方もいるでしょう。

しかし、このお客様から「この成分はどうやって効くの?」「喘息症状を和らげる薬」はある?と聞かれる可能性もありますので、1つ1つ成分を確認しておくことは非常に重要です。

今度よく商品を見てほしいのですが、テオフィリンが含まれている商品があります。テオフィリンの作用機序は覚えているでしょうか。

細かい機序は省きますが、テオフィリンは気管支を拡張することによって呼吸を楽にします。喘息症状は気管支が狭くなってしまうことにより起こりますので、テオフィリンは喘息症状を改善してくれます。

しかし、実際の現場で「喘息」と聞いた場合には既に治療中であったり、他の医薬品を服用中、あるいは既にテオフィリンを服用していることがありますので、むやみに販売することは避けましょう。

2問目

「b ジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品は、原則、12歳未満の小児に使用しないよう注意喚起を行う必要がある。 」

実はこの過去問は平成30年の過去問であったことから、この問題は本来は正でした。しかし、現在はになります。

今回はコデイン類が段階的に禁忌になった経緯を説明する為にちょっと意地悪な問題を選びました。では、解説していきます。

厚生労働省による2017年7月4日 の通知で、コデイン類含有製剤の「用法及び用量に関連する注意」に記載されている文言が変更になりました。

改定前 改定後
「用法及び用量に関連する注意」

2 歳未満の乳幼児には、医師の診療を受けさせることを優先し、止むを得ない場合にのみ服用させること

「用法及び用量に関連する注意」

12 歳未満の小児には、医師の診療を受けさせることを優先すること

そして、その後2019年7月9日には「してはいけないこと」が新設され、さらに「用法及び用量に関連する注意」が変更されました。

改定前 改定後
「用法及び用量に関連する注意」

12 歳未満の小児には、医師の診療を受けさせることを優先すること

「してはいけないこと」
1.次の人は服用しないこと
12 歳未満の小児 

「用法及び用量に関連する注意」

(削除)

副作用として呼吸抑制などの危険性があり、現在は注意喚起ではなく12歳未満の小児は使用してはいけません

3問目

「c コデインリン酸塩は麻薬性鎮咳成分とも呼ばれる。 」

この問題は簡単だと思います。正解はです。

ジヒドロコデインリン酸塩も麻薬性(中枢性)鎮咳成分です。

非麻薬性(中枢性)の鎮咳成分としてはデキストロメトルファンジメモルファンクロペラスチンチペピジンペントキシベリンなどがあります。

鎮咳薬についてもう少し説明すると、鎮咳薬とは、肺・気道の異物刺激による「咳反射」を抑える薬物の総称です。

異物による刺激が、脳に「咳を出して異物を出す」という指令をお願いしますが、脳の指令を出す機能を鈍らせるのは中枢性鎮咳薬です。

逆に、末梢性鎮咳薬(局所麻酔薬、去痰薬など)は異物刺激が起こらないようにするものです。

4問目

「d ジヒドロコデインリン酸塩は、胃腸の運動を低下させる作用も示す。 」

こちらも基礎的な問題ですので、すでに知っていると思います。

コデイン類は胃腸の運動を低下させる作用もあり、これが原因で便秘になる可能性もあります。

便秘になる可能性もあるという事実は、OTC販売の際の情報提供でも使えると思いますので覚えておきましょう。

今回は鎮咳薬の作用機序とコデイン類が禁忌になった理由やその経緯をお伝えしました。このような問題は絶対に落とさないようにしっかり勉強しておきましょう。

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