登録販売者.com

ログイン 無料登録

登録販売者ドタバタ劇場

今さら聞けない!「満量処方」ってなに?

ときどきテレビやインターネットのCMで耳にする「満量処方」。広告や商品パッケージにも書かれていますが、お客様が意味を知っているとは限りません。登録販売者としては質問を受けた時のためにもきちんと理解しておく必要がありますよね。今回は「満量処方」の意味とその商品の使い方について考えてみましょう。

決められた製法通りに生薬が配合された満量処方

満量処方について説明する前に、「日本薬局方」という言葉を知っていますか?

薬は病気や不調を治す力を持つ心強い味方ですよね。しかし、使い方を誤れば副作用が出てしまう諸刃の剣でもあります。したがって薬を作ったり、使ったり、保存したりするためのルールが必要です。

このルールが収載されているのが日本薬局方。そして漢方薬の製法が載っているのも日本薬局方であり、この製法通りの最大量が含まれた商品が「満量処方」となるわけです。

満量処方以外にはどんなものがあるか?

それでは全ての商品が満量処方かというとそうではありません。1/2処方や3/4処方など成分が少なく配合されたものもあります。

例えば更年期症状の緩和によく用いられる加味逍遥散エキスの製法は「トウキ3 g、シャクヤク3 g、ビャクジュツ3 g、ブクリョウ3 g、サイコ3 g、ボタンピ2 g、サンシシ2 g、カンゾウ2 g、ショウキョウ1 g、ハッカ1 gのそれぞれの生薬をとり、エキス剤の製法により乾燥エキスまたは軟エキスとする」と書かれていますが、この全量を1日で服用するように作られているものが満量処方、半分に薄めたものが1/2処方、4分の3に薄めたものが3/4処方です。

やっぱり飲むならいつでも満量処方がいいの?

なぜこのように1/2処方や3/4処方といったものがあるのでしょうか? 成分がいっぱい入っていてより効き目が高いのなら全て満量処方でも良いと思いますか?

実はお客様にはそのように考える方も多いようです。しかしはじめに言ったように薬は副作用の可能性もある諸刃の剣。漢方薬は副作用がないなどと誤った認識を持っている方もいますが、適切に使用しなければ当然副作用があらわれます。

したがって、不要な薬はできるだけ減らすのが好ましく、代謝機能の落ちた高齢者や長期的に服用したい方、試しに使ってみたい方には成分が少なめの商品がおすすめなのです。

色々な商品を上手に使い分けるのはとても難しいことです。しかし、症状や体力の程度をみながら配合や量を変えるのが本来の漢方治療ですから、量に差がある商品が複数販売されているのは漢方の考え方にあっていると言えるでしょう。お客様の状況にあった商品を提案できるよう知識を高めていってくださいね。

arrow_drop_up