登録販売者、採用の現場から
- ホーム
- 登録販売者、採用の現場から
- 知っておきたい薬剤知識 ~降圧薬編~
知っておきたい薬剤知識 ~降圧薬編~
種類1:カルシウム拮抗薬(Ca2+チャネル遮断薬)
血管の収縮にはカルシウムイオンが関与しています。血管を構成する細胞においてカルシウムイオンの流入を抑えることにより、血管を拡張させます。
全身の末梢血管を拡張させることで降圧作用が期待されています。
主な製品名
アムロジン、アダラート、ノルバスク、ヘルベッサーなど
主な副作用
血管拡張作用により、顔のほてりや頭痛等が現れやすくなります。
知っておきたいポイント
カルシウム拮抗薬は国内でとてもよく使用されている降圧薬ですが、グレープフルーツジュースと同時に服用すると薬の作用が強く出てしまう恐れがあります。過度の血圧低下による反射的な頻脈や動機、めまいを起こしやすくなるので注意が必要です。
ドラッグストアで販売されている柑橘系の成分を含むサプリメントでも同様の相互作用が起こる可能性がありますので、カルシウム拮抗薬服用中のお客さまがサプリメントの服用を希望される際は、かかりつけの医師へ相談するように案内しましょう。
種類2:アンジオテンシン変換酵素(ACE:エース)阻害薬
体が血圧を調整するメカニズム中で大きな役割を持っているのがアンジオテンシンⅡという物質です。
このアンジオテンシンⅡは血圧を上昇させるホルモンの合成を促進させたり、アンジオテンシⅡ自身が血管を収縮させることで血圧を上昇させます。
ACE阻害薬はそのアンジオテンシンⅡ産生を抑制することで、降圧作用が期待されています。
主な製品名
カプトリル、レニベース、タナトリル、エースコールなど
主な副作用
ACE阻害薬はアンジオテンシⅡの産生を抑制しますが、一方でブラジキニンという生理活性物質を増加させてしまいます。このブラジキニンの増加により、空咳やのどの違和感を引き起こしやすくなります。
知っておきたいポイント
普段からACE阻害薬を服用していても、空咳が現れやすいことを知らない方も多くいらっしゃいます。そのため、咳止め薬の購入を希望している方には少しヒアリングをしてみるのもよいかもしれません。
もしACE阻害薬を服用しているのであれば、その咳は副作用の可能性が。むやみに咳止め薬の購入を勧めず、かかりつけの医師へ相談するように案内しましょう。
種類3:アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
ARBはアンジオテンシⅡの働き自体を抑制することで、降圧作用が期待されています。
作用するところは先に述べたACE阻害薬と少し似ていますが、ブラジキニンは増加しないため空咳の副作用もなく、とても使用しやすい薬と言われています。
主な製品名
ブロプレス、ニューロタン、ディオバン、ミカルディス、アジルバなど
主な副作用
ARBは比較的副作用が少ない薬ですが、薬が効きすぎた場合にはめまいやふらつき、動機などを引き起こしやすくなります。
知っておきたいポイント
一般医薬品との飲み合わせについては特別気を付けることはほぼありませんが、心配な場合はかかりつけの医師へ相談するように案内しましょう。
種類4:利尿薬
利尿薬は腎臓に働きかけて水分やナトリウムの排泄を促進します。結果的に全身の循環血液量が低下するため、降圧作用が期待されます。
主な製品名
ラシックス、ルプラック、フルイトラン、バイカロンなど
主な副作用
薬が効きすぎると脱水や低カリウム血症が起こりやすくなります。特に、低カリウム血症は手足のしびれや脱力感として現れます。代謝の異常が起こりやすいので、少量から使用を開始しなければいけません。
知っておきたいポイント
利尿薬は昔から使用されている一般的な薬で、むくみ等にも効果があります。夜に服用すると睡眠中の尿意等が問題になりますので、朝に服用することがほとんどです。
種類5:β遮断薬(交感神経抑制薬・抗アドレナリン薬)
誰しも、緊張や興奮するような場面で心臓がドキドキしていると感じたことがあるでしょう。これは交感神経が興奮して心拍数が増大し、血圧が上昇しているのが理由です。
β遮断薬はその交感神経の興奮を抑えることで、降圧作用が期待されています。
主な製品名
テノーミン、メインテート、セレクト―ルなど
主な副作用
交感神経の興奮を抑えることで心臓の働きも和らげるため、徐脈を引き起こしやすくなります。
知っておきたいポイント
心臓の働きを和らげることから、心臓が一度に送り出す血液量を減らすことからも降圧作用が期待できます。
また、不整脈や狭心症(心臓に酸素を供給する血管が細くなり、一時的に心臓に酸素がいきわたらなくなる状態)にも使用されることがあります。
関連記事
-
登録販売者、採用の現場から
知っておきたい薬剤知識 ~骨粗しょう症治療薬~
骨粗しょう症治療薬の分類 骨粗しょう症は骨密度が低下して骨がスカスカになり、骨折しやすい状態を指します。 その治療の中心は薬物治療です。骨粗しょう症治療薬は大きく3つに分類することができます。(古くなった骨が破骨細胞の働 […]
-
登録販売者になりたい人へ
知っておきたい薬剤知識 ~脂質異常症治療薬編~
脂質異常症の薬物治療 血中のコレステロール値や中性脂肪値が異常値を示している状態である脂質異常症の治療法は、最初から薬を用いるわけではありません。 一般的に、最初に取り掛かるのは食事療法と運動療法を用いた生活習慣の改善で […]
-
登録販売者、採用の現場から
知っておきたい薬剤知識 ~糖尿病治療薬編~
糖尿病治療薬の作用による分類 糖尿病(以降、ここでは2型糖尿病のことを指します)は血糖値を下げるホルモン、インスリンの作用が大きく影響しています。 インスリンの分泌が不足していたり(インスリン分泌能低下)、インスリンは十 […]
-
登録販売者、採用の現場から
知っておきたい薬剤知識 ~緑内障治療薬編~
緑内障の治療法 そもそも緑内障とは、眼圧の上昇に伴って視神経が障害を受けることで、視野が狭くなったり、視力が低下したりする疾患です。 その治療法は薬物療法、レーザー治療や手術が一般的で、いずれも眼圧を低くコントロールする […]
-
登録販売者、採用の現場から
知っておきたい薬剤知識 ~高尿酸血症治療薬編~
高尿酸血症治療薬の分類 高尿酸血症は血中尿酸値が7.0㎎/L以上である状態を指します。尿酸が関節部分等で結晶化して炎症を起こすことで、痛風発作を引き起こします。 高尿酸血症そのものの治療に対して、尿酸降下薬を用います。尿 […]
-
登録販売者、採用の現場から
知っておきたい薬剤知識 ~双極性障害(躁うつ病)治療薬~
双極性障害(躁うつ病)の治療 双極性障害の治療の中心は薬物療法で、躁状態とうつ状態の気分の波を小さくする効果がある気分安定薬や、躁症状・うつ症状そのものの改善を期待して使用する抗精神病薬があります。 しかし、気分安定薬は […]