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これだけは知っておきたい!OTC医薬品の重篤な副作用4つについて解説

OTC医薬品は医療用医薬品と比べると一般に副作用のリスクが低いですが、中には重篤な副作用を発生させるものもあります。こうした副作用が発生する確率は極めて低いため、登録販売者の方が実務で遭遇する機会は滅多にないかもしれませんが、薬の専門家として常に頭の片隅には入れておくようにしましょう。今回の記事ではOTC医薬品で生じる可能性のある重篤な副作用4つをご紹介したいと思います。

重篤な副作用その①:スティーブンス・ジョンソン症候群

スティーブンス・ジョンソン症候群は粘膜皮膚眼症候群ともいわれ、ある種の薬剤を服用したことにより皮膚、粘膜、眼などに紅斑、びらん、水疱などが現れて、高熱や全身倦怠感を伴い最悪の場合は死に至るという非常に危険な副作用です。

年間の発症頻度は、人口100万人当たり約3.1人と低いですが、イブプロフェンやアセチルサリチル酸などの非ステロイド性抗炎症成分の服用により起こることがあるため注意が必要です。

薬を服用後に発熱や皮疹などが発生した場合は直ちに服用を中止して医療機関を受診するようにご案内してあげましょう。

重篤な副作用その②:間質性肺炎

肺の間質(肺中の肺胞以外の場所で、肺を支える働きをしている)を中心に炎症を起こす疾患です。

間質性肺炎を起こすと、肺の壁が厚くなり、肺から血液中に供給される酸素の量が制限されてしまいます。これによって、日常的な動作を行っているときに息切れを感じたり、咳が止まらなくなったりします。

病気が進行すると肺の線維化が進み、最悪の場合は呼吸困難を来して死に至るケースもあります。

漢方薬に含まれる柴胡(さいこ)と呼ばれる生薬がこの副作用を引き起こす可能性があるため、小柴胡湯を販売する際は注意喚起をしてあげてください。

服用後に、咳、息切れ、発熱などが見られた場合は服用を中止して医療機関を受診するようにアドバイスしてあげましょう。

重篤な副作用その③:アナフィラキシーショック

アナフィラキシーショックはアレルギー症状の一つで、呼吸器、循環器、消化器など全身に渡って様々な症状が現れ、血圧低下や呼吸困難を起こして最悪の場合は死に至る大変危険な副作用です。

食物アレルギーや蜂に刺されたことを原因として起こすこともありますが、薬の服用が原因となることもあります。ペニシリン系やセフェム系の抗生物質で起こしやすいとされていますが、それ以外の薬全般でも起こる可能性があるため油断はできません。

薬の服用後に、不安感、めまい、かゆみ、じんま疹、腫れ、呼吸困難などが生じた場合は直ちに医療機関を受診するようにアドバイスすることが大切です。

重篤な副作用その④:薬剤性肝障害

薬剤性肝障害はその名のとおり薬剤の服用を原因として肝臓が障害される病態のことです。医療用医薬品などリスクの高い薬剤によって起こるケースが多いですが、OTC医薬品でも起こる可能性があります。

薬剤性肝障害は症状が出にくく、血液検査などで発覚するケースが多くを占めますが、障害の程度が強いと、「倦怠感」、「発熱」、「発疹」、「吐き気・嘔吐」、「かゆみ」などの症状が現れることもあります。放っておくと重症化するため、症状に気づいた場合は直ちに医療機関を受診するようにご案内してあげましょう。

OTC医薬品に含まれる、薬剤性肝障害を引き起こす有名な成分としてアセトアミノフェンやオウゴンがあります。アセトアミノフェンは解熱鎮痛成分として多くの風邪薬や痛み止めに配合されています。オウゴンは各種の漢方薬に配合されていることがあります。

また、薬剤性肝障害は、医薬品だけではなく、ウコンやプロポリスなどのサプリメントの摂取により起こることも知られています。飲酒量が多い方など肝機能が弱っている方では特に起こりやすくなるため、注意が必要です。

今回ご紹介したように、OTC医薬品でも時として思いがけない副作用を引き起こす恐れがあります。このようなリスクを防ぐためにも、登録販売者の皆さんは事前に副作用のリスクの高い商品や成分名をきちんと頭に入れておくようにしましょう。たかがOTC医薬品と侮ることなく、販売時には常に危機意識を持って対応することが大切といえるでしょう。

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