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知っておきたい薬剤知識 ~高尿酸血症治療薬編~
高尿酸血症治療薬の分類
高尿酸血症は血中尿酸値が7.0㎎/L以上である状態を指します。尿酸が関節部分等で結晶化して炎症を起こすことで、痛風発作を引き起こします。
高尿酸血症そのものの治療に対して、尿酸降下薬を用います。尿酸降下薬はその作用から大きく2つに分類できます。
- 尿酸の排泄を促進する薬
- 体内での尿酸産生を抑制する薬
その他、痛風発作を抑制する薬もあります。これらについて順番に説明していきます。
尿酸排泄促進:プロベネシド、ベンズブロマロン
体内で作られた尿酸のほとんどは、腎臓から尿中へ排泄されています。そもそも腎臓で作られた尿はそのまま体外へ排泄されるのではありません。
腎臓で作られた尿を原尿と言い、原尿は尿細管という管を通っていく途中で、体にとって必要な水分やミネラル分は血中に戻っていきます。(これを再吸収と言います。)結果的に残ったものを尿として体外に排出しているのです。
プロベネシド、ベンズブロマロンはどちらも尿酸の再吸収を阻害する(=体内への取り込みを阻害する)ことで、より多くの尿酸が尿と一緒に体外へ排泄され、血液中の尿酸を減らすことが期待されています。
主な製品名(一般名)
ベネシッド(プロベネシド)、ユリノーム(ベンズブロマロン)
知っておきたいポイント
プロベネシド、ベンズブロマロンどちらも尿酸の尿中排泄を増大させますが、一方で尿管における尿酸濃度が高まるため、尿路結石を起こしやすくもなります。
尿路結石を防ぐために、尿のpHを調整する薬を併用することがあります。尿酸濃度が高まると尿は酸性に傾きますので、それを抑制する尿アルカリ化薬(クエン酸カリウムなど)が用いられます。
尿酸産生抑制:アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット
体内でプリン体から尿酸に代謝される過程で働く酵素を阻害することで、尿酸の生合成を抑制させます。
主な製品名(一般名)
ザイロリック・アロシトール・サロベール(アロプリノール)、フェブリク(フェブキソスタット)、トピロリック・ウリアデック(トピロキソスタット)
知っておきたいポイント
痛風発作中に急激な尿酸値の低下を起こると、痛風発作が悪化することがあります。そのため、痛風発作が起きたことにより高尿酸血症であることが判明した場合、すぐには尿酸降下薬の服用は開始しません。痛風発作が鎮まって2週間後ぐらいに少量から開始し、血中尿酸値の様子を見ながら増量していくことになります。
痛風発作治療:コルヒチン
高尿酸血症そのものを改善する薬ではなく、痛風発作を起こしそうな前兆期に用いる薬がコルヒチンです。痛風発作が起こりそうな足のむずむず感やピリピリ感、なにか違和感があったら速やかにコルヒチンを服用することで、痛風発作を抑制します。
主な製品名(一般名)
コルヒチン(コルヒチン)
知っておきたいポイント
コルヒチンはあくまでも「痛風発作前兆期」に服用する薬です。発作が起きてから服用しても効果はあまり期待できません。痛風発作が頻発する場合、発作が落ち着くまで毎日必要最小量(1錠)を服用して、発作を抑えることもあります。
痛風発作と痛み止め
いくつか高尿酸血症治療に用いられる薬を紹介してきましたが、発作中に使用する薬はありませんでした。でも、もしかしたらドラッグストアにも痛風発作中で苦しむ患者さんが来店されるかもしれません。痛み止めが欲しいと言われた場合、登録販売者としてはどうしたらよいのでしょうか。
結論としては「痛風発作が疑われる場合はすぐに医療機関受診を勧める」こととなります。どうしてもすぐに受診できないような場合は市販の鎮痛薬を用いることができますが、絶対に使用できないのがアスピリン(アセチルサリチル酸)。
痛風発作の痛み止めとしてアスピリンを服用してしまうと、尿酸値が上昇することが認められています。(アスピリンの少量~通常量投与で尿酸値上昇、大量投与で尿酸値低下することがわかっています。)
痛風発作の痛み止めは、発作を悪化させないNSAIDsとしてロキソプロフェンやイブプロフェンを提案するようにしましょう。
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