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正しい使い方をしないと逆効果!? 花粉症の季節に良く売れる点鼻薬について
市販の鼻炎用点鼻薬の成分
様々な点鼻薬が発売されていますが、市販の点鼻薬の主な成分としては3種類に分けられます。
ステロイド
ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、プレドニゾロンなど
抗アレルギー薬
ケトチフェンフマル酸塩、クロモグリク酸ナトリウム、クロルフェニラミンマレイン酸塩など
血管収縮薬
塩酸テトラヒドロゾリン、ナファゾリン塩酸塩、オキシメタゾリン塩酸塩など
これらに加えてベンゼトニウム塩化物などの抗菌成分が配合された商品も発売されています。また、抗アレルギー剤の中には抗ヒスタミン薬も含まれています。
市販の鼻炎用点鼻薬の効果
ステロイド
アレルギー反応を抑える作用は強力であり、アレルギーが原因の鼻炎には効果的な成分となっています。しかし、鼻づまりを解消したい場合は即効性は望めないので、鼻づまりをすぐに解消したい場合は他の成分をご案内すると良いかもしれません。
抗アレルギー薬
その名のとおり、アレルギー反応を抑える働きがある成分です。ステロイドほど強力な効果はありませんが、十分効果は期待できます。長年市販薬として使用されてきたこともあり、比較的安全性は高いと言えるでしょう。
血管収縮薬
鼻の粘膜に多量に存在する毛細血管が拡張すると、粘膜が肥厚して鼻づまりを感じるようになります。つまり「血管を収縮させれば鼻が通るようになる」という考えで使用されるのが、血管収縮薬です。血管収縮薬は即効性の成分であり、点鼻してすぐに効果が実感できます。
市販の鼻炎用点鼻薬の注意点
ステロイド
ステロイドと聞くと副作用が強いイメージをお持ちの方が多いかとは思いますが、点鼻薬の場合はほとんど吸収はされないと考えられています。
その為、全身の副作用はあまり気にしなくても良いでしょう。ただし、市販のステロイドを漫然と続けることはリスクが高いため、使用は1年のうち3か月に制限するべきです。それ以上使用する場合は一度受診をしてもらうようにしっかりとお伝えしましょう。
抗アレルギー薬
内服薬の場合は「眠気」という副作用が有名だと思います。しかし、点鼻薬の場合はそのような副作用がでることは少なくなっています。もちろん人によっては眠気の副作用がでる可能性がありますので、様子を見ながら使用して頂く旨をお伝えするとよいと思います。
局所の副作用はステロイドと比べて発現しにくく、比較的安全に使用できます。ステロイドの商品が値段として高く、ステロイドはなんとなく使用が怖いという方にはご案内すると喜ばれると思います。
血管収縮薬
「毛細血管の収縮させる」という作用を考えると、「副作用もそれなりにありそうだな」と考えられると思います。薬で血管を収縮し続けると、身体はしっかりと血を巡らせるためにその作用に対抗するように働いてきます。
つまり、血管収縮薬を使い続けてしまうと効かないようになっていきます。そして、粘膜が逆に肥厚していくことで鼻づまりが悪化していく可能性もあります。
その為、パッケージに書かれている使用方法をしっかりとお伝えし、それ以上使うようになってしまった場合や鼻づまりの症状が続く場合は、必ず医療機関へ受診するようお伝えしましょう。
市販の鼻炎用点鼻薬の効果的な使い方
当然かもしれませんが、使用前には鼻をかむことが重要です。鼻がつまっている場合も、一度で良いので鼻をかんでみましょう。点鼻の市販薬は鼻の奥まで薬剤が届いたほうが効果が期待できます。
また、使用後は鼻に挿入した部分をティッシュ等で拭くことが望ましいです。他の細かい使い方は、市販薬の説明書を読んで使い方を理解しておきましょう。急に使い方を聞かれた場合に戸惑うことがなくなります。
接客例
お客様:「すみません、点鼻の薬って色々あってよく分からないのですが、どれが良いのでしょうか」
登録販売者:「そうですね、どのような症状がお辛いですか?」
お客様:「花粉症なのですが、基本的には鼻水で、たまに鼻づまりという感じでしょうか」
登録販売者:「承知しました。では、こちらのステロイドの点鼻薬はいかがですか?即効性はありませんが、アレルギー症状を抑えることには効果的ですし、アレルギーを抑える内服薬と一緒に使用することも出来ます。」
お客様:「ステロイドってなんだか怖いイメージがあります。それにこれは少し高いですね。。」
登録販売者:「点鼻薬のステロイドは長期の使用も比較的安全だと言われています。ただし、年間で3か月以上は使用できません。それでは、抗ヒスタミン薬が入ったこちらの商品はいかがですか?こちらもアレルギー症状を抑えてくれますし、お求めやすい価格となっています。」
お客様:「ありがとうございます。検討してみます。」
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