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登録販売者として知っておこう! 便秘の種類とセルフケアのポイント
排便のしくみ
食事をして胃や腸で消化された食べ物は、ドロドロの液状になっています。栄養素を体内に吸収していくと同時に、大腸では水分を吸収することで固形化していき、腸の動き(蠕動運動)によって肛門まで運ばれます。
肛門まで到達すると、直腸が受けた刺激が脳に届き、便意を促すようになっています。
また、腸の動きは自律神経に支配されており、副交感神経が優位な時は活性化され、交感神経が優位な時は抑制的に動きます。
例えば、緊張する場面など、ストレスを感じていると交感神経が優位になりやすく、腸の動きは少なくなるため、便秘になりやすいと言えるのです。腸の動きが悪く、何日も大腸内に便がとどまったままだと、水分の吸収がさらに進み、便は硬くなっていきます。
便秘の種類と原因
便秘はその原因から大きく3種類に分けることができます。
弛緩性便秘
腸の動きが低下することにより、大腸内に便が長時間とどまることで、硬い便になるタイプです。便秘の中でも頻度が高く、女性や高齢者に多くみられます。
食物繊維の不足やデスクワークなどによる運動不足、腹筋力の低下が原因で大腸の運動機能が低下すると起こりやすいです。
痙攣性便秘
副交感神経が過度に優位になることで、腸が緊張しすぎてしまい、便がうまく運ばれずにコロコロと小さな便になるタイプです。精神的ストレスなどで腸の動きを支配する自律神経のバランスが崩れることによって起こりやすいです。
直腸性便秘
便が肛門にまで達しても便意を催さず、そのまま腸内にたまってしまい、そのまま上手く排便できなくなるタイプです。高齢者や寝たきりの人、トイレを我慢してしまいがちな人に起こりやすいです。
これら3つのタイプはいずれも腸の機能に問題があるため、機能性便秘と言われることもあります。
一方、腸そのものに器質的な原因をもつ疾患(イレウス、腸管癒着など)によって起こる便秘は器質性便秘と言います。器質性便秘の場合、下剤の使用で腸管穿孔を起こす危険があり、使用することはできません。
また、便秘は薬の副作用として起こることがあります。モルヒネ、コデインなどは腸の蠕動運動を抑制する作用があるため、弛緩性便秘を起こしやすく、抗コリン薬や抗ヒスタミン薬は消化管の緊張を低下させる作用があるため、痙攣性便秘が起こりやすいです。
下剤の種類と特徴
下剤はその作用機序から大きく4種類あります。
塩類下剤(酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムなど)
腸管内に水分を呼び込み、腸の蠕動運動を促進させます。作用が穏やかです。
膨張性下剤(プランタゴ・オバタ種子)
腸管内の水分を吸収して膨張することにより、大腸に刺激を与えて蠕動運動を促進させます。膨張性下剤は食物繊維の塊のようなもので、プランタゴ・オバタ種子そのものは医薬品成分ではありません。
他の成分の補助的な成分として配合されていることが多いです。
浸潤性下剤(ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS))
水分を吸着させる界面活性作用によって便を柔らかくし、排便を促します。他に比べて下剤としての効果は弱いと感じられることも多いです。
刺激性下剤(センノシド、ピコスルファートNa、カサントラノールなど)
大腸に刺激を与えて動きを活発にさせて、排便を促します。また、腸壁からの水分を促し、便を柔らかくする作用を持つものもあったり、他の下剤に比べて習慣性(繰り返し服用することで、効果が得られにくくなる)があるものが多いです。
市販薬選択のポイント
市販されている下剤を選ぶ際は、お客様の便秘のタイプや持病などを考慮しなければいけません。
特に高齢者の場合、「刺激が少ない」「くせになりにくい」といったパッケージの記載から安易に酸化マグネシウムなどを使用すると、腎機能悪化につながる恐れがあります。
また、ストレスなどからくる痙攣性便秘に刺激性下剤を使用すると、逆に便秘が悪化する恐れもあるのです。便秘のタイプを検討するためにも、しっかりとお客様へヒアリングを実施することが大切です。
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