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登録販売者、採用の現場から

お客様へのヒアリング ~注意したい5つのポイント~

登録販売者は、薬局やドラッグストアで医薬品を販売することができる薬の専門家です。調剤(医薬品を調合して販売する)ができる薬剤師とは異なりますが、薬局やドラッグストアで販売されている一般医薬品(その内、第二類医薬品、第三類医薬品)を販売することができます。薬を販売する際に、登録販売者として最も重要な役割の一つとなるのが、お客様への情報提供やアドバイスです。お客様の視点に立ち、最適な医薬品の選択の手助けを行わなければいけません。今回は、お客様とのコミュニケーションに関するポイントを5つお伝えします。

お客様へのヒアリング時に注意したい5つのポイント

登録販売者は薬の専門知識を持っています。安全に薬を使用してもらうため、知識を活用してお客様に適切な情報提供を行う役割があります。

そのためにも、薬を購入しようとするお客様に対して正確な情報収集を行い、その症状にあった適切な判断が必要です。以下の5つのポイントに注してお客様へヒアリングをしてみましょう。

  • 誰が使用するのか
  • その症状と持続期間
  • これまでの対応とその結果
  • 併用薬や持病の有無
  • アレルギーや副作用歴の有無

それぞれのポイントについて、説明していきます。

ポイント①:誰が使用するのか

来店されたお客様自身が薬を使用するとは限りません。最初に確認すべきは「誰が」この薬を使用する予定なのか、というところです。

中でも特に注意してヒアリングをしておきたいのが、「使用する人の年齢」と「(女性の場合は)妊娠、授乳の有無」です。

子供には使えない薬もありますし、高齢者には使用に注意が必要な薬もあります。胎児への影響を考慮すると、妊娠時に使える薬も限定されてしまいます。

年齢、性別、妊娠・授乳の有無をキーにして、どのような人が薬を使用するのかを確認しましょう。

ポイント②:その症状と持続期間

次は「どのような症状があるのか」を確認します。風邪薬が欲しい、と言われただけではどの薬が最適なのかは判断できません。

最もつらい症状はのどの痛みなのか、発熱なのか、咳が続くことなのか…一概に風邪、というだけではわからないですし、もしかしたら風邪ではなくインフルエンザかもしれません。

具体的にどの症状がつらいのかを確認し、その症状に合わせた薬の選択が必要です。また、その症状の持続期間(いつから症状が出ているのか)もヒアリングしましょう。

極端に長い間症状が続いている場合は、一般医薬品で対処するのではなく、医療機関への受診を勧める必要もあります。

ポイント③:これまでの対応とその結果

ポイント②で確認した症状に対して、なにか対応を行ったかを確認しましょう。

「何か服用してみた薬はありますか? その効果はどうでしたか?」と、服用したことがある薬があればその効果はどうだったのかも確認することで、違う成分の方が適しているのか、同じ成分であっても用量が多めの薬が適しているのか等を判断することができます。

ポイント④:併用薬や持病の有無

これまでのポイント①、②、③をきちんとヒアリングすることにより、症状に適した薬を選択することができます。

しかし、併用薬や持病を確認しておかないと、選んだ薬が併用薬との相互作用や持病の悪化を引き起こす可能性は否定できません。また、副作用を引き起こしやすくなるかもしれません(毎日飲むようなサプリメントがあるのかも確認しておくとよいでしょう)。

お客様には「併用薬はありますか?」とそのまま質問するだけではなかなか伝わらないことも多いのです。「いつも服用されるお薬はありますか?」「病院には定期的に通院されていませんか?」など、具体的な行動を質問すると、お客様も回答しやすいでしょう。

持病があって薬が処方されている場合は、おくすり手帳を持っている場合があります。

具体的な併用薬や持病がわかれば、必ず一般医薬品、医療用医薬品の添付文書や専門書などから、購入希望されている薬が使用可能なのかを確認しなければいけません。

自身で判断が難しい場合は薬剤師に対応を引き継いだり、お客様へかかりつけの医師に相談するように伝える必要があります。

ポイント⑤:アレルギーや副作用歴の有無

アレルギーの有無や副作用歴を知ることは、副作用の発現を回避するためにも重要です。過去に副作用を発現したことがある場合、同じ成分はもちろん、同様の薬効機序を持つ薬も副作用を引き起こす可能性があります。

「副作用が起きたことはありませんか?」と聞くのではなく、「これまで風邪薬を飲んで気分が悪くなったり、発疹が出たことはないですか?」と、具体的な行動を質問しましょう。

①~⑤のポイントを順にヒアリングしてみましょう。お客様の状況を整理して分析することが重要です。すぐに病院へ受診すべき症状なのか、症状に合った薬はどれか、使用してはいけない成分は含まれていないか…登録販売者として考えるべき視点はいくつもあります。それが登録販売者として任された重要な役割なのです。

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