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医薬品を販売するための許可について解説:薬局と医薬品販売業

医薬品を販売するには、薬局または医薬品販売業の許可が必要です。医薬品販売業とは店舗販売業・配置販売業・卸売販売業の3業態を指します。これら業態の特徴については、登録販売者試験にも頻出なので、ポイントをおさえておきましょう。

薬局と医薬品販売業(店舗販売業・配置販売業・卸売販売業)について

それぞれの許可を得るには構造設備上の基準や人的要件等、様々な要件をクリアしなければなりません。また、許可は6年毎の更新制となっています。

業態 販売方法等
薬局 医薬品を調剤、販売も認められている
医薬品販売業 店舗販売業 要指導医薬品・一般用医薬品を店舗で販売
配置販売業 一般用医薬品のうち経年変化が起こりにくいものを各家庭等に配置して販売
卸売販売業 医薬品を薬局、医薬品販売業、医療機関等に販売

薬局での一般の生活者に対する医薬品の販売行為は、薬局の業務に付随して行われる行為とされ、別途医薬品販売業の許可は必要ありません。

配置販売業について

配置販売業とは、一般用医薬品を、配置により販売又は授与する業務で、配置しようとする区域をその区域に含む都道府県ごとに許可が必要です。

また、配置販売業は、「先用後利」といって、購入者の居宅に医薬品を預けておき、購入者がこれを使用した後に代金請求権が生じる販売形態です。

通常、常備薬として用いられる製品をひと揃い収めた「配置箱」を購入者の居宅に預けています。

そのため、一般用医薬品のうち経年変化が起こりにくいこと等の基準に適合するもの以外の医薬品を販売等してはならないとされています。

配置販売業従事者に関する規定

配置販売業がいわゆる行商という業態による販売のため、薬事監視を行いやすくする必要性に基づき、次の規定があります。

  • 配置販売業者又はその配置員は、医薬品の配置販売に従事しようとするときは、配置販売業者の氏名及び住所、配置販売に従事する者の氏名及び住所並びに区域及びその期間を、あらかじめ、配置販売に従事しようとする区域の都道府県知事に届け出なければならない。
  • 配置販売業者又はその配置員は、その住所地の都道府県知事が発行する身分証明書の交付を受け、これを携帯しなければ、医薬品の配置販売に従事してはならない。

薬局や店舗販売業に勤務する薬剤師や登録販売者も届け出の必要はありますが、変更後に氏名や週当たりの勤務時間を届け出ることとされています。

医薬品を一般の生活者に対して販売する業態の比較

卸売販売業は、業として一般の生活者に対して直接医薬品の販売等を行うことは認められていません。

薬局・店舗販売業・配置販売業において、薬剤師と登録販売者が行う業務範囲は以下の通りです。

薬剤師 登録販売者
薬局 調剤、医薬品の販売等 一般用医薬品のうち、第2類医薬品・第3類医薬品の販売等
店舗販売業 要指導医薬品・一般用医薬品の販売
配置販売業 厚生労働省が定める基準に適合した一般用医薬品の販売等 厚生労働省が定める基準に適合した一般用医薬品のうち、第2類医薬品・第3類医薬品の販売等

店舗販売業では薬剤師が勤務していても調剤を行うことはできません。

薬局・店舗販売業・配置販売業の管理者の要件について

管理者は保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その管理する範囲の業務につき、必要な注意をしなければなりません。

登録販売者が管理者となる場合の経験年数の違いについてよく登録販売者試験で問われています。

薬剤師 登録販売者
薬局 ⚪︎ ×
店舗販売業 ⚪︎ 第2類医薬品・第3類医薬品のみを扱う場合 薬局、店舗販売業又は配置販売業において、過去5年間のうち、

  • 一般従事者として薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下に実務に従事した期間
  • 登録販売者として業務(店舗管理者又は区域管理者としての業務を含む。)に従事した期間

が通算して2年あることが必要

第1類医薬品を扱う店舗において、薬剤師を店舗管理者とすることができない場合には、

  • 要指導医薬品若しくは第1類医薬品を販売等する薬局
  • 薬剤師が店舗管理者である要指導医薬品若しくは第1類医薬品を販売等する店舗販売業
  • 薬剤師が区域管理者である第1類医薬品を配置販売する配置販売業

において3年以上業務に従事した者であって、その店舗において医薬品の販売等に関する業務に従事するものを店舗管理者にすることができる

配置販売業 ⚪︎ 区域管理者となる要件は、店舗販売業の要件と同じ

また、店舗管理者は、「その店舗の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合を除き、その店舗以外の場所で業として店舗の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはならない。」とされています。

分割販売とは

分割販売とは、特定の購入者の求めに応じて医薬品の包装を開封して販売することで、「量り売り」や「零売」とも呼ばれます。

薬局、店舗販売業、卸売販売業では分割販売ができますが、
配置販売業では、認められません。

分割販売する場合には、法第50条の規定に基づく容器等への記載事項、法第52条の規定に基づく添付文書等への記載事項について、分割販売する薬局開設者又は医薬品の販売業者の責任において、それぞれ表示又は記載されなければなりません。

分割販売する医薬品の記載事項には、「分割販売を行う者の氏名又は名称並びに分割販売を行う薬局、店舗又は営業所の名称及び所在地」も含まれます。

一方で、医薬品をあらかじめ小分けし、販売する行為は、無許可製造・無許可製造販売に該当し一切禁止です。

医薬品の販売ルールが厳格なのは、医薬品が人の生命や健康に直接又は間接的に影響を与える生命関連製品だからです。安全性を確保するため、露天販売や現金行商等のような、事後に医薬品購入者の安全性を確保することや販売側の責任や所在を追及することが困難となる形態で販売されるのを防止する意図があります。そういった背景に注目すると、法令の勉強も少し深みが感じられるようになるのではないでしょうか?

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