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【薬剤師監修】登録販売者も必ず知っておくべき疾病と薬

売り場で持病に関する質問を受けた際、あいまいな態度や不安な雰囲気が出ていませんか?不安な気持ちは購入者にも伝わり、市販薬の購入につながらないケースが多いです。最低限知っておくべき疾病と薬を頭に入れておくことで、自信をもってお勧めできる商品の購入を促すことが出来ます。今回は緑内障、前立腺肥大症と抗コリン作用をもつ成分との相互作用を主に解説します。その後、よくあるケースを1例紹介しますので、売り場での応対の参考としてください。

緑内障と抗コリン作用を持つ成分

緑内障とは

目の硬さである眼圧が高い状態のまま続くと、奥にある視神経が障害され視野が狭くなります。広義ではそれを緑内障と呼んでいます。症状としては、少しずつ目の見える範囲が狭くなっていきます。

眼圧の正常範囲は10~20mmHgとされていますが、眼圧が高くない人でも緑内障を発症することから、眼圧以外にも緑内障の原因があるのではと考えられています。しかしながら、まだ確実な原因はわかっていません。

市販薬で避ける代表的な成分

  • マレイン酸フェニラミン(風邪薬など)
  • ジフェンヒドラミン(風邪薬、睡眠導入剤など)
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩(風邪薬など)
  • ヨウ化イソプロパミド(風邪薬など)
  • プソイドエフェドリン(鼻炎薬など)
  • ブチルスコポラミン(鎮痙薬など)
  • ロートコン(下痢止め)
  • スコポラミン(乗り物酔い)
  • ベラドンナ総アルカロイド(風邪薬など)

などです。一般的に鼻炎用内服薬には効コリン作用のある成分が含まれていることが多いため風邪薬の販売は特に注意が必要です。

また、記載したのは一部成分のため販売の際はきちんと確認をするようお願い致します。

何故避けるべきか

緑内障の種類によっては、これらの薬による作用で急性の緑内障症状を引き起こす恐れがあります。

緑内障症状とは一般的に、眼圧が急激に上がることで起こる眼の痛みや頭痛、吐き気等の症状のことです。悪化した場合失明に至ってしまう可能性もあるため、きちんとしたヒアリングが必要です。

前立腺肥大症と抗コリン作用をもつ成分

前立腺肥大症とは

男性の尿道を取り囲む様に存在する前立腺が肥大することよって、尿道が狭くなり尿が出にくくなってしまう疾患のことです。

排尿した後も残った感じがあったり(残尿感)、トイレが近くなったりといった症状がでることがあります。

一般的には加齢によって頻度は増え、40代後半から50代前半頃から前立腺は大きくなっていくと言われております。

その発症のはっきりした原因は不明ですが、ホルモンバランスの変化などが考えられています。

市販薬で避ける成分

ほぼ緑内障と同じです。上記を参考して下さい。

何故さけるべきか

抗コリン薬などの服用で急激に症状が悪化し、尿閉を生じてしまうことがあるためです。

自力での排尿が困難となると膀胱内での細菌汚染やさらに上へいってしまうと腎臓を悪くしてしまうこともあります。

症状が安定していない場合や先生から薬の服用可否を言われている場合等は注意が必要です。

応対例

  • お客様:すみません、風邪薬を購入しようと思っていますが、今緑内障の治療中でしてどれにすればよろしいでしょうか。
  • 登録販売者:風邪薬ですね。医師から薬の服用について何か言われておりますか?
  • お客様:たぶん言われていなかったかな。
  • 登録販売者:どういったご症状がございますか?鼻水のご症状はございますか?
  • お客様:咳とのどの痛みです。鼻水はそこまで気になりません。
  • 登録販売者:それでしたら、鼻水の症状を良くする成分で眼圧が急激に上がってしまったり、頭痛がおきてしまったりする可能性があるため、この咳と喉の痛みに特化した薬が良いかと思います。
  • お客様:そうなのですね。助かりました。ありがとうございます。
この様に疾病の知識をもち、なぜその成分を服用できないかを説明できるようにすることで、購入者からの信頼感を得ることができ、その後お勧め商品への誘導が可能になることがあります。お客様は薬を必要としているためご来局されています。「緑内障と聞いたからとりあえず売らない」「よくわからないけど大丈夫だろう」ではなく、正しい情報をお伝えし、正しくヒアリングをして販売の可否を考える必要があります。薬剤師も登録販売者を非常に頼りにしています。是非、疾病と薬の知識を少しずつつけて、頼もしい登録販売者になってください。

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