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飲酒注意|アセトアミノフェンと肝障害

総合感冒薬や解熱鎮痛剤にもよく配合されるアセトアミノフェン。基本的には安全性が高く小児用としても使われますが、よくお酒を飲むお客様には注意が必要です。その理由をアセトアミノフェンの代謝の観点から考えてみましょう。

アセトアミノフェンの代謝とお酒の関係

「この薬はお酒と一緒に飲んではいけません」と聞くことがあると思いますが、アセトアミノフェンもお酒と飲んではいけない薬の1つ。アセトアミノフェンの大部分は身体の中にはいって吸収されたあと、グルクロン酸抱合という方法で代謝(体の外に出しやすいような形に変えること)され、排泄されます。

しかし、一部分はCYP2E1という酵素によってN-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)に変わります。このNAPQIという物質が肝臓への強い毒性をもつため、副作用として肝障害が現れます。通常であればNAPQIを無毒化できるため問題にはならないのですが、お酒をたくさん飲む人の場合、NAPQIを作り出すCYP2E1の働きが強くなり、無毒化が間に合わず肝障害が現れやすいのです。

したがってアセトアミノフェンを含む薬を使用する場合、お酒と一緒に飲んではいけないのです。もちろん、「お酒と一緒に」は同時に飲まなければ良いというわけではありませんので、身体からアルコールが完全に抜けるまで注意するよう指導してくださいね。

見逃しやすいアセトアミノフェンのオーバードーズ

本来あってはならないことですが、自殺目的や子供が誤って一度に常用量の何十倍も飲んでしまうことがあります。

薬を一気に飲むというと睡眠薬をイメージするかもしれませんが、実際総合感冒薬が問題になるケースも多いようです。大抵の家庭に常備されていたり、比較的容易に大量の薬を手に入れられるからでしょう。

そしてその場合、この中に含まれるアセトアミノフェンの中毒症状が問題になります。アセトアミノフェンの中毒症状は先程とおなじ機序で起こる、急性肝障害。この中毒治療の難しさは見逃してしまう危険性があることです。

急性とは言ってもショック症状のように数分で発現するものとは異なり、代謝されてNAPQIになるまでの時間が必要ですよね。

はじめは症状もないため服用した商品が確実ではない場合、受診しても経過観察となり、帰宅した頃に発症してしまうこともあるのです。もし誤って大量に服用した場合は必ず添付文書や外箱を持って受診するよう伝えてくださいね。

アセトアミノフェンは多くの商品に含まれる上、小児やロキソプロフェンなどのNSAIDsを使用できないお客様にとっても重要な薬です。よく使われる薬だからこそ、お客様も油断してしまいやすいため、しっかりと正しい知識を指導しましょう。

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