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登録販売者、採用の現場から

知っているようで知らない、サプリメントと医薬品の相互作用とは?

近年サプリメントの需要が高まっていることから、ドラッグストアにも数多くのサプリメントが陳列されています。そのため、ドラッグストアに来店されるお客様の中には、医薬品だけでなくサプリメントも購入されるお客様も多くいらっしゃいます。ここで考えたいのは、サプリメントと医薬品は一緒に飲んでも問題ないかということです。食品として市販されているサプリメントは詳しい臨床試験を行う必要がない為、医薬品との相互作用は不明なものが多いのです。しかし、疑問に思っているお客様は多くいらっしゃいます。今回は頭の片隅に入れておくだけで同僚と一歩差をつけられるような有名な相互作用を紹介します。

鉄やマグネシウム、亜鉛、カルシウムと医薬品の相互作用

鉄は貧血の女性、亜鉛は男性、カルシウムはご高齢の方が購入されることが多いかもしれません。しかし、上記の成分が含まれている商品は注意しておくべきです。

これらの成分と相互作用する医療用医薬品は多くの方が使う可能性が高いです。詳しい名前までは覚える必要はありませんが、上記の成分はある種の抗生物質と相互作用を起こすことがあります。

この相互作用によって抗生物質の効果が下がってしまう為、抗生物質を服用する場合はサプリメントを服用していることを必ず医師や薬剤師に伝えてもらうようにしてください。

ビタミンB6と医薬品の相互作用

肌荒れやニキビ、口内炎の予防として女性がビタミンB群のサプリメントを購入されることが多いかもしれません。

恐らく相談されることは非常に稀だと思いますが、ビタミンB6は「抗てんかん薬」のフェニトインの効果を低下させることが報告されています。これとは逆に、「抗結核薬」のイソニアジドの副作用である末梢神経障害を予防すると言われています。

葉酸と医薬品の相互作用

妊娠を希望している方や妊娠中の女性が購入されることが多い成分です。葉酸の摂取は「抗悪性腫瘍薬」のカペシタビンやフルオロウラシルの代謝を遅延させ、それが副作用に繋がる可能性が懸念されます。

「抗悪性腫瘍薬や免疫抑制、抗リウマチ薬」として使用されるメトトキサレートは、葉酸との服用でメトトレキサートの副作用を軽減できることが報告されています。

しかし、これは効果を減弱させているということなので、医師や薬剤師に相談することが必須です。「免疫抑制薬や抗リウマチ薬」は比較的女性が服用していることが多いので、現在飲んでいる薬があると相談された場合には、一歩踏み込んで聞いてみても良いかもしれません。

ビタミンCと医薬品の相互作用

非常に購入率が高い成分だと思います。ビタミンCは「月経困難症等」で使用される人工女性ホルモンのエチニルエストラジオールの効果を上昇させてしまうことが知られています。その結果、副作用に繋がることもありますので注意すべきです。

また、ビタミンCは多量摂取で「抗血液凝固薬」のワルファリンの作用を減弱させることが知られています。

ビタミンDと医薬品の相互作用

ビタミンDは脂溶性ビタミンの為、摂取しすぎには注意すべきです。「骨粗しょう症治療薬」としてビタミンDの医薬品を使用することがありますので、骨の薬を飲んでいるとお話
されたお客様には注意が必要です。

セントジョーンズワートと医薬品の相互作用

セントジョーンズワートとはハーブの一種であり、ストレス緩和などが期待されているようです。このサプリメントは非常に多くの医薬品と相互作用することで知られています。

具体的には体内の代謝酵素を誘導し、薬の作用を弱めてしまいます。購入したいお客様がいらっしゃった場合は、医師や薬剤師に必ず伝えるようにお話しましょう。

接客例

登録販売者:いらっしゃいませ。何かお探しですか?

お客様:最近先生から骨密度が低くなったと言われてね。テレビでビタミンDとカルシウムが良いって聞いたからサプリメントでも買おうかと思って。

登録販売者:それは心配になりますね。ビタミンDとカルシウムのサプリメントはこちらです。ちなみに、何か今服用している薬はありますか?

お客様:特にありません。ただ、風邪を引いた時に色々薬は飲みます。

登録販売者:もしお医者さんから抗生剤が処方された場合は、カルシウムがその薬の作用を弱めてしまうことがあるので、先生にはサプリメントを飲んでいる話をしてくださいね。

お客様:そんなことがあるんだね、知らなかった。助かります。どうもありがとう。

今回紹介したサプリメントと医薬品の相互作用は登録販売者試験には出題されない可能性が高いです。また内容も難しく、覚えているのは難しいかもしれません。しかし、たとえ微かな記憶だとしても、知っている場合の応対と全く知らない場合の応対では天と地の差があると思います。お客様との会話や応対で得られる少しの情報から、この相互作用まで気にすることが出来れば、お客様や店舗スタッフからの信頼度が上がることは間違いないでしょう。

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