登録販売者.com

ログイン 無料登録

登録販売者ドタバタ劇場

この健康食品に関するウワサは本当?

ケール(アブラナ科の野菜)や大麦若葉(イネ科の植物)などの緑黄色野菜を、まるごと絞った青汁。 青汁は野菜のジュースですから、一般的にはお子さんからお年寄りまで誰が飲んでも害はないと考えられます。 また、養命酒を子どもが飲んでもいいのでしょうか?薬といってもお酒なら、未成年が飲めば法律に触れるのではないか? 健康食品にはこんな疑問が生じます。

腎臓病の人は、青汁を飲まないほうがよい?

ビタミン、ミネラル、食物繊維、葉緑素といった野菜に含まれる栄養分をそのまま採取できることから、健康維持や美容上の効果を期待して、青汁を長期的かつ毎日飲んでいる方も多いようです。

ただ、腎臓疾患や甲状腺異常を持つ方、「ワーファリン(抗凝固薬)」を服用している方などには、青汁が悪影響を及ぼすこともあるので注意してください。
腎臓疾患で腎機能が低下すると、カリウムの排泄機能が滞り、血液中のカリウム濃度が高くなりがちです。

カリウムは、体内の余分なナトリウムを排出したり、エネルギー代謝を促進したりするための重要な成分です。ただ、もともとカリウム濃度が高いところに、カリウムを豊富に含む青汁を飲めば、高カリウム血症に陥る可能性が出てきます。高カリウム血症になると、倦怠感、不整脈、嘔吐といった症状が現われます。

また、甲状腺に異常を持つ方は、ケールやキャベツに含まれるイソチオシアネートと呼ばれる辛味成分に注意です。この成分は、血栓予防やがん細胞の増殖を防ぐ働きがあるとされる半面、甲状腺機能をさらに低下させる危険性が高くなります。

いっぽう、ワーファリンは、血液を凝固させる物質の合成に関与するビタミンKの働きを阻害し、血液凝固を抑制する薬です。そのため、ビタミンKを大量に含む青汁を飲むと、ワーファリンの薬効を損なうことにもなりかねません。

「養命酒」は、子どもが飲んではいけない?

養命酒は、原酒の中に「桂皮」「紅花」「杜仲」など14種類の生薬を浸漬し、約2ヶ月間かけて浸出・熟成させた薬酒です。「健康飲料」と誤解されている方も多いですが、胃腸虚弱・肉体疲労・食欲不振などの改善を目的とした滋養強壮薬で、れっきとした「医薬品」です。しかも、「地黄」「防風」「淫羊かく」「益母草(やくもそう)」など比較的薬効の強い生薬が配合されているため、第2類医薬品に指定されています。

結論から言えば、法律上は、未成年が養命酒を飲んでもかまいません。なぜなら、酒、ビール、ウイスキー、焼酎などの到酔を目的とする酒類は「食品衛生法」が適用されますが、養命酒は「旧薬事法」が適用されるからです。

また、酒税法でも「強壮剤、栄養剤その他の薬剤またはこれらの浸出液を原料の一部としたもの」は、課税対象の例外と分類されています。つまり、養命酒は「酒」であっても、法律上は「薬」なので未成年でも飲めるのです。

ところが、製造元は未成年の服用を推奨していません。「子どもや未成年者は、栄養を毎日きちんと摂れば、薬用酒に頼らなくても健康を維持できます。以前は8~20歳未満の用法、用量を記載していましたが、いまは削除しています」とのことです。

削除した背景には、消費者団体から同社へ、「薬酒であっても、未成年者にアルコールを飲ませることの是非」について問い合わせがあったようです。

このように、栄養補助食品の青汁にも、思わぬ落とし穴が潜んでいます。もし、あなたがなんらかの病気の治療を受けているなら、青汁を飲む前に主治医の判断を仰ぐようにしてください。 また、子どもさんに養命酒をすすめるつもりはありません。ただ、親の判断・管理のもと、子どもに適量飲ませるのであれば、法律上は問題はありません。

arrow_drop_up